ドイツのカード
私のトラップに、フーブハイムが引っかかっていた。
アンカーの鎖が、潜水艦に絡まり。浮上できずに居た。
私は、沖に出た、数人のマグロ漁が気になり。真理子の姿に戻って、水深50m辺りを漂っていた。
「こうやって、8の字を描くように」
漁師は、教えられたことを守り。マグロが通りそうな、浅い所にイカを降ろしていた。
イカは、浮いては沈み。浮いては沈みを、繰り返して。漁師の体力を奪っていく。
(しょうがないわね。今回だけのサービスよ)
私は、少し離れたところから、マグロを追い立てて。漁師の船まで、追い込んだ。
マグロは、満腹だったのか。イカに見向きもせず、そのまま海流に乗り、行ってしまった。
追い立てた、私が悪かったのか。
漁師の腕が悪かったのか。
マグロが、私から必死になって、逃げただけなのか。
マクロが、逃げて行った先に。舟がプカプカと漂っている。
いや違う、1本のロープと太いゴムホースが深海へと続いている。
私は、ヨットを調べずに、深海へと向かった。
深海へ目を凝らすと、赤い点滅がチラホラと見えて。強烈に赤く光る点滅の方へと、続いていたからだ。
水深が深くなるにつれて水圧が掛かり、光の差さない所からは、水温がググッと下がる。
私の読み道理に、ブーフハイムが罠にかかっている。
船外作業用の鉄製のスーツにまで、アンカーが絡みついている。
私が作ったトラップは、ミステリーサークルのような円形の溝を掘り。その中に、沈没船から出た、アンカーを埋めたのだった。
アンカーを、ただ埋めだけではなく。
雷魔法を覚えたので、アンカーに磁力を付け足して、地中に埋めたのだったが。
鉄で出来た潜水艦に、アンカーの鎖が絡まり。
船外作業用のスーツを着て、引き剥がそうとしたのだろうが。
逆に、鉄で出来たスーツにも、タコの足のような鎖が絡まり。
水圧と水温に翻弄されながら、鎖とも格闘していたのだろう。
船外作業用のスーツの性能は知らないが。半日も、水圧と冷水に耐えられないと思う。
船外作業のスーツにも、太いゴムホースが繋がれていて。
憶測だが、空気を取り込んでいたのだろう。
ブーフハイムの持ち物が、大量に転がっている。
私は、ブーフハイムの手についたライトが照らす。海底の砂に刺さった、黒いカードを手にした。
ドイツのカードに触れた私は、死神の部屋へと移動された。
赤黒い壁に、ちゃぶ台と座布団。カップ麺をすすり、お決まりのように、麺を吹き出し。私の体に飛ばした。
「これ、ワザっとですよね」
私は、死神が吐いたカップ麺を、毒々しい床に払い落として。
水魔法と真新しいタオルで、汚れを落とした。
「タイミングが悪いだけだ、不可抗力だ」
「そう言うことにしておきますけど、次は容赦なく攻撃します。覚えててください。バケモノですが、レディなので」
「無駄だ、辞めておけ。私への攻撃はルール違反で、どんな化け物でも、即死と決まっている。武器をしまえ」
私と死神の距離が、一瞬で遠くなり。久しぶりに、体内のWarningアラートを聴いた。
私が、武器を仕舞うと。アラートは消えて、死神との距離も縮まった。
「無駄な時間を過ごしたようだが。お前は、過去を知りたがっていたな。なぜ私が選ばれたのかと」
私が、頷くと。死神は語り始めた。
「お前の前世が、聖女様で。多くの信徒に支えられて、5000人ほどのコミュニティを持ち、良い国を作ろうとしていたのだが。他国に侵略されて、小さな神殿を捨てて、降臨した祠にて籠城をしたが。戦える兵は少なく、聖女を守るために、信徒は命を投げ出し、敵兵に向かって散った」
二つ前の私は、神風を止めなかったのか。
「慌てるな、知らなかっただけだ。聖女の側近の命令で、口減らしと相手を減らすことが出来た。奇襲により、籠城は破られて皆殺しに遭い。聖女は、提督の側室となり、贅沢をした。あらゆるモノを欲しがり、気に食わない兵は、提督に突き進む殺させる。百戦全勝の戦いは無く、少しずつほころびが生まれ、聖女に刃を向けるものだが現れて、提督と逢瀬をしている時に、殺された。税を散財した聖書は、4年8カ月の社畜の刑の後、処刑された。めでたし、めでたし」
「つまり、過去の私は、提督にもて遊ばれて、殺された。何処がめでたい。散財しした、理由じゃないだろ。社畜の刑って、何だよ。刑務所より酷いぞ」
ツッコミどころ満載のお話に、文句を言っていると、点滅を始めた。
「おい、あまり暴れるなよ。目立たず、大人しく頼むぞ」
死神の忠告を半分しか聞けず。私は、深海へ戻された。
「こんな事している暇はない。別荘に急がなくては、リュウミーやジョルジュに怒られてしまう」
私は、ドイツのカードだけを取り。散らかった船や財宝、潜水艦などは、そのまま放置して、浮上した。
天高く飛び上がり、人目も気にせず。クルウジーを取り出して、『ソニック』と併用しながら、バヤナルトへと急いだ。
別荘では、リュウミーが支度を済ませて、古ぼけた船に、サーシャ、ミランダ、ジョルジュとケビンが、甲板に待機している。
「少し遅れたか」
私は、ジョルジュの機嫌を取り、頭を撫でた。
「いえ、問題ありません。ジョルジュだけが、ソワソワしているだけで、サーシャとミランダに至っては、ワインを催促して。やる気は無いみたいです」
ケビンは、リュウミーの側で単独でグルグルと周り、嫁を探しに行くなんて、考えてないみたいだ。
食料とテント、年のために作ったヴァイツたち用の檻を確認して。
私も、熊やベヒーモスの対策をした。
もう一つ、一人で日本酒を造っていたから、味に自信がなく。
うちのソムリエに、味を確かめてもらう為でもあった。
「それじゃ、留守番とヴァイツたちのおもりを頼むな。ソサルジとサバガヌ」
ソサルジとサバガヌは、バヤナルトのメイドだ。深夜の見回り散歩の時に、ヴァイツに認められて。最近は、生まれたヴァイツのオモリをしている。
「サーシャとミランダに、パートナーが出来ると良いですね」
「ジョルジュ、頑張って」
浮かび上がる舟を、2人は見送った。
「ケビンも、かわいい相手を見つけるよねぇ」
ケビンを撫でながら、リュウミーは話しかけた。
ケビンは、うなだれるように頭を下げて、『くぅ~』と弱々しい発言をした。
私は、船底を持ち上げていて、その状況を見ていなかった。
間に合うかな。去年は、ジョルジュに悪いことをしたから。今年は、何が何でも、春を迎えてほしかった。
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