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ハーラージ爺さん

ハーラージ爺さんが、沖に出て、マグロを一本釣りして帰ってきた。

氷もなく、解体してバラで売ろうとしている所を、私が一本丸ごと、金貨1枚で買い取った。



 私の知る醤油に近いが、違う気もする。

 ソースも、何かしら物足りない。

 マヨネーズに至っては、論外。

 だが、タルタルソースを作れた。


 地球の調味料を作る奴が、他国にいるらしい。

 それが、海を渡り。私の手元にも届く。


 逆も然りで。私の噂が、誰かに届き。アーサーのように、首を取りに来るかも知れない。

 目立たずに、行動をするのが一番だ。


 今日も、アジフライを作り、商人と水夫に振る舞い、カノタマー産のワインを売り込んで行く。


 私が、小銭を稼いでいると。捌ききれない、客も出て来て。

 少しの間待たせると、ライバルが現れた。


 ふくよかなオバさんで、旦那が漁師をしている。

 二人三脚で、カノタマーワインの宣伝もした。


 週一で、デナガリから、50本のワインが届き。

 最初は、在庫を抱えていたが、屋台の酒場が増えて行き。

 直ぐに、ビニガーに70本のワイン樽を、寄こすように手配した。


 サハンナー国からの注文が、入るようになった。

 そればかりか、漁港に活気が戻り。毎日、数人が漁に出ている。


 その中でも、若者に交じり。ハーラージ爺さんが、 率先して漁をこなしている。


 昔取った杵柄だろうが。漁のポイントを、知っているようだった。


 ハーラージ爺さんが、マグロを釣り上げてきた。


 いるのは知っていた。

 昔、私が雑魚だと思って、食していたから。

 因みに、アジをプランクトンだと思っていて。

 イカは、大王イカだった。


 あの時は、無知で。自分の大きさが、75mオーバーの化け物とは知らなかったから。


 今なら、死神が言った『最強の一角』の意味が理解できる。


 問題のマグロだが、250kg近い大物で。買い手が付かない。


 私は、村に倉庫を借りて。

 冷凍庫を作った。凍らす魔法も戦争で覚え。


 適当に、水を凍らせて。倉庫を、氷だらけにして。

 ハーラージ爺さんの黒マグロを保管した。


「ちょっと待て、何をしている」


「このままでは、腐ってしまうので。解体しやうかと」


 ギリギリで間に合った。大木を切るような、二人で引く、長いノコギリを大の男が手にしている。


「幾らだ。私が買い取ろう」


「それは、良いですけど。マリーンちゃんは、コレをどうするの」


「スマイル、スマイル、凍りつけ。スマイル、スマイル、凍りつけ」


 私は、適当な呪文を唱えて。半笑いで、周りをドン引きさせながら。マグロを凍らせた。


『ふぅ~』


 私は、お尻から座り込み。皆の注意を引いた。


「このマ、グロは、私が買い、取ります。問題は、ないですよね」


 所々で、荒く呼吸を取り。大変なのをアピールした。


「ああ、コレはマリーンちゃんに譲るよ。金貨、1枚だけど良いか」


「あっ、はい。少し待って頂けますか」


 私は、金貨1枚を、お守りから取り出した。


 首から下げた、手のひらやり少し小さな、五角形の巾着袋。

 旧マドナグラの国旗が、刺繍されていて。

 それを、シャツの首の部分から、引っ張り出して。3枚入った金貨の1枚を、ハーラージ爺さんに手渡した。


「マリーンちゃん。懐かしいモノを待っているね」


「良いでしょ。マドナグラ13世の記念硬貨なの」


「コレは、マリーンちゃんに返すよ。拝めただけで、感無量だ。普通の金貨を手にしたら、そちらを頂くよ」


 ハーラージ爺さんは、何かを感じ取ったようで。金貨を、懐かしんだ後で、私に返した。


 マリアの顔を使ったのが、仇となったか。


「おい、爺さん良いのかよ。デナガリの舟の奴らに売ったら、1.5倍になるのに」


「良いんだよ。マグロは、また捕れる。沖に出たら、ワンサと居るわ。それに、金貨の出所が、マリーンちゃんだと知れたら、かわいい女の子が襲われてしまう」


「そうだな、マリーンちゃんのおかげで、少しずつ、街が蘇ってきているからな」


 マドナグラの漁港は、活気を取り戻し。舟の修理をしたり、漁網の手入れに余念がない。


「爺さん、マグロは沖に居るのか。ケチケチせずに、ポイントを教えろ」


 ハーラージ爺さんは、沖に出たこともない若僧に、潮の流れが違う場所を説明したが。


 大海原のど真ん中。目印も無ければ、ブイが有る理由でもない。カンだけが頼りだ。

 言葉で言って、理解されるわけでもなかった。


「分かりました。サハンナーの金貨を手にしたら、お届けに上がります。しばらくお待ち下さい」


 ハーラージ爺さんも、直ぐに金貨は手に入ると思っていた。

 ビンテージワイン程ではないが、サハンナーの商人に、幾つものワインを、降ろしているのを見ているから、直ぐに回収できると踏んでいた。


「日が沈み、辺りが真っ暗になった時に、舟の墓場が現れるんだ。海底が赤く染まるように、非常警報の点滅が明かりを発する場所が、潮の変わり所で。マグロの通り道なんだよ」


「夜に、網を投げるのか。ハーラージの爺さん」


「夜は、流石に休んで。明け方に、一本釣り狙いよ。マグロの腹の空いたやつから、餌に食い付くんだ。餌は、一杯のイカ。これに限る」


「何だよ、アジは食わねぇのかよ。マグロって、贅沢な魚だな」


「ああ、若い頃は、簡単に釣り上げたもんだが。歳のせいか、1時間もマグロと格闘したよ。久々に痺れたね」


 ハーラージ爺さんは、糸をたぐり寄せるパホーマンスを付けながら、格闘シーンをよりリアルに表現している。

 目を輝かせ、老人とは思えないほどの表情を見せながら、若者を煽っている。


「こうやってだな、イカが踊るように、左右に上下させるんだよ」


 ボクサーが、デンプシーロールをスロー再生するように、8の字を描いていた。


「あと、不思議な事に無人のヨットが、停まっているんだよ」


「何だそりゃ」


「良くわかんないけど、波に揺られているんだけど、流されないんだよ。アンカーが落とされているみたいなんだよ」


「だったら、今そこへ向かったら、場所は分かるんだな」


「俺が教えるよりも、分かりやすい。大海原に一層のヨットが浮かんで。気味悪いけど、目印にはなる」


「何だよ、縁起でもないな。舟は沈めないで、人だけ拐ったのか」


「だから不思議何だよ。クラーケンが、舟だけ残すなんて、聞いた事もない」


「皆さん。イカなら、私が持ってますよ」


 私は、別な倉庫へと向かい。中へ入り、暗い部屋の中で、アイテムボックスから、60杯程のイカを取り出して、急いで凍らせた。


「直ぐに凍らせたから、新鮮だと思うけど。これで行けますか。ハーラージの爺さん」

読んでいただき、有難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

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