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 ◆


 彼が小学四年生の、ある春の日。

 焦っていた。

 ただ、焦っていた。

「おい冬也! そっちに上がるんじゃ――」

 1-1で迎えた後半、ディフェンスラインを押し上げ得点を取りに来たFCカムイは、隙を突かれ、相手の鋭いカウンターに一点を許し、均衡状態に持ち込まれていた。

 このままだと準決勝へ行けない。クラブ初めてのベスト4目前に、ここで屈辱を味わうのは絶対に嫌だ。だからこの試合終了間際のラストプレー、ディフェンダーの彼は相手のゴール前に走った。

 スコアボードの数字を恨めしく睨み、背番号4は監督の声も聞かずにボールを持って右サイドに流れた味方に合わせて、上がってきたクロスに飛び込む。相手ディフェンスが邪魔しにきたがお構いなしだ。とにかくボールに、なんとか、一点に繋げるため――

「あ」

 誰の声だったのか少年には分からなかったが、それが聞こえた時にはもう少年の体は、衝撃とともにボールとは離れていた。ぶつかってしまったのだ、誰かと。ピッチ外に流れるボール。倒れる少年と、ぶつかった相手。痛みの中見えた同じ色のゼッケンを着てる事。少年は気づく――ああ味方同士で接触したんだな、着地ミスった倒れ方されたな、と。揺らぐ視界に、倒れた味方の足が嫌な方向を向いてるように見えた。視界の歪みのせいなのか、本当に曲がっているのかは、分からない――

「う……」

 漏れた自分の声は騒然とするピッチ内にかき消され、同時に乾いたホイッスルの音と、駆け寄るチームメイトの姿があって……………………………………………………………………………………………………………………………最後に……………………………………………………………………………………………

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