プロローグ
21世紀末太平洋上のとある無人島で火災が発生した。島にある森林のほとんどを燃やし尽くしたその火災は自然発火によるものだと発表された。
しかし、その実、火災を引き起こしたのはとある生物であった。
それは虎のような見た目をしているが既存の生物とはある一点において決定的に違っていた。その生物は火を吹くことができたのである。
この火災以降、世界各地で超常現象を引き起こすことのできる生物が発見される事件や人間が超常現象を引き起こす事件が報告されるようになった。
各国はそれらの生物の存在を隠し、秘密裏に捕獲、研究した。そしてその研究の結果、地球上の生物に今まで認知することのできなかった力が存在しているということを発見した。
この力は魔力と呼ばれるようになり、魔力を感知できるようになるためには一定以上魔力に晒される必要があることが判明した。最初に発見された魔獣ー一定以上の魔力を持ち魔力により超常現象を引き起こすことのできる動物は、魔力を発生させる鉱石の影響を受けており、これらの鉱石が存在する岩場の洞窟ないを巣穴として生活していたことで魔力を感知できるようになってしまったのだ。
しかし、本来魔力が感知できたとしても、それを用いて超常現象を起こすことは不可能なはずであったが、この生物はそれを本能的にやってのけてしまった。
この仕組みを各国はさらに研究し、ついに魔力により超常現象を引き起こす技術、「魔法」という技術の解明に至る。
22世紀、魔法は世界中に大々的に発表され、各国の魔法研究競争はさらに激化していく。
魔法の公開後先進国たちは魔法技術の独占をはかったが、魔力を感知できる人間が増えていくにつれこの独占的な地位が危ぶまれるものになっていく。これは、先進国たちが科学的に技術化した魔法を非先進国が寓話や民間伝承といった非科学的なものに基づいて技術化されていたことを軽視した結果である。これにより、今まで発展途上国と呼ばれていた国のいくつかが軍事的な意味で大きな力を持つ可能性が生まれた。このことに危機感を感じた国々は2160年魔法の軍事的な利用を制限する同盟を結び、また、それと同時に魔法技術の管理、及び魔法による災害対策を目的とした国際魔法協会を組織する。
この同盟と国際組織には多くの国が参加したが、もちろんこれらの同盟は表面的なものであり、各国は魔法の軍事利用を水面化で準備する。
2184年、魔法協会理事国のある国に所属する幹部が殺害される事件が起こる。殺害された幹部の所属する国とその近隣諸国は魔法協会からの脱退を表明、魔法協会に対抗するべく、国際魔法連盟を発足するのである。
これにより世界は魔法協会参加国と魔法連盟所属国の2つに分かれることになる。それと同時に魔法協会と魔法連盟は共に魔法を用いた国際軍事組織としての側面を強めていく。そして、2187年魔法連盟側のある国が大使殺害の報復に魔法協会側の国の都市を占領し、魔法協会側国家への戦線布告を行う。
世界は第三次世界大戦に突入し激動の時代が幕を開けるのである。