「面白れー女」から始まる恋に惹かれない
男女逆でも同じことが言えます。
好き勝手書きました。ご不快になられましたらすみません。
皆さまはじめまして、そしてお久しぶりです。以前好きになれないタイプのハーレムものについてエッセイを書いた田中つか茶です。
これからタイトルにある通り、「面白れー女」から始まる恋に対して思うことを書き殴っていきます。胸に秘めた攻撃性が全面に出ないよう努めます。
その前に、ここで言及する「面白れー女」の定義について説明していきます。
・ヒーローは、はっきりと自分の主張をする(その男性に異を唱える)女性に出会ったことがないものとします。
・「面白れー」と思われるヒロインはヒーローのことを何とも思っておらず、彼に対して媚を売らない、または多少反抗的とも受け取れるような強気な態度を取るものとします。
・ヒーローはそのヒロインのことを不快に思えず、むしろ「面白れー女」だと興味を持って積極的にまとわりついていきます。(「まとわりつく」という表現に攻撃的な意図はありません。ごめんなさい、ほんとはあります)
・便宜上、主人公を面白がる側としてヒーローという文言を用いていますが、男女の役割が逆(「私に傅かないなんて、この男何なの!?」みたいなやつです)でも同じことが言えます。しかし、この「面白れー女」形式には往々にしてヒーローが主人公を面白がる側として登場することを考慮し、主張内ではヒーローとヒロインという表現を使わせていただきます。
ここから読み進める際には、この定義を念頭に置いてください。また、ここで用いた「ヒーロー」「ヒロイン」という表現はメインカップル、または主人公カップルにおける男女を意味しています。
よーし、どんどんいくぞ!
まず、私はこういうシーンに出くわすとこう思います。
「だから何だよ知らねえよ」
遅ればせながら、開始からトップギアでお送りいたします。終始こんな調子でいかせていただきます。
そのヒロインが珍しくて面白いのだとして、それがどうしたのでしょうか?
そもそもヒーローに「面白れー」と思われたヒロインは彼のことを何とも思っていません。気に入られたからといって「ふ~ん。あっそ」か「えっ、興味とか持たれても困るんだけど…」ってなるかのどちらかでしょう(まあ、キュン! となって絆されるパターンもありますがそれは末永くお幸せにしていれば問題ありません。HAPPY WEDDING!!)。
え、「塩対応だからこそ面白い」? それってヒーローの感想ですよね?(まさか自分があのフレーズをもじって使うとは…)
そもそも相手を「面白い」と形容していることがいまいち気に食わないのです。
ああ、もちろん本当に面白い人だったらそのように形容しても構いません。
「へぇ、貴族令嬢なのに綱渡りや人体切断マジックもお手の物なの? しかも他にも大道芸を習得してるって? ふーん……面白れー女じゃん」
これだったら全然オーケーです。ヒロインが大道芸人令嬢だったらさすがに珍しすぎますし、大道芸とは観客に「面白い」と思わせてこそのものなので、「面白れー女」は立派な褒め言葉となるでしょう(ヒロインが嫌々大道芸人令嬢をやっている場合は別です)。それにしても、大道芸人令嬢とは何なのでしょう?
また、「ウマ娘」のキャラクター、ゴールドシップを「面白れー女」だと気に入るのも許容できるものとします。もしかしたら、ゴールドシップ自身はその評価をよしとしない可能性もありますが(なぜなら彼女の思考は凡人である私には推測しきれないから)、彼女の突飛な言動には目を見張るものがあり、彼女を「面白い」以外の言葉で形容することは少し難しいからです。
問題は「自分に興味を示さない」とか「こいつは周りの女と違う」というくっだらねぇー理由で相手を「面白れー女」だと形容している場合です。
まず、価値観は人それぞれであることを忘れて「女性とは自分に興味を持っているものだ」という偏見を抱いている時点で笑い飛ばしてやりたくなります(これは先述したように、男女の立場が反対でも同じことが言えます。こういうキャラクター、自分のこと過大評価し過ぎてると思ってしまいます。私は歪んでいます)。
「こいつは他とは違う」当たり前です。価値観や好みは人によって分かれるものであり、大多数のそれと違う人だって探せばいるでしょう。今までヒーローがそういった人に巡り会ったことがないだけです。勝手に盛り上がって特別扱いするなど笑止千万。「みんな違ってみんないい」大切な言葉ですね。
この「面白れー女」ムーブには更に残念なポイントがあります。
それは、無意識に相手のことを自分を楽しませる舞台装置または珍獣として一方的に扱っている点です。
恋人とは愛おしかったり、魅力的/魅惑的だったり、一緒にして安心できるような存在だと私は考えています。もちろん「一緒にいて楽しい・面白い」を大切な要素だと考える人もいるでしょう。それは人それぞれです。
しかし、「面白れー女」ムーブには恋人として親密な関係を築く上で欠けているものがあります。それは相手の気持ちです。ヒーローにとって「面白れー女」との交流は楽しいものでしょう。なにせ塩対応が新鮮で「面白い」のですから。しかし、人間関係とは相手の気持ちありきのものです。
ヒーローに「面白れー女」だと言われたヒロインはどう感じるでしょうか。それがきっかけで関わってくる上に自分のことを面白がってくるような相手のことをヒロインはどのように思うでしょうか。
面白がる行為はいじめと紙一重です。面白がられることを嘲笑されたと感じて嫌な思いをする人もいるように、対応を間違えるとたちまち誤解を招きます。また、いじめの言い訳で使われるのもいじりですね。そこに相手へのリスペクトや思いやりがなければ、不快なもの以外の何者でもないでしょう。
私が考えているような事態はレアケースです。ほとんどの創作物でこのようなことは起こらないでしょう。また、このような解釈がなされないように作者が何らかのケアを行っている場合がほとんどです。しかし、ケアが不十分な作品もあります。そういったものを読む度に「こいつらはくっつかない方がいいのでは?」と何だかもやもやとし、どうにも惹かれないのです。
持論が全面的に押し出されたエッセイでしたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。正直自分の偏見をぶちまけてしまった感が強く、何の薬にもならないものを作ってしまったと若干後悔し、反省しております。自分を見つめ直してきます。
では、さようなら。