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春を待つ。

作者: さち

「あ、雪。」

昨日の夜、寝る前にチラつく雪を見た。


「うぅ…今日の夜は寒くなるんだろうなぁ。」

布団に入り、足をモゾモゾさせる。


明日の朝、積もってるのかなぁ…。

どうして大人になっても雪って嬉しいんだろ?

珍しいからかな?


そんな事を考えていたら、飼っている猫がスルリと布団へもぐってきた。温もりを感じてさっきまでのソワソワはどこかへ行ってしまったようだ。


トクン…トクン…


小さくて、でも優しい鼓動が聞こえる。

気づけば寝息をたて眠りについていた。




朝。

いつもよりヒンヤリした空気に喉がひりつく。

「う〜ん。おはよ。」

伸びをする私のところへ同居人?同居猫…かな?

毎朝のご挨拶。

喉を鳴らしてスリスリしてくれる。



シャッ!カーテンを勢いよく開ける。


「うわぁ!真っ白!?」

やっぱりちょっと積もったんだ!

毎日見る景色が別の世界に生まれ変わったみたい。


「すごいねぇ。ちょっと触ってみる?」

窓をほんの少しだけ開けて雪を手に取る。


空気なんかよりずっと冷んやり。

嫌がって猫は逃げちゃった。

「寒かった?ごめんごめん。」



カラフルだった屋根が真っ白なキャンバスになったみたい。お日様が照らしキラキラ光っている。



積もった雪が音を吸収して賑やかな朝の声がいつもより遠くに聞こえる。…気がした。



「電車遅れるかなぁ…。あっ!靴どうしよう。」


そんな事をブツブツ言いながら、テレビをつける。

天気予報の後にいつもの占い。


今日の運勢は…やった!一位だぁ〜。

何かいい事あるといいな。

「ね。君にもいい事あるといいね!」

ウニャ〜ンと伸びをする姿を横目に朝ごはんを食べた。



天気はこの後晴れるらしい。

あっという間に溶けちゃうんだろうな。

じゃあ、この景色は今だけかぁ。


「いってきまーす。お留守番よろしく。」

同居猫の彼に声をかけ、少し早めに家を出る。

電車も大丈夫そうで良かった。

ホッとしながら慣れない雪道を歩く。




ふと街路樹に目がいく。


なんだか蕾が少し膨らんで見えた。

家の側にある桜並木。

この並木道を歩きたくて今の家に決めたんだ。


この道は桜が咲くとトンネルみたいになる。

薄いピンクの桜の花。

その隙間から見える春の高い空。


早く春が来ないかな?

あの吸い込まれそうな真っ青な空を見たい。


ほんの少し暖かくなった風を感じてほんの少しだけ足取り軽く駅へ向かう。


よし。今日も頑張りますか!

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― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱり人間の女の子と猫の絆を描いた内容は良いですね。 白銀の雪が舞う冬の次は桜舞い散る春がもうすぐやってきますね。 僕も楽しみです!
[良い点] 雪の夜から春の予感がする朝までの平和で穏やかな日常を拝読させていただきました!地の文はOLさんの一人称ですが、私は何となく「同居猫」になった気持ちでOLさんとの生活を楽しみました! ありが…
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