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事後処理も終了、そして


 事後処理。

 翌日、俺らは盗品運搬という重労働に従事させられた。

 相当な量が貯め込まれた洞窟の奥から、小型の猫車に載せて、えっちらおっちらと外に運び、それをさらに街道まで運び出し、待機している荷車に載せ替え――それをさらに首都マーダへと三日かけて運搬する。これらは持ち主が判れば返却、そうでなければジシィ・マーダの国庫に入る。その一部が俺らへの報酬になるというわけだ。

 こういうときに、アイテムストレージやら魔法の袋みたいな、四次元ポケット魔法とかアイテムがあれば楽なんだけど……生憎とこの世界には、そういった超便利魔法もアイテムもない。

 そりゃまあ確かに、「無限になんでも収納」できて、質量も時間も超越したストレージなんて、どんなご都合魔法/スキルだと思うよ、うん。この世界の魔法が「科学的に原理を再構築する魔法」である以上、そういうご都合魔法がないのは当然といえば当然だよね。

 でもそういうご都合魔法やアイテムがあるからこそ、異世界転移やら転生が捗るんじゃないですかねえこちらの神様?

 なんか俺にもそういうの――もらったじゃん。100P分の超絶ご都合能力。

 多分ストレージ系はもっとバカ高いんだろうなー、と……「超変身」とまではいかないまでも、百万ぐらいはかかりそうだよなー。

 ちょっともういっぺん神サーチ見てみたい……「超人変身」のポイントインパクトに全部持っていかれて、どんな技能あるとか確認できなかったし。百均能力にしても、数だけはクッソ多かったから、もしかしたら〈絶対領域〉に匹敵する使える能力が別にあるかもしれんし……「笑い」? それはいらん。


 ……お宝が運搬されている間、洞窟に俺らは待機。ジシィ・マーダ軍から人員が配置されるまで、張り付いてなければならない。

 警戒しなきゃいけない盗賊は始末したし、食料の現地調達する以外は待機している、では暇なのだが――盗賊退治終了からさらに一週間待って、ジシィ・マーダ軍が到着。


「はぁ……やっと帰れる」

「一仕事終えた後の方が辛かったなぁー」


 すっかり復調したナオは、背筋を伸ばしながら一息つく。

 ――あの後、復活したビュスナは、治療されて元気になったナオを見るなり、涙をこぼしてナオに抱きついた。

 その態度に俺は本当に驚かされた。

 こんな風に他人を心配するこいつの姿なぞ、今までに一度も見たことがない。

 心配しているにしても、そんな態度は表に出さないのが、こいつらしい態度だと思っていたのだが――初めてできた同性の友達を、仕事の途中で失うかと思ったら、そりゃまあ本気で心配もしただろうからな。

 だが、一頻りナオの心配を態度に出したあとは、やっぱり元のビュスナに戻った。顔と目は赤かったけど。

 まあ、そうでなくちゃ俺もナオもやりにくい。


「皆さん、ご苦労様でした」


 俺達はククリグのギルドへ戻り、事後作業の報告の後、ラスさんから報酬を受け取る。

 基本報酬の二万に、盗賊捕獲が「予備団長」含めて十一名、アジトも発見したので、合計十五万五千ゴネルが賞金として出るが……これを全員で分配となると、一人五百ゴネルぐらいだ。

 で、総額一人二万とんで五百ゴネル。うん、冒険者の仕事としてはそこそこの稼ぎだな。経費は別だし。

 今回は依頼遂行の経歴が一つ増えただけで、ギルドのランク評価は変わらず。そうそう毎回イレギュラーな上がり方もしないかさすがに。


「……はぁ、今回もうちは役立たずやったなぁ……」


 と、ナオはまたもボヤく。


「身体張ってビュスナ守っただろ。役に立ってるって」


 いつもは背中をはたかれる役目だが、今日は俺がナオの背中を叩き返す。


「ま、今回もなんとか生き残ったわけだし、装備の整備とか新調して一休みしてから、次の仕事にかかるとしようぜ」

「……せやな」


 ナオも力ないながら、笑みを作る。


「それはそうとさ、ゴブリンも今回の盗賊もギルドからの依頼じゃない? 次は自分たちで選んでやろうよ」


 おお、シェラがいいこと言った!

 そうだよな、ギルドからの斡旋仕事ばっかじゃなくて、自分たちで選んだ仕事もこなしていかないとな。


「……ごめん、あたし、次は一回抜けるわ」


 ――ビュスナが唐突に、そんなことを言い出した。


「え、ちょ、どないしてん」


 ナオが問い質そうとするのを、俺が止める。


「ちょっとな、里帰りする急用ができてな。俺らは俺らで、一回軽い仕事やるとしよう」


 そう言って、俺はビュスナを残し、ナオとシェラを連れてギルドの依頼コーナーへ行く。


「……ビュスナの奴な、ベレー・レイヴァーから、本当の生まれ故郷の話聞かされてな。まあその話を親父さんとお袋さんに聞きに行こうってことにしてな」


 ビュスナも、こんなところで家族の真実をカミングアウトされるとは思っていなかったので、とりあえずそれを片付けておかないと、冒険者稼業にも集中しにくいだろうと。


「……せやったら、うちらも一緒に行こか」


 おや、ナオさんがそんなこと言い出すとは。


「別にええやん? ケンも実家に多少仕送りしときたいやろ。うちは実家遠いし、シェラは――実家どこや」

「ボクは孤児だからね。その日泊まった宿が実家みたいなもんだよ」


 お、ちょっと流浪の吟遊詩人みたいなこと言った。草原が寝床で空が屋根、とかそういうの。


「あー……まあ何やな、故郷で積もる話もあるやろから、うちらは宿でもとるわ」

「すまんな、俺ん家は狭苦しい貧乏狩人一家だから……」

「いいよ。それくらい自分で面倒見るから」



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