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死、そして転生(よくあるアレ) 3

「……もう少し有り難がってもいいんですよ?」


 うんうんそれはまた後でゆっくりしていきます。転生したら百年感謝しますので。

 ところでこのポイントで、どのくらいの能力が取れるもんなんですかね?


「じゃあこれ見て決めてください。ポイントは一〇〇ありますから、その範囲で」


 先天的個人能力一覧か……ナニナニ、念動力、小:五〇〇、中:二五〇〇、大:一〇〇〇〇……っておーい!


 高っか。チート能力高っか!

 えーと、「超人変身」、一億五千万……だと……バカな! こんな数値などありえん!


「そりゃまあチート能力ですから。超人変身っていうのは、いうなれば伝説のスー(ピー)人ですね」


 今なんかピー入った。


「《神の音》です」


 なんだその音。


「相手の世界認識で不都合があると勝手にこういった音声・映像的認識遮断が入る能力です。神なら誰でも持ってます」


 そんな能力意味があるのか。


「下手に全部しゃべるとあなた方の世界に過大に干渉してしまいますから、干渉制御のためです」


 どんな干渉や……んで、もう少しリーズナブルで使える能力はないもんですかね?


「じゃあ使用ポイントで検索かけて選んでみたらどうです? 一〇〇ポイント以内の能力で」


 なんか検索画面出てきた……神サーチ? なんでも探せる神の検索? すげー。登録しときたい。


「残念ですが神専用なので登録はできません。そしてこれがあなたのポイントで使えるチート能力です」


 ナニナニ……うむう、一〇〇じゃ大したのねえなあ。数だけは無駄に多いのに……なんだこれ、「笑いが取れる」? これチートなの? 「絶対判定勝ち」……ビミョーやなー。「絶対味覚」「絶対音感」……俺、料理人や音楽家目指してるわけじゃないしなー。


「まあ普通は、チート勇者なんて、転生時に何百万、何千万ポイントとか平気で持ってくるもんですけどね」


 何百万……だと……(ざわ……)!

 そんなポイントどうやって手に入れるんや。


「なんか人類の認識や世界を変えるような大発見や大発明をしたり、多くの人を救ったり、歴史上の偉人とか呼ばれるレベルの人生ポイントがあれば。

 むしろ欲に正直に生きすぎて、人生マイナスになる人も多いですから、黙っててもプラスになるだけで儲けもんデスよ? 世の中には欲に忠実に生きてすら、大量のポイントプラスになる人もいますけど、そんなの確率論からいえば『いない』のと同じですし。

 常人なら常人らしく、運任せは放棄して、努力して生きるのがベストですよ」


 ぬぐう……世知辛いのう。


「ほんとだったらただの転生でキャラメイクやって再起動っていうか、リスタートするだけとはいえ、そこにも割り増し、さらにチート能力までつけるのは、普通の転生ではVIP待遇ですよ? 例えばあなたの元いた世界で、宝くじ何億円当たったところでアホはアホのまんまですしー、生まれつきのチート能力なんて手に入らないもんですよ?

 所詮、自分の能力外の話ですから。世界変わったら、国家発行の紙幣やら電子的数値なんていくらあっても役に立たないデスYO-YO?」


 むう……普通よりずっといい条件のはずなのに、なんか物足りない感が。


「お気に召さないならチートなし、マイナスで放り込みますけど」


 チート人生最高です! あざーっす! 百年感謝します!


 ……もうしょうがない、これで決めるしかないか……やり直しってどこまでできるんだ? ナントカの勇者じゃないけど、リスタート前にやり直ししたいときー。


「完全に最終決定して、転生承認されるまではどれだけやり直してもいいですけど……」


 後が詰まっているので「なるはや」で、と言われた。

 うーんうーん、うーんこのスキル。なんかええのはないのんか……「うんこで健康状態が解る」? いらんいらん。そらー健康に越したこたーないけど。うんこのスキルが欲しいんと違うんや。

 ……お。


「この『絶対領域』ってのはなんですのん」

「ああそれ、スカートとニーソの間のアレ……」


 それなんかい。どーゆースキルや。


「――ではなくて、あらゆるモノ、エネルギーを完全物理的遮断する神の領域を創ることができるという、非常に有り難い能力です」


 おお、なんか良さげだけど……具体的には?


「最初は小さなエリアしか発動できませんが、長く使っていくうちにより大きな領域を発動できるようになりますよ。がんばって鍛えてください」


 ふむふむ……使い込んで調教すれば拡張できるとな?


「なんか不審な響きがありますね……発動は形状も自由自在です。認識できる範囲なら平面、曲面、思いつく限りどんな形状にしてもおkデス。合計の面積以内ならアイディア次第で使い方が広がります! ただし申し訳ございませんが、100ポイント能力につき分割はできません、一括のご利用のみになります!」


 テレビショッピングか。なんでそんなん知っとるん。

 しかし百ポイント均一便利スキルか……だがなんか便利そうな気がしてきた。百均アイテムだって使い方次第で十分使えるしな。

 そう考えると、絶対領域の無敵勇者……うん、悪くないかも。異世界なら間違っても、この言葉で変態扱いされる恐れもないし。

 まあ他にこれといったスーパースキルもなさそうだし、不老不死とか見たら百万でも全く足りないし、スーパーパワーとか超変身とかも一億とかいるし……一〇〇じゃチートも足りませぬゆえ。


「まあ運命は自分で変えるものデスよ。

 ついでに『です』って言葉がカタカナで伝わるようにしときましょうか?」


 いらんわそんな無駄スキル。


「おまけデスよ?」


 今でも自分でできるからイラン。


「そりゃそうデスね」


 なんだこの神。ホントは笑いの神(ボケ担当)と違うんか。「笑いが取れる」って入れたのお前やろ。


「それでは転生よろしいですかね」


 いやまてまだキャラデザ終わってへん。


「まだできてないんですか? 締め切りすぎてますよ」


 その台詞はデスマ思い出すから止めてくださいマヂデ。


「チートスキルさえ決まってしまえば、あとはそう大した手間もかからないでしょう」


 せやな。

 さて、肉体設計ったって……まあ全部普通じゃつまらんから、どこを伸ばして、どこを多少アホでもええとか決めんと。


「ちなみに」


 おおう。なんぞ神。


「ブサイクはお勧めしませんよブサイクは」


 お、おう……。


「漢は顔じゃねえ!ってのたもうてた過去の異世界転生勇者は、容姿分のステータスを能力に全振りしてソッコー勇者にはなれましたが、後の世に『伝説のブサイク勇者』って伝えられてますから。その世界ではものすごい有名ですよ。世界のブサイクに勇気を与える感動の実話!みたいな。生き方は漢侠溢れる、どんな男でも憧れる生き方だったんですがね……顔以外」


 イヤやそんな伝説化。絶対イヤやん。その一点だけでもうね。


「そしてやっぱりモテませんでした。転生前もなかなかアレでしたが、こちらでもリア充にはなれませんでしたねえ。まあ多少のお楽しみは金銭で得ることはできましたのでDTは脱出できましたし、最終的に『漢は外見ではありません、生き様です』というブサ専聖女様が救済してくれましたけどね」


 悲しいなブサイク勇者! マジ悲しいわ! 愛が金でしか買えないとか! あ、でも最後はリア充的な……いや、これはブサイクというデメリットを吹き飛ばすほどの結果を出したからか。でも「ブサ専」てのがなんとも……まあいいそれは。


「他にも、前世でちょっとイケメンだからっておいたが過ぎたイケメン君がブッサイクーなのに転生して、精神的にかなり辛く厳しい一生を送らせる罰ゲームコースとかありましたねえ。こちらもブサイクっていわれるのが悔しくて自力で勇者に上り詰めて、別の意味で伝説の人になりましたけどねー」


 俺イケメンじゃないけどそれはほんとマジ勘弁ですわ……いやほんと、ブサイクはないわーマジないわー。

 しかし元イケメン君は、ブサイクにされると反動で勇者パワーに目覚めるのかね……どんだけアンチブサイクやねん。そらまあイヤですけどもー。

 ブサイクは人の隠れた能力を覚醒させるだけの何かを秘めて……いるわけじゃないわな。

 逆にブサイクがイケメンに転生したら何に目覚めるとか……春に目覚めそうだな。


「そう思われるなら普通以上の容姿であることをお勧めします。まあ普通にしておいても一割り増しですから、微イケぐらいにはなれます。そしてその方が女子も近づきやすいのでリア充の可能性が上がるという調査結果も神総務省の調査で」


 ……何の調査しとんの神。神総務省なんてあるんか。


「……じゃあ普通でいいよもう」


 多分、俺の現在でも普通レベルや。リア充ではないが避けられもせんからそれでいいよ。

 どうしよう、今の俺基準で考えたら……


 容姿:ふつー(一割り増し)

 頭:ふつー(一割り増し)

 体力:やや良(一割り増し)

 パワー:やや良(一割り増し)

 スピード:やや良(一割り増し)


 ぐらいかなあ。だがチャリンコと格闘技(自己流)で鍛えた体は伊達じゃないぜ! ってそれ持っていけるんかな……。

 とはいっても、殺伐とした命のやりとりに慣れてるわけじゃないからな……。


 メンタル:ふつー(一割り増し?)


 も加えておくか……グロ画像程度ならなんとかなるが、実際目の前で人がボーンとか首スッパーンとか頭パックンチョされたらどうなるやら。血の臭いとか吐きそうだわー。

 まあそういう世界行くんだから、多少は慣れんといかんのかー。


「まだですか」


 まだ五分ぐらいしか経っとらん。


「キャラメイキングなんて五分もあれば決められるでしょうに」


 俺はじっくり裏設定まで含めて決める派なんだよもうジャマすんな。


「ああもうイライラしますね、こんなの全部テキトーでいいんですよテキトーで」


 ぽち(決定)。


 あっこらナニしくさんねん!


「後がつかえてるんです、とっとと転生してください。では良き人生をー」


 待てやコラ、ナニが良き人生を、だ! ごゆっくり言うたやろ! 俺の異世界チートライフがー!


 とかなんとか怒鳴ってる最中に、俺の体が浮いた。

 あ、天使が来てパトラッシュとかと一緒に行くやつや……パトラッシュおらんし疲れてもおらんけど。あ、いや人生に疲れてはいたかな……疲労が死因だったし。

 いや、どっちかってーとキャトルミューティレーションっぽくもあり……いやいや! ちょお待て!


「はい次の人ー」


 オイコラ神ー! テキトーしやがって、覚えとけやー!


「そういう呪詛吐くと呪いますよ」


 うるさいわ! 呪うんは俺や! 人のステータス勝手にいじくりおって! 覚えとけよー!


「はい次の人、あなたはどう……」


 神無視しやがった!

 くっそ覚えとけよあいつ!

 神殿に落書きと立ちションしたるからな! 像あったらヒゲとメガネとスネ毛書いたる!


『天罰』


 バッシャ――――ン!


 ほんげ――――!

 な……なんか電撃みたいなのが、きた……


『転生時ぐらい静かに逝きなさい。あなたに神の祝福があらんことを』


 お、おい、なんか、「いく」のニュアンスがなんか……変……。


 …………

 ……

 …



 …

 ……

 ……次に俺が目覚めたのは、多分「森の中」だった。

 誰もいない森。

 そしてここはどこの森。

 これも天罰なのか……ちくそう!


 ブフゥー……


 あれ?

 なんか、敵対的な巨大生物っぽい息遣いが聞こえるんですけど……?


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