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「だから、明日何をするんだ?」

 その答えは言わず、プクゥ~と頬を膨らませるだけにだった。

 そして、自分に問う。

「なぜこうなっている!」と。

彼女が家に居て、テーブルを挟んで自分と一対一で質疑応答をしていた。いや、尋問と言うべきか。

彼女の姿は制服ではなく、制服の下に来ていた『快盗スーツ』という、黒でスタイルがバッチリ出ている戦闘スーツ。あちこちに筋力補助用の装置の帯が張り巡らされている。昨日の夜とは違い、マスクとロープ類は無かった。

自分は手元にインターネットを使うノートパソコンを置いていた。手錠掛けられていてもタイピングは出来ます。



あの後、それぞれの悪友の誤解を解くのがとても大変だった。何せ記憶のない気絶していた時にやらかしたようだ。首締められて険しい顔で椿を学校に無意識に担いでいった事は分かった。その後が問題。

悪友が言うには、

「お前やるなぁ。」

 彼女の悪友が言うには、

「変人とか言われている彼女を想う人が居たなんて……。」

 そこら辺の奴が、

「折原……燃えているな。」

「鬼だぞ。鬼!!鬼!」

「あの、古川椿を堕とした猛者がいるとは……。」

「古川さん……幸せものだね。」

「最後、ドラゴンを倒すとか勇者だ……。」

 最後のは中二病か! せめて、熊とか鮫にしておけ!

 それにしても、記憶が無い時の俺は何をしたのだ。昼休憩に教室に戻った時、腕にある手錠に注目する奴はおらず、クラスの誰からにも英雄視されているこの状況は!

 なぜこういう状況になっているのか分からない。理解出来ない。理由が分からない。この椿と同時にニヤニヤ見られるみんなの目が痛い。

 いやいや。記憶に無い時より目覚めた後のあれがいけなかった。あれを諸に見られたから、色々あれをされて、いやあれをあー言うことになって、あれがあられあれされて、あららあれが広がり、あれあれ持ち上げられて、あれあーれあーれ言われて、あれられ、あめをあれ愛礼すると、持ち上げられ、あられをららっられ、らろれれれ……。

 あれ?あれって何だっけ?

「あれは登が私のインナー(としての快盗スーツ)を見たいって、私が脱いだことだよ?」

 ゴメン。この天然美少女さんにはもう少し考えて発言して頂きたかった。

「あいつ。古川さん何させているんじゃ。」

「古川さん。可愛そう。あのクソ野郎許せない。」

「であって早々の純粋なカップル誕生だと思ったのに。」

「サイテー。どんな言葉で図々しく騙したのか。」

「それが折原の趣味なんだな。手錠といい、少女を洗脳といい。」

「女の子の着ているものなら何でも良いんだろう。スパッツフェチとか聞くぞ。」

 最後のところ、物騒な単語が入っているのですけど!俺はそこまでの外道野郎でも、クソイカレでも、スパッツフェチでもないぞ!!スカートめくれた彼女の姿に下心が無かったと言えば嘘になるけど。

「パンツは隠れるけど、布で隠しきれない可愛い尻の曲線とか、」

「そうそう。少しくねくね動いてみせるシワがまたエロい。中身とかね。」

 何なんだ……。持っていた心の声をザクザク掘り返せられているこの心臓の痛みは……。心の声を聞かれるということはこういう事なのか?

 女子が全員どん引きの男の会話に勝手にダメージを受けている登はさておき、登の好感度は意味が分からず上がっていたところを底まで落ちる事になった。

一方天敵からの精神攻撃におびえ、事実、首をスーツのオーバーアシスト分の加重の締結力を登の首に負わせた椿は、登のそんな様子を見つつ、

「やはり、明日は一人でやらないと。」

 担がれて学校に連れられた時の、意識が朦朧とする中の断片的な記憶を照らし合わせて一人合点をしていた。



「だから、明日の夜に南神ホテルで何をしようとしているんだ。」

 もう一度聞いた。

「むー。」

 頬を膨らませただけだった。

今行っているのは警察で言う取り調べもどきと言ったところか。ままごとみたいな遊びともいう。ただ自分が女の子とこのような形で話したことがないから、盛っていっているだけだ。

どうしてこうなったのかは、ずっと彼女の漏れている心の声に『明日の計画』と言う事項が共通して入っていたからだ。その頻繁さに気づきどうしても聞きたかった。

へたれも成長し、首筋が痛いのを堪えながら二人きりで話をすることの了承を取ることに成功したが、学校で二人きりになる場所を見つけれなかった。理由は簡単で、朝の時の雄志?と昼の時の醜態が早くも先輩を含めた全員に行き渡ることになり、終始誰かに見張られている感じがするので断念した。

「で、どうしようか?」

 そう言いながらも、校門を二人でくぐって外に出て、途中まで歩いて話ながら聞くという事になった。

 その時の話で驚いたのが、彼女の通学路上に自分家が存在するということだった。そう言えば、彼女の家に一度行ったことがあるのだから逆算して彼女の行動パターンを読める筈だが、昨日の夜と今日の朝の俺にそんな思考回路など存在しない。

 結局、自分家が入るマンションまで『計画』については聞けないまま着いてしまった。どうしようと一瞬立ち止まった。やたらと漏らしていた心の声もこの『計画』については一向に話さず、真意が分からないままだ。

 明日の事だから、今日聞いておかないと間に合わないことかもしれない。……間に合わないことって一体何よ。手錠を掛けたまま、尾行している時に南神ホテルを高い鉄塔の上から熱心に眺めたり、近くに行って周りを一周していたが関係はあるのだろうか。

分からない。まだ彼女の事が知らないことがある。今の状況で次に掛ける言葉さえも失っている事実。彼女はどう思っているのか……って、おいおい表情は固まったまま、体をプルプル震えさせないでおくれ。頼むよ。何にそんなに怯えて……え?

 椿の心の声が漏れている。女の子とまともに話したことのない自分でも、不自由なく、女の子を傷つけずに話すことが可能な事が出来る救済処置としてなのか分からないが、今まで以上に鮮明に分かる。

 彼女は迷っている。隠している事を自分に話すべきか、否か。それとも、他にも。

「あのさ。寄っていかない?まだ明日ではないし、時間あるだろう?」

 へたれのくせに、死にかけを経験するとこんな事をすらすらと言えるのか?不思議。


「結構広いね。」

 確かに。彼女の入室した第一声と自分が掃除する前はごみ溜めの様にモノが散乱していたが、今のように片付けると母さん一人で住んでいたにしてはあまりにも広いなと思った。散らかすための許容範囲を広げるためにこのマンションを買ったと言われたらどうしよう。

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