03:シンボルタワー
もう一つの世界アプリケーションワールド。
そこにはプログラムモンスター略してプロモンと呼ばれる、
地球で言う動物に似た半生物が存在している。
何故にプロモンは半生物なのか。
それは砂漠の掃除人、改め"クリーン"曰く、
「確かに俺たちゃプロモンは食って寝たりするが」
この声の持ち主は、とある場所を歩く三つの影の一つ。
額に輝く緑色の宝石・プロストーン。長い鼻面に四本の長い足。
全身は白や黒のシマシマ模様の体毛で覆われイヌに似た姿をしているがハイエナ型だ。
狙った獲物は逃がさない。時速60kmで3時間は獲物を追いかけ続けることができる。
「それはエネルギーを充電するためだ」
クリーンは他の二つの影と少し距離を開けて歩いている。
これにはちょっと訳がある。
「ウん。このエネルギーは"エレメンタルエネルギー"って言ウんだ」
ちょっと前まで、もう一つの声の持ち主を"ターゲット"とし殺そうとしていた。
仕事で。
しかし、今は実力的に勝てないと直感的に理解し監視のために行動を共にしている。
クリーンがターゲットとして狙ったのは。
体高100cmのクリーンより20cm大きく。
額にあるプロストーンの色は黄色。瞳の色は銀。
茶色の犬型。名はテッラ。ちなみに今は少年(犬)で前まで子供(犬)だったらしい。
「ちなみに呼吸するだけでも充電できる」
テッラはめんどくさそうに説明して自分の隣にいる人物をみる。
「え?それはつまり、息するだけで生きられると?」
「きゃははぁっ!イエスだぁああ」
「あの。質問いいです?」
「何さァ?」
「馬鹿犬さん。前にも申し上げましたが、人を睨むのは止めていただきたい」
「グゥゥウウ」
「ごほん。では質問です。エネルギーを充電されなかった場合どうなるのですか?」
そして最後の影。わざとらしい咳払いをしてテッラとクリーンの二人のプロモンに質問をしたのは、
交通事故に遭い死んでしまった人間。
あの世に逝きかけた魂をアプリケーションワールドの創造主であり管理者である少女が、
狭間の世界というなの空間に呼び。
生き返らせてくれる代わりに"縛られた闇―――"をしないといけないらしい。
何故に"――――"とらしという曖昧な表現化というと。彼自身、マレもわからないのだ。
少女によれば「いつかわかることです」だと。
「充電しなかったら戦ウ力が出せなイ」
「それだけ……ですか?」
「ウん」
「それだけ、だな」
「つまり充電しなくても生きていられるということか」
黒髪金眼ひょろりと背が高い"普通"の少年。
今彼ら三人は世界の中心にある巨大な島、四つのエリアの一つ森林エリアの中を彷徨っていた。
その名のとおりどこもかしこも木々に囲まれ緑が鮮やかで美しい。
しかし今は戦争中。どこから敵がくるのかわからないので油断はできない。
「あれ?あの塔は何ですか?って高い…。もしかしてやっと他のひ…プロモンの住処についたとか?」
遠目だが天まで届いていそうな塔を指差しながらマレは言う。
「……」
「……シンボルタワー」
とクリーンが呟く。
「へ?」
マレは首を傾げた。
「エリア所有者を決める、戦いの舞台だ」
「へぇ〜」
その瞳は真っ直ぐに塔を眺めていた。
表情からはっきりと彼の考えが読める。
(面白そう)




