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第95話 一緒に寝ようって子供じゃないんだから



 あの後は、シロナに作ってもらった夕食を食べてから、三人でこれからの方針について話しあった。


 攻略組とこの情報を共有するのは、もうしばらく様子をみてから。

 他の救出チームと連絡がとれないか、しばらく試してみる。


 ……この、二点を決めてからシロナと別れた。


 で、らいかをお風呂に案内して、仮想世界ならではの水の再現率の低さについての文句につきあいながら、就寝の時間までリビングでだべって過ごした。


「お兄ちゃんたちの情報は向こうでも一人一人モニタリングされてたから、どんなアバターにしたのかはすぐわかったよ」

「それだけ? まさか、毎日何してるとかプライベートな事筒抜けになってたりしないよな」

「うーん、どうだろう。私達が知らされていたのはアバターの姿と、大雑把なレベル、位置情報くらいだったから」

「ほっ」

「あ、もしかしてお兄ちゃん人には言えないような事してたの? してたんでしょ?」

「別に、どうだっていいだろ」


 引きこもりしてたっていうのは、たぶんすぐにばれるだろうけど、今はいいたくないし。

 うーん、僕ってこう考えると……らいかにとっては良い兄じゃないかもな。


 助けに来てくれた妹の気持ちはうれしいけど……。

 だから、なおさらね。


 そんな話をしながらも、来夏を僕の寝室へ案内して、僕はダイニングにあるソファーで寝るため移動しようとするんだけど……。


 そこで、らいかがある提案をしてきた。


「いいじゃん、久しぶりに一緒に寝よ!」

「何で僕も一緒に寝なくちゃいけないの?」

「えー、お兄ちゃんらいかの事嫌いなの?」

「そんなわけないだろ。だから、僕の方が出ていってソファーに寝るって言ってるんだよ」

「それじゃあ、お兄ちゃんと話ができないよ」


 話なら明日もできるだろ。


 呆れる僕の横で、らいかは嬉しそうに布団にくるまってる。

 そして、僕の服をぎゅっと掴んで引っ張った。


 何がそんなに良いんだか。

 僕としては互いにもう小さな子供じゃなくなったんだから、一緒の布団に入るとか恥ずかしいんだけど。


 そりゃ、昔はよく一緒の布団で眠ってたけどさ。

 だからってこの年になってそんな事してるのが周囲に知られたら、色々まずいし面倒じゃん。


 でも。


「お兄ちゃんは、らいかがいると、迷惑?」


 僕ってこうやって言われると、やっぱりらいかには弱いんだよな。


「まったく。今日だけだからな」

「やった! ありがとう」



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