第92話 解放に向けて
当然その話の中には、仮想世界にとらわれているプレイヤー達を解放するあれこれもあった。
現実世界では、ゲームの開発スタッフの動きが、逐一ニュースで流れたりするらしい。
デスゲームを起こした犯人が捕まっていないのが若干問題だが、おおよそ想像通りだった。
そこでシロナが、躊躇いながらも尋ねる。
「あの、らいかさんは今まで現実世界にいたんですよね。ならこの世界で死亡してしまった人達がどうなったかは……」
基本的に人の話を遮る事が無い彼女だけど、よっぽど気になっていたのだろう。
らいかの言葉を待つシロナの瞳には、すがるような色があった。
「それは……ごめんなさい」
対するらいかは、まるで自分が悪い事をしてしまったみたいな様子で謝罪の言葉を述べた。
知らない、という意味でないのだろう。
らいかはそれ以上は言いたくないという雰囲気を纏っていた。
詳しく説明しなくても、それだけで現実世界でどんな事が起こったのか分かってしまった。
シロナには、誰かそういった状況の友人がいたのかな。
この世界で死んでしまった友人が。
重くなった空気を別に軽くしてやる義理はないけど、話が進まないのは困る。
しかたなく僕は話の続きを促した。
「で、らいかはどうして、そんな危ない世界にくるはめになったの? 開発スタッフどうのこうのって話題が出たけど、ひょっとしてそういう事?」
ここまで聞いてればある程度想像がつく事だけど、閉じ込められたプレイヤー達をサポートするためのチームみたいなものに、らいかが選ばれたのだろう。
でも、どうしてよりによってらいかを選んだんだって思う。
らいかはオンラインゲームが嫌いなのに。




