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第80話 だって、引きこもりだし



 律儀にずっと返事を待っているシロナに向けて、とりあえず口を開く。


「べ、別に行っても良いけど……」


 けど?

 けど何?

 その後、何続けるの?

 続ける予定なんて、何にもないでしょ。


「良かった。それなら、お弁当作ってこれば良かったですね」


 ヤバい、今シロナの方見る勇気ない。

 どんな顔してるのかな。

 ほっとしたような表情をしてたりするかな。

 だったら?


 落ち着けってば。

 だとしてもどうにもならないよ。

 別にどうでも良いし。


「朝食のついでに作れば楽だったんですけど」

「そんなのどっちでもいいじゃん」

「良くないですよ。綺麗な景色を見ながら食べるご飯は、おいしんですから」

「ふーん」


 内心ドキドキしつつも、気のない返事を装いながら、時間が気になってくる。


 今どれくらいだっけ。

 ウィンドウを表示すると、仮想世界の時刻が隅の方に表示されていた。

 あと、もう半時くらいで正午だ。

 もうすぐお昼になる。


 本物の空腹感を味わってるわけじゃないんだから、食べなくて別に死にはしないんだろうけどさ。

 すきっ腹で活動するとイライラするし、何かお腹に入れた方が良いかも。


「転移台のあるところまで行って、そこでお昼ご飯でも食べる? 家に戻った方が僕的には落ち着くんだけど……」

「駄目です! そんな事いってたら、ニルバさんそのままお家に引きこもちゃうじゃないですか」


 そんなに信用ない?


 まあ、あたりだし、その通りにしようかなとも思ってたから、何も言い返せないんだけどね。

 だって、外出するの本当に面倒なんだもん。


 だけどシロナ、そんなにむきになるほど天空の大地行きたかったんだ。

 最近レベリングばっかりだったから、たまには息抜きさせてあげてもいいかな。



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