第72話 これ、食後の軽い運動だから
そんな個人的な感情があって却下となった後者の案はやらないけれど、前者の案があるのだから協力しないわけもいかない。
でも。
嫌だなぁ。
めんどくさいなぁ。
せっかく引きこもりライフに戻ったのになぁ。
外に出ると人に会うし、知らないプレイヤーと顔合わせたくないんだよな。
他人とする会話の内容で困る程、こじらせてるわけじゃないけど。
どうにもならない距離感を生んじゃうしさ。
だけど、これ僕がやらなきゃいけない流れっぽい?
頼られてるしなぁ。
断った方が面倒かな。
シロナ、目につかない所で行動させてると、何か大変な事になってそうだし。
実際なったし。
「はぁー……」
めんどくさいよシロナ。とってもめんどくさい。
なのに、何でだろ。
頭の中で、スケジュール帳がしっかり開いちゃって。
何、スケジュール帳の癖に僕に説教するつもりなの?
友達大事、だとか。
ばっかじゃないの。
「シロナ、出かける準備」
「えっ?」
「食後の軽い運動って事で、ほらのんびりしてない」
何が必要かな。
持ってくアイテム考えないと。
久々の外出だから、チェックもれがないようにしたい。
あと、武器。
新しいの偶然手に入ったから、それも予備で持ってこう。
しばらくぼうっとしていたシロナは、部屋の背景になっていた状態から復帰。
「はいっ、ありがとうございますっ」
花が咲いたような笑みで、おじぎしてきた。
控えめながらも、気持ちがよく分かる様な笑みつきで。
やっぱり素材がいいから、こういう時お得だよねシロナって。
……じゃなくて。
やめてよね。
そんな笑顔。
罪悪感わいてくるし。
「ニルバさんなら、やっぱり……」みたいな態度とか。
しないでよ。
ていうか見ないでよ。
僕って、こういうの慣れてないし、ほんと柄じゃないんだから。




