第53話 あんな事があったから
でも、昔いろいろあったから。
むしろ今では、攻略なんかされないままでこの世界のあの家に引きこもっていたいって感じ。
僕だけなら、しょうがなかったよ。
でもなんで、僕以外の人間まであんな目に遭わなくちゃいけなかったんだろう。
シロナは僕が人の輪から外れている理由について深く尋ねなかった。
「何か、理由があったんですね」
「ま、そういう感じ」
さすがの彼女でも、人の心の中にずかずかを足を踏み入れるような事はしないらしい。
僕はフレンド機能を使って、アリッサの位置を探し出す。
追いつくにはあともう数分かかりそうだ。
ここにはモンスターもプレイヤーもいない。
ちょうどいい機会だから、一度装備とステータスをチェックしておこう。
僕のはこんな感じ。
名前:ニルバ・バニル
性別:男
職業:剣士
レベル:??
状態異常:なし
装備品:漆黒のマント(隠密効果)・???・沈黙のリング(沈黙耐性)⇒ホムラリング(炎属性攻撃)・星空の革靴(上空移動)・???
武器:(長剣・イクスロンド)
スキル:四属性魔法・???・???
あたりまえだけど、特におかしい点はないみたいだ。
装備品を一点だけ変更。
用心をかさねて、水属性モンスターの弱点になるホムラリングをつけておいた。
「シロナも今の内に装備品とかチェックしておいたら? 下に降りたら、何だかんだいって忙しいと思うし」
「そうですね、分かりました」
アリッサを確保するのが間に合えばいいけど、間に合わなかったら石化した彼女を安全地帯まで運ばなくちゃいけないから、大変だ。




