第52話 星空の散歩
天空の遥か彼方で、きらきら光る星達はのんきなもんだ。
地上で起こっている騒ぎ何てどこ吹く風って感じ。
夜空と張り合おうとか考えてるわけじゃないけど、変わらない物を見ると、何かむかついてくるんだよね。
昔、仮想世界で妹と見た空もこんなだったな。
「最初からこうしてればよかった」
飛行型モンスターも出てくるかと思って、様子見していたけどいないみたいだから、もうちょっと早く装備品の効果を使ってもよかったかもしれない。
そうすればあんなむかつくおばさん達とで出会う事もなかったし。
ふと先程まではしゃいでいたシロナが静かになっているのに気が付いた。
僕の注意を聞き分けてって言うわけでもなさそうだ。
考え込んでいた様子の彼女は、気になったらしいことをこっちに尋ねてくる。
「ニルバさんって、攻略組なんですか?」
「違うよ。たまに誤解されるけどね。あんな前向きで暑苦しい連中とつるむなんてごめんだから」
「そうなんですか。でも結構良い装備をしていますよね、それにレベルも高そうですし」
「そこは否定できないな」
今は引きこもり生活してるけど、僕だって最初からこんなひねくれた性格をしていたわけじゃない。
昔はそれなりにこの仮想世界でも、友達つきあいしてたし、団体行動だってしていた。
フィールドだって、ダンジョンだって、積極的に走り回ってたよ。




