第45話 逃亡してた
「こうしてはいられません。早くアリッサさんを探しに行きましょう!」
上手く丸め込まれたような気がするし、やるべき事はずっとかわらないけれど、何か居心地が悪い。
「お話してる最中に逃げられちゃいましたね」
「ああ、あのおばさん達ね」
おばかさんのおばさん達は、目を離した隙にいなくなっていたようだ。
別に僕は、犯罪者の取り締まりに熱血を注いでいるわけでも、治安がどうのと過剰に気にする達でもないから良いけど、後でやり返されないかがちょっと不安だ。
「とりあえず、アリッサを捕まえる事に関しては同意。情報提供の源がいなくなったら困るし。言っておくけど、それ以外の後の事は考えないよ。他のプレイヤ―の事なんて、どうだっていいから。そこんとこ分かっておいて」
「はい、大丈夫ですよ」
これからの目的を口に出してみるんだけど、満面の笑みを浮かべるシロナは分かってるんだかいないんだか。
それで良いの君?
途中で「あ、あの人助けましょう」って言われても、「僕は無視する」って堂々と言ってるんだけど。
「えっと、今アリッサさんはどこにいるんでしょう……」
「フレンドで確かめれば?」
「あ、そうですね」
フレンド機能を使って情報屋の位置を調べてみると、割と離れたとことにいるようだった。
さっき見た時よりだいぶ離れてるな。
こっちの方角にあるのは、なんだったっけ。
「シロナ、町の北には何があるか知ってる?」
「北ですか? そうですね……」
シロナは考える素振りを見せた後、思い出しながら答えていく。
「非戦闘職の人達が、職人さん達がいる区画だと聞きましたが」
あー、つまり自衛する手段が少ない人達ね。
イベントの事を知らずにうっかり外出しちゃうようなおバカさんでも、プレイヤーなら、雑魚相手に即殺されることはない。
けれど、この世界には戦闘が苦手だっていう人間もいるわけで……。
「アリッサの奴。中途半端に甘いな。情報屋ならしっかり損得勘定で動いててよ、まったく」




