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第40話 PK未満



 ぶるぶる体を震わせた相手は、こちらを睨みつけながら、一歩前に出る。

 武器を握る手に力がこもったのを見て、反射的にこちらも動いた。

 やっぱり、こういう流れになるか。


 顔を真っ赤にしたおばさんは最悪の手段に出た。


「うるさいっ。だったら何? あんたなんか、この場でやっちまえばいいだけじゃん」


 自分の武器、モーニングスターをもってこちらに突撃してきた。

 動きが遅い。


「そこまで馬鹿だとは思わなかったな、シロナ以上だ」


 僕はそれに冷静に対処して、分かりやすく直線の軌道で飛んでくる鉄球を避けて、おばさんに足をかけて転ばせた。


「よっと」


 そして、動けないように組み敷いて、剣を喉元につきつける。

 これならモンスターの方がまだ手ごわい。


「で? どうすんの?」

「くそくそくそっ」


 会話してくれないと困るんだけど。

 でも、おばさんはこちらを罵るのに夢中みたいだ。

 聞いて意味のある中身じゃないし、口を封じられたらいんだけどね。


「あっ、あの! ニルバさん」

「黙ってろ」

「っ!」


 心配そうなシロナが声をかけてくるけど僕は、一言だけ言って無視。


 悪いけど、君ほど温厚な性格にはなれそうにない。

 こんな世界で、自分を殺そうとした人間を見逃すほど、優しくはなれない。


 僕じゃなくたって、きっと誰でも。


「縛り上げて連行させてもらうよ。町まではちゃんと連れてくから安心して。その先は知った事じゃないけど」


 デスゲームルールが適用されたこの世界にも、物好きな連中はいたみたいで、警察の真似事なんかに精を出している連中が結構いる。


 そいつらにつき出せば、すくなくとも往来を自由に歩き回るこいつらの姿は目撃しなくて良くなるのだ。


 僕は残りの連中に、武装解除を促して、とっとと全員を縛り上げた。



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