第4話 訳ありシロナ
オークから助けた少女の名前は、シロナというらしかった。
見た目のまんま。
なんて安直な名前だろう。
「あ、先ほどはありがとうございました」
落ち着いたらしい少女、シロナが礼を言う。
「で、何であんな雑魚モンスターに追いかけられていたの? ていうか何で、一人?」
僕は物好きな「デスゲーム引きこもり派」だから、一人でいても不思議ではないけど、大多数の人はそうでない事ぐらい分かっている。
モンスターにやられてライフが尽きたら、即死亡。
それが分かっていて一人でフィールドをうろつくなんて自殺行為だった。
しかも、回復要員が。
「あ、それは……その、えっと」
どうやら個人的な事情に深く踏み込んでしまう様な事を聞いてしまったらしい。
こちらに害がないのなら、別にどうでも良い。
他人の事情に踏み込んで、痛い目を見たくはなかった。
「ふぅ、まあ良いけどさ。次は気をつけなよ。お礼とかは、別に良いから。じゃ」
関わって欲しくないのなら、無理に関わる必要はない。
そう思って僕はその場を離れながら、別れを切り出すのだが、シロナが引き留める。
「ま、待ってください」
歩くこちらに追いすがって来た彼女は、歩くこちらの前に回り込んできた。
まだ何かこちらに用があるみたいだ。
「なに?」
「あの、もしよければですけど。プレイヤーホームを持っているのなら、しばらくの間だけで、いえ一日でも良いので、私をそこに泊めていただけませんか」
「はぁ?」