第20話 関係ないったら
他の人間のことなんて関係ないったら関係ない。
別にどうなったって僕の知ったことじゃない。
そう思ってるのになんで、だろうな。
プレイヤーホームに戻って来ても、気が付いたら、窓の外とか見ちゃってるし。
「ああ、もうこれだから面倒くさいんだよ。人付き合いは」
勝手にどっかで一人で生きるなり死ぬなりしてくれればいいのに、人の記憶に不意に残るからいけないんだ。
家から一歩も出なくて引きこもったままだったら、こんな事でそもそも悩まなくたってすんだものを。
僕は部屋にある引き出しに入れといた地図を取り出す。
「龍がいるとこっていったら、この辺か、ずいぶん移動してきたな。何かあったのか」
もともと龍は人の行動圏から離れた所に生息している設定で、ダンジョンの奥とか、秘境とかにしかいないはずだったのに、それがなぜかアリッサの言った場所へとやってきているらしい。
水の都ウィークローネ。
ということは水龍だろうか。
まあ炎龍だろうが、雷龍だろうが、僕達からしたら大した違いはないけど、水龍ならラピスだろうな。
ラピスは他の龍と比べて、ガードが堅い事で有名だから、ちょっとやそっとの攻撃じゃどかせないし、相手にすらしてもらえない。
居座られて手こずってるっているのは、かなり分かる話だった。
人口ざっと2000人くらいの町で、この仮想世界の四大都市のひとつ、ウィークローネ。
現地の人達はさぞ迷惑しているに違いない。
引きこもってると、リアルタイムの情報が入ってきづらいから、ちょっと不便だな。
メールやりとりするような知り合いもあんまいないし。




