第132話 しんみり
すると、同じような事を考えていたのからいかがしんみりし始めた。
「お母さんとお父さん、心配してるだろうな」
「まあ、そうだろうね」
兄妹そろってデスゲームにとらわれてるなんて、普通に考えたら卒倒ものだ。
2人とも、そんなに神経細いタイプだとは思わないけど、心配はしてくれてると思う。
「私も、はやく家族に会いたいです」
なんて考えていたらシロナもしんみり。
しんみり感染中らしい。
やめてよ。
そういう空気苦手なんだけど。
僕じゃ、気の利いた事言えないんだから。
ただの背景とかオブジェクトになっちゃうじゃん。
僕の人付き合いのなさ、筋金入りなんだよ。
こっちの内心も知らずに、シロナは話し続ける。
「私のお母さんとお父さんは結構高齢になってから私を生んでくださったので、普通の家庭よりも少し目をかけられて育てられたと思います。他の方のご家庭はあまり存じませんが、いつも健康に気遣ってくださって。だから、きっと今もショックな思いでいるはずで……。どうにか無事である事だけでも、伝えられたらいいんですが」
死んでないんだから無事だってわかってるはず。
なんて言うのは野暮だよな。
それくらいは僕にだってわかる。
それ以上の正しい対応は分からないけど。
こっちから連絡とれる手段が何かあれば、なんか違うんだろうけども、ないしなあ。
それか、僕がデスゲーム攻略を率いるようなトップ集団だったら、何か気の利いた言葉の一つ言えるかもしれないけど、そうじゃないし。
ていうか、らいか以外の救出班はどうなったんだよ。
人の妹をデスゲームの世界に放り込んどいて、何にも情報が入ってこないんですけど。
らいかが空中放出されてから新しい情報ちっとも出てこないし。
各地でのそれっぽい目撃情報もないし。
「はぁ、疲れた。帰ったら美味しご飯でも食べて、さっさと寝たい。外出するのはもうこれっきりにしてよね。報酬たんまりでたでしょ?帰りに、どっかで美味しい食材でも買ってかないと、わざわざ外に出たのが割に合わないよ」
とりあえず目の前の空気をさっさとどうにかして、家に帰るか。
「お、いいね。美味しいお店知ってるからそこ教えてあげるよ。あーあ、私はこれから仕事だからニルバっちたちが羨ましいなー。ご飯残しといてね」
幸いな事にのっかってくれたアリッサから店の情報を聞き出して、お別れ。
その後、クエストの反省会とか、ドロップアイテムとか報酬の話をしながら家に帰った。
ちなみにつくりおきはシステム上可能で、時間経過で味は劣化しないらしい。
現実と違って熱も冷めないから、その点は便利だよね。




