第15話 もう少しくらいは
現実に戻ったニルバは、勉強のことについて聞きに来たらいかに報告。
ゲームであったことを伝えていた。
「ってわけ、らいかはやらない方がいいよ。苦手でしょ」
「苦手じゃないもん。たまにしかやらないだけだよ」
意外なところにある負けず嫌いのスイッチを押してしまった。
むっとしたらいかに抗議されて、「はいはいそうだね」と適当に同意する。
「とりあえず、ゲームくれてありがとうのお礼と、お兄ちゃんがプレイした感想を報告しておくね」
らいかの知人はどんな顔をするだろうか。
意外に金銭的に余裕があるそうで心の狭そうな人。
リアクションが想像できなかった。
知らない人のことなんてどうでもいいかと思い直し、ゲームソフトのパッケージを自室の棚に収納する。
「ここに置いとくから、もし返してほしいって言われたらもってけば。ないと思うけど」
「うん、わかった。ないと思うけどね」
らいかの知人。どんだけだよ。
嫌いな人が触っただけのゲームソフトって言っても、世間じゃそれなりに高価なのに。
「そろそろ夕ご飯の時間だね」
らいかが部屋の時計を見てつぶやく。
窓の外を見ると、こんがりした空の色になっていた。
時間を自覚するとおなかがすいてきたな。
ついさっき、肥溜めの中につっこむという最低な思いをした分、夕飯はせめて好きなものがいいなと思う。
「今日の献立、なんか母さんから聞いてる?」
「うーん? カレーじゃないかな」
「そっかー」
「あ。残念? カレーいいじゃん」
カレーも好きだけどね。満点じゃなかったってだけ。
作ってくれるだけありがたいんだけど。
「そういえば父さんが、チキンかってくるって帰りに。ほらカー〇ルおじさんのやつ」
「ほんと。ふーん」
顔に出ないゆおに心の中でガッツポーズするけど、らいかにはお見通しだったらし。
「お兄ちゃんカー〇ルおじさん好きだもんね」
「好きなのはおじさんじゃなくて、食べ物の方だから。誤解を招くよう言い方やめてくれない?」
「あー、チキン好きなの認めた」
「もう、いいから、勉強でもしてれば」
にやにやした笑いをするらいかの脇腹をつついて、部屋から追い出した。
静かになった部屋でベッドに寝転ぶ。
「まったく、らいかのやつ」
らいかは好奇心旺盛だから、僕が嫌な思いをしたっていっても、そのうちゲームをやりたがるかもしれない。
そういう事今までに何度かあったし。
その時のために、もうちょっとはゲームにログインした方がいいかもしれない。
もうあんな思いはこりごりなんだけどね。




