第119話 アルカンシエル
一応、ザンザの後に追いついて来た奴もいたけど、他の連中はあっけなかった。
行動できなくなったリーダーを縛って、残りのメンバーに見せつけたら、力量さをわかってくれたからだ。
無駄な戦闘はせずに、大人しく投降してくれた。
その後は、最寄りの町にいってしかるべき連中に引き渡したので、当分は悪さはできないだろう。
で、精神的にも肉体的にもかなりの苦労を強いられたごたごたが片付いたわけだけど。
実はここからがやる事が山積みなんだよね。
らいかの事とか、救助スタッフの所在についてとか、攻略組とコンタクトをとるかどうかとか。
ほらまだまだ課題が、残ってる。
あー、めんどくさい。
引きこもってられないような事件連発してくるのやめてよ。
こっちは、外出するだけでも気力使うっていうのに。
それに加えて……。
「お兄ちゃん、そろそろパーティーの名前決めないと、皆困るよ!」
なりゆきで作っちゃったパーティーの事とかもあるしね。
あれ、違う効果が良かったって文句を言ってくる奴に対処するために、一定期間は申請を取り下げられないようになってるんだよね。
だから、なりゆきで巻き込んじゃったらしいアリッサやシロナに、謝らなくちゃいけないわけだよ。
何でどさくさに紛れて君らも入ってんの?
加護使うだけなら、らいかと僕で十分だったじゃん。
レベリングする必要があるシロナはまだ分かるけど、アリッサはさぁ。
「困ったなぁ……」
「お兄ちゃん絶対今別の事考えてるでしょ。どうせ、他のメンバーに対してどうしよう……とかそんなとこなんじゃない? もう……シロナさんもアリッサさんも大変だなぁ」
取りあえず、面倒な事になったのは一応謝った方がいい……のかな。
どうお詫びすればって良いんだって話だけど。
そんな風に悩んでいたら、早速本人たちがやってきた。
「お邪魔します」の挨拶が付いている方がシロナで、「やっほー」の気安い挨拶の方がアリッサだ。
そう、来訪者は二人分。
最近来るようになったシロナはともかく、なぜか時々アリッサもこの家におとずれるようになったのだ。
「いらっしゃいシロナさん、アリッサさん、聞いてくださいよ。お兄ちゃんまだ、パーティーの名前決めてないんですよ」
そんな二人にらいかは、さっそくとばかりに話しに花を咲かし始めて……。
三人の姿を見た時に、ある光景が思い浮かんだ。
らいかが攫われる前に見た、おだやかな時間の中の虹の景色。
それを名前にしよう。
どうせ短期間で解消するパーティーだろうけど、どうせならできるだけ見栄えの良い名前にしたっていうのは誰でも思う事だし。
重大な問題は何一つ解決してないのに、こんな細かい事に貴重な知恵使ってどうするんだって思うけどね。
僕はシステムウィンドウに向かってその言葉を入力し始める。
アルカンシエル。
虹という意味の言葉だ。
どういう意味?
だなんて説明させないでくれる。
これ、結構恥ずかしい話だから。
「あ、お兄ちゃん何笑ってるの? 良い事あったとか?」
「別に、そんなんじゃないし」
「えー、嘘だよ。お兄ちゃんそうやってすぐ誤魔化すんだから」
最期まで読んでくださってありがとうございます。
たのしんでいただけていたら幸いです。




