第118話 幻影
パーティーを作ると、ランダムに一つの加護が与えられて適用される。
加護の種類は選べないし、完全に運に任せる事になるんだけど、あまりの間の良さにちょっと笑ってしまった。
だってそれは、まるで前に進もうとしている僕の背中を押してくれてるみたいだったから。
「なぁぁぁに笑ってんだぁ! おい、ニルバぁぁぁ!」
「べっつに、君の不細工な顔が見てられなかったとかじゃないの? 馬鹿丸出し、きみ鏡見たことある?」
「ふ、ふざけやがって!!」
申請パーティーに付与された加護は、幻影舞踏。
効果は、パーティーメンバーの戦闘時に一度霧、相手に幻影を見せるというもの。
過去の幻影に踊らされて剣を握っていた僕を変えるなら、これほどぴったりな物はないだろう。
「生憎僕達、そんなに暇じゃないんだ。ここで負けてくんない? ほら、チェックメイトだ」
僕は幻影舞踏の効果を使用した。
さて、相手には何が見えてるんだろう。
ちょっと手を止めて観察していると、相手が目を見開いて震え始めた。
「な、あ、嘘だろ。何で龍がこんな所に、勝てるわけが……」
何だ、その程度か。
そんなのが怖いの?
あいにく龍とは一度戦った事があるんで。
そこ、とっくに通り過ぎた道なんだ。
「そんなのが怖いなら、ずっとそこで立ち止まってろよ」
すれ違いざまにアリッサと交代のハイタッチ。
「任せて、ニルバっち!」
彼女は、持ち前のダガーを振るった。
盗賊は、他の職業より攻撃力が低いけど、一つだけ戦闘時に便利な特性が発生する。
特性は職業ごとに様々で、剣士ならば相手への威圧で、魔法使いならマジックポイントの回復量上昇。
けど、盗賊の場合は……。
無防備な相手に奇襲をかける事で、スタン「行動不能状態」にするスキルだ。
「無法者さん、大人しく寝ててね」
戦闘はこれで終わりだ。




