第99話 ライ・カーネル
それにしても、ライ・カーネルって何だよ。
どこから突っ込めばいいのさ。
本名をそのまま登録しなかったのは分かるよ。
この世界でのいざこざを現実世界にも持ち込ませないためには、偽名は必要不可欠だ。
でも、さ。
それにしたって、ね。
もうちょっと他に考えようがあったんじゃないの?
年頃の女の子が付ける名前じゃないって。
そう思ってたら、シロナも同じ事を考えていたみたいだ。
「失礼かもしれませんけど、らいかさんのプレイヤーネームって男の子っぽい名前ですよね」
「え、そうですか? 私としてはお兄ちゃんのセンスを真似てみた感じなんですけど」
嘘だ。
僕はそんなダサいセンスしてないから。
どんな反応を返せば良いのか悩みつつも、らいかに気になったところを質問していく。
「ねぇ、ライ・カ……まではかろうじて理解できるんだけど、後の文字どっからきたの?」
「え? チキンがおいしい白いスーツのおじさんだよ。お兄ちゃん好きだったじゃん」
まさかの、カー〇ルおじさん!
いやその言い方誤解されるからやめて。
確かに好きだったけど、僕が好きなのはカー〇ルおじさんじゃなくて、チキンの方だから。
らいかの言ってる事が理解できなかったらしいシロナは、普通の返しだった。
「白いスーツのおじいさんですか、ニルバさんにそんなお知り合いの人がいたんですね」
「ああ、うん。まあね」
もうそれでいいや。
訂正するの面倒だし。
シロナの鈍さにありがたみを感じる時がくるなんてね。




