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零地帯  作者: 三間 久士
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月の女神アル・メティスその3(地下の「鳥」)

3・地下の「鳥」


 レビアがジャガー病について教鞭を執っている頃、二人は闇にまぎれて移動していた。

スーラ国には何度か足を運んでいたので、勝手は分かっていた。

それこそ、城下町から城の内部、城の地下と、二人が知らないところはなかった。

北と東にある大きな鉱山は、この国を十分に潤わせてくれていた。

その山の坑道は、地上だけでなく地下からも城下町に入り組み、果ては城内の地下にまで続いていた。


「国王が変わられて、だいぶお金の周りが激しいようですね」


城の地下の一室で、二人は明かりもなくニコラスの作ってくれた軽食を堪能していた。


「レビアへの資金提供も、早々に打ち切ったしな。

鉱山も、だいぶ急かされてるぞ。

時間なんざお構いなしに働かせるから、疲労や怪我人で人手不足になってやがる。

俺みたいにどこの馬の骨ともしれない奴でも、直ぐに採用だよ。

おかげで、一カ月近くみっちり肉体労働だ」

「姫様からの報酬と、こちらの給金でだいぶ稼げるじゃないですか。

鉱夫、お似合いでしたよ」

「ふん。

ま、さすがに、地下道をアルジェニアの城下町まで伸ばそうなんて、俺様もびっくりしたけどな。

大方、ジャガー病研究絡みでレビアに無理難題言って、断ったら地下から攻撃かけるつもりなんだろ。

発想は悪くないが、相手が悪いな。

そんなに甘い結界じゃねぇっうの。

で、そっちはどうだ?」

「研究城の城下町に、固定された空間移動の穴が多数と、そこから出入りしているジャガー神信仰者、この国からですかねぇ・・・?

だいぶ、怪しいんですが、これといった証拠がまだ出てこないんですよね。

他は、姫様の睨んだ通りでしたよ。

すでにジャガー病の研究が開始されています。

最悪なことに人体実験有ですよ。

自然感染ではなく、強制的に二次感染させたモンスターも飼っていました。

僕が見た限りですが、研究が進みすぎていますね。

進み具合からして、前王が信頼に値する方でしたので、前国王亡き後手引きしている人物が居るのは確実だと。

以前、ニコラス君の集落から逃げた後のレオン神父の研究を少し手伝いましたが、あれとは少し違う感じですから、関連性はないと思いますが・・・

断言は避けておきます。

レオン神父は一からご自分で手がけていた様で、手引があった様子は見受けられませんでしたよ。

まぁ、怪しい人物はチラチラしていましたから、百パーセントとは言い切れませんが」

「レオンねぇ・・・。

んじゃ、手っ取り早く燃やすか。

あっちもこっちも感染者だらけの発病者だらけだからな。

ジャガー病独特の匂いが充満してて、臭くてたまんねぇ。

コブラナイも居ないみたいだしな。

風の結界張っとけよ。

城下町に火を出すな、城と地下だけだ。

上はレビア達がなんとかすんだろう」

「簡単に言ってくれますね。

十分ください。

使えそうな研究成果を確保しますから」


気の抜けた返事が闇に飲み込まれていった。




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