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氷天の魔導師 ※改訂版  作者: 蓮
1章 幼少期
7/19

6 召喚しちゃいました

人生初の誕生日パーティから夜が明けた。

昨夜興奮しすぎたせいか、いつもよりだいぶ早く目が覚めてしまった。うーん二度寝するにも眠くないし・・・。テレサやリリアはまだ寝ていると思っているだろうから来ないだろうし。どうしたものか。



 ・・・よし修行しよう。俺にはそれしかないし強くなる為だ。それに修行は楽しい。

 俺はタンスからなんとかして服を取り出した。薄い水色生地に黄色の糸で刺繍が施してある肌触りのいいポロシャツに、赤色の短パン。勿論母さんの手作りである。


 今の俺の格好はちょっといいとこの坊ちゃんって感じか?もっと質素なものでいいんだけど・・・。よく汚すし。(主に修行で)


 いつもの修行場所に着くと俺は中級魔法を何回も限界寸前まで発動させる。もはや日課である。

 今日は水槍(ウォーターランス)6回に水霧(アクアミスト)10回、前回の倍かぁ。なかなかいい感じだ。


 魔力の方は・・・っと、あと2時間で半分くらい回復ってところかな。


 そうそう。最近わかったのだがどうやら魔力は一定の時間が経つと全体の何パーセントかが回復するらしい。本には載っていなかったが、実際に限界まで使ったはずの魔力が数時間後には魔法を発動させても気絶しなかったのだ。この事には早めに気づけてよかった。意識してみると確かにじんわりと魔力が湧き上がってくるというかなんというか、まあそんな感覚がしたのだ。説明難しい!

 これで今まで以上に修行がはかどりそうだ!


 今日の目的は上級魔法を扱えるかの実験だ。


 正直まだ早いとは思う。しかし思った以上に力がついてきたし、力試しに挑戦してみたい。自分の限界を知りたいのが本音だけど。


 万が一暴走してもこの家には母さんという最強の魔導師がいるのでなんとかしてくれると思う。母さんの手にかかれば1歳児の召喚した魔獣なんて指一本で防げるだろう。それに魔力が足りなければ何も起こらないらしいしきっと大丈夫だ。


 上級魔法には幾つか種類がある。その中で一番簡単そうなのが"上級召喚魔法"だ。

 水属性の上級魔法でもよかったんだが、召喚魔法の方が安全そうというふわっとした理由だ。・・・と言うより俺が召喚という厨二病心をくすぐる言葉に惹かれたからという理由だ!ドヤ!!


 召喚魔法とはその名の通り、魔導師による召喚魔法によって魔獣や精霊を呼び出す事を指す。種類は二つあって、初級と上級だ。なぜ初級召喚魔法を使わなかったというと、単に弱そうだからスルーした。スライムとか出てきても観賞用にしかならなそうだしなぁ。


 現に”召喚魔法の心得”には初級召喚魔法で召喚された魔獣や精霊は戦闘力はほぼなく、大体がペットとして愛玩動物扱いされるって書いてあったんだぜ?どうせなら強くてかっこいいやつと契約したいって思うのが男ってもんだ。


 姿は多種多様で、上位種の中でも更に強いやつは変身可能らしい。また強力な魔法を使うことができて魔獣が召喚した者を主と認めれば主従関係として契約を結ぶ事が可能だ。なので勿論失敗する場合もある。そして強さは召喚する魔導師の魔力量に影響される。主となる魔導師が強ければ強いほど召喚される者も強くなるのだ。属性とかは影響されず、何が召喚されるかはやってみないと分からないらしい。その辺はワクワク感があっていいと思う。


 召喚魔法は普通の魔法と違って詠唱は必須だ。

 必須と言ってもそれは初めての召喚の時だけで契約した者は別であり、名前を呼ぶだけで召喚可能になる。まあ戦闘中に長ったらしい詠唱をしてたら自殺行為だしな・・・。



 俺は上級召喚の詠唱を記憶の隅から引っ張り出す。

 前世でも記憶力は結構あったのだが転生してからは比にならない程、それも一度見た者は忘れないレベルで記憶力がいい。さすが脳みそスポンジ幼児だ!バンザイ!

 よし。右手を前に差し出し詠唱始める。



 「”空蝉(うつせみ)に在りし我、黎明(れいめい)に然りし汝。森羅万象に宿り千秋(せんしゅう)を生きる崇高冷厳(すうこうれいげん)なる者よ。我が名に置いて命ずる。汝、盟約に従いて我に力を貸したまえ”」



 なんか分からんが凄くかっこいい。初めてこの世界にきて詠唱したけどやっぱかっこいい。前世だと厨二病って言われるんだろうけど、この世界じゃ普通なんだもんな・・・。詠唱とか面倒だなって思ってたけど、これなら少しくらい使ってもいいかもしれない。


 今の俺ははたから見ると気持ち悪い笑顔を浮かべてるだろう。自分でもニヤけているのが分かる。

 ん?滑舌はどうしたのかって?そこはご都合主義ってやつだ。気にするな。


 かざした手の平あたりが淡い光に包まれる。

 さあ、召喚されるのは魔獣か或いは精霊か。

 はやる気持ちを抑えじっと光を見つめる。やがて輝きが消えそこに”在る”気配を感じ取った。


 (ほう、我を呼んだのは小僧か?)


 そう言った獣は冷気をまとい全身を白銀の毛に覆われた体長1m程の狼だった。金色の瞳と目が合い、背筋にゾクリとした何かが這う。

 ちょっと待て。めちゃくちゃでかい狼が目の前にいるんだがこれは夢か何かだろうか。


 (夢ではないぞ)


 そ、そうか夢じゃないのか。・・・って俺は喋ってないぞどういうことだ狼。テレパシーが使えるとでもいうのか?念力?読心術?そんなバカな。いやでもここは魔法の世界だ有り得ないことはないのか。俺がこの世界に慣れてない証拠だな。まだ1年だし仕方ないよレオルス。


 (てれぱしーとやらは分からぬが、我らは言葉を発せずとも会話ができる。人族らは念話と呼んでおる)


 (そうなんですね。ご丁寧にありがとうございます)

 おお、念じることで出来た。これは便利だな。俺が召喚した魔獣とだからできるのか?


 (そうだ。ところでお主、我が怖くはないのか?)


 (え? いえ、怖くはないです。めちゃくちゃかっこいいです)

 怖いどころか感動している。かっこよすぎて。まさかこんな強そうな魔獣を召喚できるなんて思ってなかったし。


 (ハハハ。そうか。まだ名乗っていなかったな。我が名は巨狼(フェンリル)。お主と共にこの世界を観るのも良かろう。盟約に従いお主を(あるじ)と認めよう)


 えっ!?マジで?俺の使役獣になったの!? 1歳だよ俺。大丈夫なのか狼。


 (狼ではないフェンリルだ。この500年、我を呼べるような魔導師は現れなかったのだ。主は1歳と言ったか。そのような赤子が何故神種である我を呼べたのか・・・。不思議であるがこれは運命と思うことにするぞ)


 (実は俺もなんで呼べちゃったのか分からないんですけど大歓迎です!これからよろしく、フェンリル。)


 (ああ。我を楽しませておくれよ、主)


 ん?そういえばフェンリルは異空間とかに戻ったりしないのか?


 (我はあの場所が嫌いだ。こちらの方が住みよいし、主の側にいたいのでな)


 デレた。お前そんなキャラだったのか!可愛いなこのやろう!よし、この際母さん達にバレるのは時間の問題だが仕方ない諦めよう。大事な使役獣が嫌だっていうなら無理強いはしたくない。俺は今日からフェンリルと共に生きるぞ!



 その時、バアン!と音を立て勢いよく扉が開かれた。

 おいおい扉が破壊されたぞ。誰の怪力だよ。


 「レオルス! 無事なの!?」


って、母さんかーい!!!


 どうやら強大な魔力を俺の部屋から感じとった母さん達が慌てて駆けつけたらしい。そりゃあ上位種どころか神種のフェンリルだもんな。俺だって平然としてるように見えるけどまだ半信半疑だよ。てか母さん今扉壊したよね?どんだけ馬鹿力なんだ。


 「貴様は・・・、なっ、フェンリルだと!? なぜこんなところにいる!」


 「どこから現れたのか知らないけど、死にたくないなら早くレオルスから離されさい」


 二人共落ち着いて。父さんはその物騒な大剣をしまってくれ、家の中で振り回すもんじゃないぞ。母さんもその馬鹿でかい杖をどうする気なんだ。ていうかフェンリル心做しかこの状況を楽しんでるように見えるぞ!早くなんとかしろよ!


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