16 謎の結界
俺が状態異常から解放されたのは半日経った頃だった。マジで死ぬかと思ったぞ。これが生き地獄ってやつか。
フェンリルは苦しむ俺を見て笑ってるし、あいつ絶対許さない。
腹いせに近くに居た魔物を100体ほど倒しておいた。魔物の死体はポイポイと空間収納に放り込んでいく。森から出たときにまとめて売って今後の生活費にしていく算段だ。解体すれば食糧にもなるしな。
(日も暮れてきたし今日はこの辺にしとくか)
(うむそうだな)
(今日で結構レベル上がった気がする)
(魔物に八つ当たりしておったからな)
(誰のせいだよ)
全く・・・と文句をぶつぶつ文句を言いながら自分のステータスを確認する。
まあ怪しい実をバクバク食べた俺も悪いよな。充分痛い目にあったし今後はよく分からない物を食べるのは絶対やらないだろう。
【名前】レオルス・ステイシー
【種族】人族
【年齢】7
【職業】なし
【Lv】21
HP:711(+1326)
MP:143(+422)
STR:70(+239)
MAT:128(+337)
DEF:81(+244)
MDF:98(+157)
AGI:76(+130)
LUK:2(+4)
【装備】フィルのシャツ フィルのズボン フィルのローブ 革靴
【スキル】女神の加護 鑑定 隠蔽 偽装 詠唱完全破棄 剣術初級 水魔法上級 氷魔法上級 火魔法上級 麻痺耐性(中) 石化耐性(中) 毒耐性(中)
【称号】祝福の儀を受けし者 神獣を従えし者。
【麻痺耐性(中)】麻痺状態にかかる確率60%減少。
【石化耐性(中)】石化状態にかかる確率60%減少。
【毒耐性(中)】毒状態にかかる確率60%減少。
八つ当たりで魔物を倒しまくったせいかレベルがかなり上がってる。雑魚しか倒してないけど数が多かったからかだいぶ経験値が貰えたみたいだ。
しかもいつの間にか状態異常耐性のスキルまでついてるし。これ絶対あの実のせいだよな。運が良かったのか悪かったのか、素直に喜べないぞ。まあ苦しんで手に入れたスキルってことで結果オーライと思うことにしよう。
(フェンリル、明日はもっと奥まで行ってみようか)
(む、結界とやらのことか?)
(うん。今日でレベルもだいぶ上がったし今のとこ苦戦する魔物にも会ってないしね)
(そうだな。まあ我がいればどいつも雑魚だが)
(お前を基準にするな)
(いや、お主も相当なんだが・・・)
フェンリルと居ると普通の基準がおかしくなりそうだ。あれ?でも他にステータス知ってるやつとかいないし、というか友達すらいなかった・・・。
つまり人族の普通が分からないのだ。こんな事なら父さんと母さんのステータス見とけば良かったな。
クラリッサ元気かなぁ。何も言わずにトウニエダに来ちゃったから心配してるかもしれない。悪いことしちゃったな。次に会えたら謝ろう。許してくれるといいけど。
その為にも早く力をつけてここを抜けなければ。
日が昇った頃俺たちは森の奥にある謎の結界とやらの前にいた。確かに見えない壁のようなものがある、これが結界なのだろう。
(フェンリルはこれが何かわかる?)
(何と言われても、結界だな。何の為にあるのか分からぬが)
(この先に何があるのかな?)
(ふむ、先に進むのか?)
(そうだね、とりあえずあの山に行ってみようかなって思ってる)
山を目指す理由は簡単だ。今朝ここに来るまでに魔物を倒しながら来たんだけど雑魚すぎて相手にならないし、レベルも上がりにくくなっている。この先に行けばもっと強い魔物が出てくるのでは、と考えての提案だ。
あとは単なる好奇心かな。この先は誰も行ったことないらしいし!冒険は男のロマンだよねー。うんうん。
俺が内心一人でワクワクしながら頷いているとフェンリルから変なものを見るような目を向けられた気がしたけど無視しておこう。
(確かにこの辺の魔物は雑魚だな)
(でもこの結界どうしよう?)
(壊せばいいではないか)
(えっ壊せるの?)
案外硬くないのか?国の騎士団は傷一つ付けられなかったとか言ってたけどあくまで噂だしな。試してみる価値はあるか。
さてどうやって壊そうか。上級魔法をぶっ放せば壊せそうだけど・・・。
いや、そうだ。あれをやろう。丁度いい機会だし。
俺はアイテムボックスから剣を取り出した。これはトウニエダに行く日に父さんが持たせてくれた剣だ。俺は魔導師だと思っているらしく剣は必要ないと思ったが念のため持っておくように言われた。
俺としては魔法も剣も好きなので魔法剣士にでもなろうかと思っているんだけど、どうやらこの世界では魔法剣士になる人はあまり居ないらしい。何でだろう?強いのにな。
何気に稽古以来剣を持つのは初めてだ。実戦でも使ったことはない。だって魔法楽しいんだもん。
まあつまりこれが剣を使っての初戦になるわけだ。相手は結界だけど。
俺は取り出した剣に火属性魔法を纏わせた。思った通り、やっぱり魔法を纏わせることは可能みたいだ。どこにもやり方が載っていなかったので無理かな?とも思ったけど余裕だ。
「ていっ」
数歩後ろに下がり剣を構える。俺は火属性魔法を纏わせた剣で結界を切りつけた。瞬間、ピシッとヒビが入ったかと思うとあっという間に粉々に砕け散った。
あれ?思ったより脆いじゃないか。
(さすが我が認めた主だ。成長も早い)
(なんか拍子抜けしちゃった)
結界のあった向こう側へ足を踏み入れた瞬間、背筋に冷たいものが走った。
得体の知れない”何かに視られている”感じだ。まるで監視されるように、鋭く魔力の籠った目を向けられているようだ。俺はすぐに周囲を警戒した。フェンリルも何かを感じ取ったのだろう魔力を高め辺りに注意を払っている。
しかし俺とフェンリルの行動はすぐに無意味だと分かった。
(なあ、フェンリル)
(うむ、どうやらお主も気づいたようだな)
(ああ。恐らく”ここ”にはいないみたいだ)
(遠視の類か。姿を見せぬということは攻撃はしてこないであろう)
(もう消えたみたいだけど・・・。一体誰なんだろう)
俺たちを視ていた気配はすぐに消えた。防犯カメラのように遠くから監視できる魔法なのだろうか?少なくともこれで分かった。この森には住民がいるかもしれない。それが敵なのかは分からないが気を配っておく必要はありそうだな。
ま、とりあえずは奥に進むとするかな。




