13 ステータス
祝福の儀を受けた翌日、またあの禿げたおっさん・・・じゃないや。商人のおじさんと護衛の冒険者と共に荷馬車に乗り込んだ。今は整地された道を通って村へ帰ってきてるところだ。
馬車の荷台で揺られながらステータスを確認したらやっぱり変化があった。
今の俺のステータスはこうだ。
【名前】レオルス・ステイシー
【種族】人族
【年齢】7
【職業】なし
【Lv】5
HP:100(+215)
MP:10(+48)
STR:3(+22)
MAT:8(+43)
DEF:4(+29)
MDF:6(+30)
AGI:3(+23)
LUK:1
【装備】フィルのシャツ フィルのズボン 革靴
【スキル】女神の加護 鑑定 隠蔽 偽装 詠唱完全破棄 剣術初級 水魔法上級 氷魔法上級 火魔法上級
【称号】神獣を従えし者
ちょいちょい魔物を狩っていたせいでレベルが上がっていたみたいだ。
それにしてもステータスの数値の上り方が明らかにおかしい。
というのも、1レベル上がるごとのステータスの上昇値っていうのはある程度決まっている。
最低値は0~最高値は5で、レベルアップする毎に0~5の数値の中からランダムに決まるのだ。
俺の場合は5レベルだから最大でも25しか上がっていないはず。だが明らかにそれ以上上がっている。HPとかもうバグってるんじゃないかってくらいだ。
俺は考えた。この異常な数値について考えたのだ。
そういえば女神の加護というチートなスキルがあったな・・・なんて。
確か効果は、”【女神の加護】転生者のみに与えられるスキル。レベルアップ時の全ステータスの上昇率30%UP。全経験値獲得率30%UP。”
絶対これのせいだ!間違いない!
つまり、だ。
まず最初に1~5の数値でランダムにステータスがアップする。そこから更に30%アップする。しかもこれはレベルアップする度に行われるから、反則的に上昇した値に対して更にチートな上昇がされたという事だな。うーん、凄い。
ガタン!
いきなり荷馬車が大きく揺れたと思ったら急停止した。
「ラースさん! ゴブリンです!」
商人のおっさんが慌てた様子で荷台へと走ってきた。足がふらふらで今にもこけそうだ。
「分かりました。何体居るか分かりますか?」
「確認できたのは前方に3体ですね。・・・いけますか?」
おっさんは額に汗を浮かべながら聞いている。チラッと荷台を見た素振りから恐らく仕入れた物資が心配なんだろう。これを失ったら大損害だからね。
「それなら大丈夫でしょう。ゴブリンの討伐ランクは最低のEですから。任せてください」
冒険者のラースさんはそう言って荷台を飛び降りると前方に走っていった。
ラースさんは冒険者ランクCだからゴブリンなんか容易いだろう。俺の出る幕はないかな。でも先輩がどんな戦い方をするのか興味はある。
ちょっと覗いてみるか。
荷台の上に登ってラースさんが戦ってる方に目を向けた。
ゴブリンはおっさんが言った通り3体居た。相変わらず醜い身体だ。
ラースさんは剣士なのだろう。剣を構えて一体目に飛び掛かった。大きく振りかぶったゴブリンの攻撃を懐に潜り込んで避け、そのまま腹を切りつける。
仲間がやられて怒ったのかもう一体のゴブリンがラースさんに襲い掛かる。しかしラースさんはそれを読んでいたのか、軽く避けると大きく左に飛んで間合いを詰め首を飛ばした。
さすがはCランク冒険者。難なく勝てそうだ。
「ウグアアアアアアアアア!!!」
瞬間、最後の一体となったゴブリンが突然叫びだした。その身体から紫色の禍々しい何かが溢れていた。
なんだこれは?明らかに先程までとは違う感覚に冷や汗が垂れる。
ラースさんが
加勢するべきだろうけど、慌てて飛び込んだんじゃ意味がない。まずはアイツの正体を見抜かなければダメだ。
俺はゴブリンに向けて”鑑定”を使った。
【名前】ゴブリン亜種
【種族】魔族
【Lv】20
HP:180
MP:11
STR:69
MAT:42
DEF:35
MDF:10
AGI:21
LUK:1
【装備】汚れた腰布 ブロンズ・ソード
【スキル】威圧・小 火魔法初級
魔法を使えるのか。普通の個体ならあり得ないことだ。魔法に特化した個体であるゴブリンメイジなら可能だが・・・しかもこいつは”亜種”ときた。亜種とは何かしらの原因で突然変異した個体のことで滅多に現れることはない。
それに物理攻撃力が異常に高い。近接で戦うならかなりのレベル差がないと厳しいだろう。
俺は急いでラースさんの元に走った。
「ラースさん! こいつは亜種のようです!」
「なっ! 亜種!? そんな馬鹿な! それに君はまだ子供だろう! 下がって・・・」
”火球”
言い終わらないうちに俺は魔法を放った。
「悪いけど子供だからって大人しく見ているわけにはいかないし、どうやらキツそうだしね。手を貸しますよ」
何が起こったのか分からないのかラースさんはポカンとした顔で俺の方を見ている。
「まだ終わってません。次が来ます。ラースさんは陽動をかけてください。あとは俺に任せてください」
「・・・色々聞きたいが今は目をつぶろう。正直アレは俺だけでは手に負えない相手だ」
「では、お願いします!」
俺は言うなり大きく後ろに下がった。
前ではラースさんがゴブリン亜種の凄まじい斬撃をなんとか防いでいる状況だ。アイツは魔法耐性が低い。だが普通の個体よりは硬い。
以前戦ったことのあるゴブリンは火球で仕留められたが、さっき放った火球は顔に当たったものの少しよろめくだけでピンピンしてる。
初級がダメならもっと上だ。実践では使ったことがない、というよりその必要がなかった。まさに今が使い時ってわけだ。
これが俺の最大出力だ。喰らえ!
”炎獄矢”!
燃え盛る矢が形成される。およそ30本の矢がゴブリン目がけて飛んでいく様は圧巻だ。うんうん、いいねえ。
これはただの矢じゃないぞ。威力もだいぶ高めてあるし即死するだろう。
俺の放った炎の矢はゴブリンが避ける暇もなく次々とその醜い身体に突き刺さっていく。
苦しそうな叫び声を上げながらのたうち回っていたが、数秒もしないうちにピタリを動かなくなった。
こいつの素材とかいい値段で売れそうだけどどうなんだろう?商人のおっさんに聞いてみるか。
「お、終わったんですか?」
商人のおっさんが馬車の影から恐る恐る出てきた。よほど怖かったのだろう、顔は青ざめ足がプルプルしている。
「あの、こいつの素材って売れますかね?」
「あ、ああ。それは勿論だよ。亜種なんて滅多に出ないからね!」
どうやって持って帰ろうかな。荷馬車は物資でいっぱいだし。
「君は、なんて子だ。いやはや驚いたよ。正直もうダメかと思ったね。ありがとう。僕たちは救われたよ」
少し呆れ気味に、でもどこかホッとしたような表情のラースさん。見たところ目立った怪我もないみたいで良かった。
「いえいえ。お互い様です。ところでコイツ持って帰りたいんですけどいい方法ないですかね?」
「そうだなあ。これだけデカいとなると収納魔法か?」
収納魔法か。そういえば試したことなかったな。
空間を広げるようなイメージで魔力を展開してみる。
「まあそんな高度なレア魔法を持ってる奴がそもそも居ないけど・・・」
おっ、出来たっぽいな。ゴブリン亜種が丸々放り込まれた。
「ええええ! 今のアイテムボックスじゃないですか!」
「収納魔法だよ。まさか持っているなんて・・・今日は君に驚かされっぱなしだなぁ」
この魔法結構珍しいのかな。
「初めて使ったんですけど出来たみたいですね」
「そんな簡単に使えてたまるか!」
そんなこと言われても出来ちゃったんだもん・・・。
商人のおっさんが心底羨ましそうにこちらを見てくる。俺は気づかない振りをする。
「ところでさっきのゴブリンを倒したやつ。アレは高難度の魔法じゃないのか? 初めて見たけど凄まじかったぞ」
「ええ、ええ! あんなに凄い魔法は王都の闘技大会で見たことがありますが、まさかこんな間近で見られるなんて! しかもアイテムボックスあmで持っているなんてレオルス君は将来有望ですな! どうです? 手始めに商人になってみませんか?」
闘技大会!なんていい響きだ。俺も出たいなぁ。益々王都に行くのが楽しみなってきた。
しかし、物資が無事で安心したのかおっさんがよく喋るのなんの。商人はいいかなー。俺冒険したいし商売とかよく分からないし。
てか村までずっとこの調子だと俺が疲れるんだが・・・。




