9 お勉強らしい
家庭教師ことレイラがきた次の日からお勉強は始まった。分野でいえば現代歴史学だ。ちなみに世界歴史学は思ったより俺の知識があったらしくあっけに取られてたっけ。あの時のレイラの顔は面白かったぜ。あ、ちなみに2歳になりました。
「さて、レオルス君。今日から魔法を取り入れた実戦形式での授業を行おうと思います」
やったー!ついに魔物と戦える!この日を待ちわびてたぜ!
というかこの1年は座学のみだった。マナーやら基本的な知識からありとあらゆるものを全部教えてもらったのだ。魔法はやはり早すぎるということでほぼやらせてもらえなかった。なので最初にやってたようにこっそり自主練するしかなかったんだ・・・。ちょっと不服だったけど女性に逆らうと怖いのできちんと従ってました。俺、えらい。
「魔物! 俺、魔物倒すー!!」
興奮して叫ぶ俺に先生ことレイラがきょとん顔になる。
「何を言っているのですか? 実戦形式といってもいきなりはしませんよ? まずは魔法を使う・制御する練習からです。魔物はとても危険です。あなたは2歳なのですよ? いくら魔法が凄いからといって過信してはいけません。実践と練習は違いますからね」
お、鬼だ。鬼がここに居る!これだけお預けしといてまだ魔物と闘わせてくれないのか!
俺の膨れた顔を見たレイラは何かを察したのか。
「勘違いしないでください。あなたの実力は認めていますし、将来必ず名を馳せる事は確信しています。だからこそですよ。きちんと基礎を学んでおかなければ力ばかりに頼りいずれ命を落としかねることもやぶさかではありません。今のうちにしっかりと学んでおく事が大切なのです。焦らずとも、あなたはまだ2歳なのですから」
む~。言ってることは凄くよくわかる。まぁ仕方ないかぁ。ここはちゃんということ聞いとかないと、いろんな意味でも死にたくないし・・・。
「はぁい」
「よろしい。では練習場に行きましょう」
練習場とは俺の才能を知ったあの日から父さんが王都に行った際に職人に頼んで作らせたらしい。庭の一角が小さいが立派な練習場となっているのだ。流石親馬鹿だ。いや、凄くありがたいんだけどね!ありがとうパパ!
「ではこれより魔法の練習を行います。まず確認からですがレオルス君はどのくらいまで魔法を習得しているか聞かせてもらえますか?」
「う~ん。毎日修行で使ってるのは水属性が多いかな。水球とか。上級魔法までは使えるよ!」
「なるほど・・・やはり上級魔法までは完璧にモノにしているようですね。もう驚きませんよ、ええ。 流石です。他の属性はどうですか?」
「氷属性と火属性は中級まで使えるようになったかなぁ」
この2属性は攻撃力も高いし上級魔法になると威力が凄そうだから怖くてまだ使ったことはない。というか練習できる場所もなかったし。
「ふむ。もうすでに何も教えることがない気もしますが・・・。とりあえず今使えるその3属性の上級魔法まで完璧に扱えるようにしますか。幸いこの練習場には強力な結界がありますし、大丈夫でしょう」
「わかりました!」
「上級魔法は勉強もしていますし、レオルス君のことならどんな魔法があるかも分かっていると思いますので、そうですね・・・火属性魔法からやってみましょうか」
火属性魔法か。練習場は母さんの手によって強力な結界が張ってあるのでちょっとやそっとの魔法じゃビクともしないらしい。つまり思いっきり魔法をぶっ放せるわけなのだ!やってみたいのはいくつかあるけどまずはアレかな!
”炎獄矢”!
この魔法はその名の通り高火力の火の矢を作り出し敵に向かって飛ばす魔法だ。まず、名前がかっこいい!やっぱ火属性って男子なら誰でも憧れると思うんだよね。
とりあえず50個程作って的に向かって投げる。おお、的に当たるなりすげえ爆発音がした。アレ?なんか的が粉々になってるような気がする。あれってそこそこ硬い金属となんとかっていう硬いスライムで加工してあるから壊れないって聞いてたんだけどな・・・。
まあ分かったことはやはり火属性の上級魔法は威力が桁違いということだな。2歳の俺の魔力でこんな凄いなら大人がやったらもっと凄いんだろう。
おや、レイラがの反応がないな。上級魔法にしてはショボすぎたとか?
「・・・レオルス君あなたには本当に驚かされます。もう私は突っ込みませんよ、ええ。では次は氷属性の上級魔法ですね」
なにやら若干疲れた顔のレイラが言った。どういう意味なのか分からないがまあ、初心者にしてはまあまあってことかな?2歳児に厳しいよこの先生!
気を取り直して氷属性か。これもやってみたい魔法があるのだがアレは広範囲を氷漬けにしちゃうし万が一家も凍ったら母さんの雷が落ちる可能性が高いので自重しようと思う。マジ恐怖。なので、無難なやつにしようかな。
”氷柱凍砕”!
この魔法は敵の周りにある空気中の水分を集めて敵ごと凍らせてから粉砕するといった魔法だ。やっといてなんだけど結構えげつない魔法だなぁ。これも的目がけてやったんだけどあっけなく粉砕してしまった。
これ、実はそんな丈夫じゃないだろ!俺でも壊せるとかあまりにも耐久値が低すぎる。多分俺に嘘を教えといて的が壊せなくてもショボいわけじゃなくて的が凄いだけだから落ち込むなよっていう親心なのかもしれない。壊せちゃったから微妙なんだけどさ。次はもっと耐久値があるやつを買ってもらおう。
まあ、火属性も氷属性も制御は思ったようにできてるし習得できたんじゃないかな。これからも上級魔法ぶっ放してれば完璧にマスターできる日はすぐそこだろう。あ~、あと他の属性も使いたいなぁ。この世界の人は基本的に1属性持ちだ。2属性持ちはまあまあ珍しく才能があるといえるレベル。3属性扱持ちかなり珍しいが居ないこともない。だが魔法師団長レベル。それ以上になるとまず存在しないし未知のレベルってことろだ。
俺の野望?としては今既に3属性持ちであることは分かっているから、どうせなら魔法を極めて魔導師のトップに立ちたい!もちろん近接戦もできないと困るのできちんと剣術の稽古も毎朝やっている。魔法ばっかりやってたら父さんが悲しむからな・・・。自分の子供に稽古をつけるのが夢だったらしいし、素直に凄腕レベルの父さんの稽古はめっちゃありがたい。少々スパルタだがそういうのもあっていいと思う。
というかさっきからレイラを放置しちゃってた。俺の魔法見てから反応ないけど大丈夫かな?
魔法といえば創作もやってみたい。前にレイラに魔法の作り方を聞いただがそんなことは誰もしないしそもそも出来ないというのが常識だそうだ。そもそも詠唱の大半の意味はまだ解明されていない部分が多すぎて作ろうにもそのレシピが分からないって感じらしい。これって俺のチートともいえる前世の知識があれば割と簡単にできてしまうのではと思った。いや多分できる。なので追々やっていこう。
「はっ。 私としたことがこの程度で・・・まだまだ修行が足りないようね。ええ、決して驚いたわけじゃないわ。全く3属性持ちってだけで規格外なのにこんな威力の魔法をいとも簡単に使うなんて・・・」
レイラがなにやらぶつぶつ言いだした。ちょっと怖い。なにも触れずにそっとしておこう。
「あらレオルス君。今失礼なことを考えませんでしたか?」
「え!? やだなぁそんな訳ないじゃないですか~」
なんてことだ。心を読めるのか・・・!?そんな魔法があるなら俺も使いたい!流石父さんと母さんが見込んだ魔導師だ。あなどれない。
おっとそろそろ夕食の時間だな。俺はそそくさと練習場を後にした。腹ペコリーヌ~。
「これは予想以上ですね。少し考えないといけないかもしれません」
練習場に残されたレイラが俺の後姿をみながら何かつぶやいていたなんぞ知る由もない。




