拝啓、月面より。
良ければどうぞ。
何もない、何の音もしない空間にただ一人座る。
ゴツゴツとしたクレーターから見上げる空は真っ黒のカーテンにまかれた煌びやかな宝石。
そんな中でひときわ目立つ青い宝石。
遠くから眺めるだけで思わずため息が出る。
何もないこちらに比べてあっちは楽しそうだ。
近づくことは叶わないけれど、せめて言葉は伝わるだろうか。
384,400キロメートルほどの時間差で。
届いてほしいと親愛のメッセージ。
音のない空間に流れていく想いの流星。
ここにいるよと投げ掛けて、返事を常に受信中。
届いたのなら返事をください。
綺麗な星よ。
ぼくはあなたに好かれたい。
感想などもお手間でなければ御願いします。