表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/112

2-2 第94話 優也を旅行に誘いたい!

side結羽


 土曜日


 突然ですが、

「もっと優也とイチャイチャしたい」

 私は自室のベッドに寝転がりながらそんな事を考えていた。

 だって優也、付き合い始めたというのに反応が淡白だし、優也の方からは一切何もしてこないし、休みの日といえば一日中バイトしているか喫茶店。全くイチャイチャする時間が無い。

 しかも優也の周りにはいつも可愛い女の子がいっぱいいる。不安になっちゃうよね。


 だから私は勝負を仕掛けようと思います。

 そして私はお父さんとお母さんに貰った旅行券を握りしめる。

 この旅行で一気に優也との距離を詰めてイチャイチャ、あわよくばキキキ、キス……そしてさらに先へ。

 そこまで考えると顔に熱が帯びてくるのを感じた。

「でも、ちょっと心配だなぁ。優也ってあまりにも欲が無さすぎると思う」

 多分色々な手を尽くしても私が気を使ってると思われるのが関の山だ。

 だったら強引に……。でも私にはそんな勇気はないし、出来るなら優也から来て欲しいな〜なんて。


 でも優也はかなりの鈍感男。多分してきてはくれないだろうなぁ……。


 でも行動に移さなきゃ何も始まらない! 私はそう思って優也の部屋に向かう。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 部屋の扉をノックするとすぐに優也が出てきた。

「ゆ、優也。今何してたの?」

「ん? まぁ、普通に漫画読んでたが」

「まんがぁぁぁっ!?」

 私は驚きすぎて後ろに下がってしまった。


「なんだよ。おかしいか?」

「あ、あの勉強馬鹿でいつも私が見ても理解不能な小説を読んでいたあの優也が!?」

「んだよ、俺だって漫画くらい……って今さりげなく俺の小説読んだのを暴露したよな? 俺貸した覚えはないんだけど……勝手に読んだのか」

「え、えと」

 や、ヤバイ。墓穴を掘った。

 そう。前に一度私は優也に話題を合わせたくて優也が居ない時間帯に部屋に忍び込み、小説を拝借した事があった。

 結果は──『全くわからない』。小難しいにも程がある様な内容だった。

 難読漢字のオンパレード、小難しい政治の話、色んなキャラにそれぞれの感情や性格が細かに書かれているところはすごく良かったけどそれよりも難しすぎて私にはよく分からなかった。

 そもそも、普段漫画しか読まない私に小説なんて無理だったんだ。


「まぁ、怒っている訳じゃないが、貸してほしい時は言ってくれると助かる」

「はい気をつけます」

 ってこんな話をしに来たわけじゃないのに!

「漫画読んでるんだったら時間あるよね?」

「いや、時間があるかないかで聞かれたらあるにゃあるけど今は漫画が非常に気になるシーンなんだ。盛り上がってきた所なんだ」

「へぇ〜どんな?」

 興味本位で聞いてみた。さすがに漫画で理解不能なシーンは無いだろう。

「確か、動物と人間が心を通じ合わせて一緒に平和な世界を作ろうと言う話なんだが、」

 おー。結構ほのぼのとした話なのかな? 優也が読むのは意外だけどこれなら私でも分かりそう。

「突如として現れた巨大ロボットにどんどんと街を破壊されていって」

「あー。なんか可哀想な話」

「だけどそれは正義の行為で、人間と動物が手を取り合うと世界が滅びるって伝承があって」

「うんうん……ん?」

「それを共にどうやって乗り越えるかと言う所だったんだ」

「どういう世界観!?」

 なんで最初ほのぼのとした話なのに段々と殺伐とした話になって行ってるの?

 やっぱりなんか優也の物語の好みがよく理解できない。

 人間と動物が手を取り合うと世界が滅びるって、どうしたらそんなことになるの!?


「でもしょうがないか……ごめんね優也。邪魔しちゃったみたいで。それじゃあ」

 そう言って振り返り、自室に戻ろうとすると背後から腕を掴まれた。

 背後にいる人物なんて一人しか居ない。

「優也?」

「あー。なんだその。何か用事があったから来たんじゃないのか?」

「……」

 やっぱり優也には敵わないや。


「突然だけど今日これ、一緒に行きたいなって思って。日付が今日までだから」

 そう言って私は恐る恐る手の中に握りしめていた旅行券を見せる。

「これはこの前結羽に美樹さんと政博さんがプレゼントした」

「うん。で、ダメ……かな?」

「いや、ダメじゃないんだが……俺で良いのか?」

「うん! 優也が良い! 寧ろ優也じゃなきゃ嫌!」

 そう言うと優也は私の気迫に押されたのか驚いた顔をしている。


「そうか。そこまで言われて行かなかったら彼氏失格だわな」

 優也の言った彼氏と言う言葉に反応して少し恥ずかしくなる。

 多分今の私は顔を真っ赤に染めていることだろう。

「よし、結羽。少し待ってろ、今行くから」

 突然のお誘いだとはわかっている。だけどそれを承諾してくれたのは優也が優しいということの証明だ。

 やっぱり優也を好きになって良かったよ。


 私はサッカーボールで助けられた後、また会えたらいいなと言う淡い願望を胸に日々を送っていた。

 探した。もしかしたらまた会えるかもって。

 学校も知らなかった。あの時、あの人が制服を着ていたら調べる手はあった。

 だけどもその時は私服だった。だから探せなかった。


 私はそのまま落ち込んだ気持ちで入学式に望んだ。入学式の内容も頭に入ってこなかった。

 もう二度と会えないかもと、そんな事を考えていたナイーブになりながら登校していた。


 だけどその時、また会えた。あの運命の十字路で──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ