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2-2 第88話 始まりのあの日

side優也


 えー絆成 優也です。

 えー、つい先程結羽と付き合う事になりました。なったのですが……。

 どういう状況なのでしょう。


 ついさっきまで抱きしめ合ってたんだが、急に恥ずかしくなり、互いに離れたのだが、互いに向き合って正座をしながらお茶を飲むと言うシュールな絵面になっております。

 まぁ、頬を真っ赤にさせながら両手でコッブを持ってお茶を飲む姿は可愛いから良いんだけどな。


 このまま俺的には結羽を眺め続けてても良いんだが、話題がないと気まずい。

 だから俺は俺は必死に思考を回転させて話題をさがす。


 そういや俺は結羽に過去を伝えたけどあの事件以降の結羽の話って聞いたこと無かったよな。

「そういや結羽はあの後どうしたんだ?」

「あ、あの後って?」

「あの俺達が初めてあったあの時の事」

 そう言うと結羽は頬を更に真っ赤にさせ始めた。


「え、えと……今ではロングヘアだけどあの頃はショートだったでしょ? そして今はコンタクトレンズに変えてるし」

「ん? そうだな」

 するとモジモジと人差し指同士を擦り合わせ始めた。

 彼氏のひいき目だからだろうか? いつも可愛いが今は特別に可愛いような気がする。

「ゆ、優也がその方が良いって言ったからだよ?」

「ん? あ〜たしかに言ったな」


─※─※─※─回想─※─※─※─


side結羽


「や、やめてください」

「嬢ちゃん。一人で遊ぶよりももっと楽しいこと教えてやるからよ」

「一緒に来いよ」

 グイッと私の腕を掴んで引っ張ろうとする私より一回りも二回りも大きい複数の男性に囲まれて私は怖くて怖くて泣いてしまいました。


 その時の出来事だった。


 リーダーと思われる男性に急に飛んできたボールが当たってその男性は気を失ってしまいました。

 残りの男性はリーダーがやられた事で、急に私から手を離して覚えてろよ〜と言う悪役らしい台詞を吐いて逃げていきました。


 ボールが飛んできた方を見るとそこには複数の男の子が居ましたが、一人以外は通り過ぎようとしてたように見えました。


 そのボールを蹴ったと思われる男の子が近寄ってきました。

「大丈夫か?」

 そう言って男の子は私の前で少し屈んで私の顔色を伺ってきました。

 今思えば彼の方が少し背が高いので当然です。

 ですが、その頃は少し子供扱いされたみたいでムッとしました。


「なんで怒ってるんだ」

 私は無口だったので喋りませんでした。

「そうか……でも女の子は怒ってるより笑ってた方が可愛いと思うぞ」

 そしたら私の頭をポンポンと軽く撫でてきました。なんか女の子に慣れた感じです。


「あと、君は髪が長い方が絶対可愛い!」

 親指を立ててきましたが、何がグッドなのか分かりません。急に訳の分からないことを言い出して……。


 でもさっきまで恐怖を感じていたからでしょうか? 鼓動がなり止みません。

 それに彼の事を考えると心が暖かい気持ちになって思わず頬が緩みそうになります。


 服装はイマイチですが、かなり整った顔。これで服装もキチッとキメたらイケメンフェイスに加えて最高のコーディネート。あれ? ちょっと良いかも。

 ※結羽のひいき目も入ってます。


「んじゃーな。気ぃつけて帰ろよ」

 そう言って私の前から去っていく男の子。

 なんか友人に文句を言われているようですが、ここからでは良く聞き取れませんでした。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 数日後、私がリビングでぼーっとしながら考え事をしているとお母さんととーまが何やら話し合ってるようでした。


「ねぇ、結羽?」

 話し合いが終わったかと思うとこっちに話しを振ってきました。

「何?」

「最近ずっと考え込んでるなと思ったら急にニヤけて変よ結羽?」

 ギクッ

 わざとらしく反応してバレてしまいます。


「結羽どうしたの?」

「いや、あのね? なんか最近変なんだよね。ある一人の男の子の事を考えてると胸がポカポカしてきて暖かい気持ちになって、自然とニヤけちゃうの……。これって何かの病気かな?」

 そう聞くとお母さんは少しだけ考え込んだ後、一言言い放った。


「病気ね」


 私はそれを聞いた瞬間怖くなってきた。

「でもね。それはお医者さんでも治せないの」

 それを聞いて更に恐ろしくなった。

 もしかして私、死んじゃうのかな?

「だけどそれは悪い病気じゃないの。安心して?」

 それを聞いて私は安心しました。


 ──でも、どんな病気なんだろう?


 その時はまだ恋というものがどういうものか知らない私は恋に気が付きませんでした。


─※─※─※─回想 終─※─※─※─


side優也


「こんな感じかな?」


 結羽は顔を赤く染めながら語ってくれたが、聞いてるこっちまで恥ずかしくなってくるようなエピソードだった。

 そんなに前から俺の事を思ってくれたんだと思うと嬉しさと恥ずかしさが両方襲ってきた。


「そうか。んじゃあこの学校に入ってきたのは俺を追ってなのか?」

 そう聞くと結羽は首を横に振った。

「それは完全に偶然。元々は違う学校に入ろうと思ってたの」

「へぇ〜。それじゃなんでこの学校に入ることにしたんだ?」

「それはね……えっと……冬馬に馬鹿にされて……」

 何その可愛い理由は。そんな事だけで落ちるかもしれない伊真高を受験したのか。


「そう言えば試験の時、優也に会ってそこでも助けられたんだよね」

「え? 全然記憶に無いんだが……」

「優也ってもしかしなくても記憶力ってあんまりないよね」

 バレたんだけど。

 付き合ってすぐに彼女に記憶力がない事がバレたんだけど。


「それじゃあ教えてあげるね。優也がどれだけカッコいい行動をしでかしたか」


─※─※─※─回想─※─※─※─


side結羽


 試験当日


 ここを落ちたら……考えたくもない。たぶんとーまにバカにされる……。そんなことを考えて私はナイーブになってしまっていた。

 そんなわけで必ず受からなくてはならない。

 御守りに祈っておこう。そう思ってポケットを探るけど見つからない。

「御守り……御守り……あれ? 御守りがない!」

 ポケットに居れておいた筈なのに!

 どこかに落とした? 探してたら時間が無くなるし……。


 最悪だった。

 寄りにもよって試験当日にお守りを落とすなんて……。


 その時の出来事でした。

「あの……これ、あなたのですか?」

 後ろから声をかけられ後ろを振り向いたら、私の御守りを差し出して、聞いてきている男性が居た。

 雰囲気は変わってました。だけど間違いない。この人は昔助けてくれたあの男の子。

 凄い背が伸びてて、頭一個分くらいの差が出来てしまっていた。


 っと、見蕩れてしまっていた。

 御守りを拾ってくれたんだからお礼を言わないと。

「あ、ありがとうございます」

「今度は落とすなよ?」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 受験が終了して、私は玄関から出た。


「うぅ……自信ない……あんなに啖呵切ったんだから合格しなかったら冬馬にバカにされる」

 その時、

「あれ? 中学生?」

 前から声をかけられ、そちらをみると、この高校の生徒と思わしき男達が居た。

 なんで今日は受験日なのに在校生がここに居るの?

 って、確かに中学生だけど絶対私の年齢より幼いと思ってる。

「ちょっと一緒にゲーセン行かない?」

「ちょっと忙しいので」

「ちょっとだからさぁ」


 肩を掴まれそうになったその時、後ろからサッカーボールが飛んできて男の顔面に──直撃した。

「ぐは!」

「てめぇ! 何者だ!」

 そのボールを蹴った人物とは、

「俺か? 俺は……そうだなぁ……ただ自己満に(ひた)りたいただのしがない一般人ですが?」

 やっぱりあの人だ!


「ああ? 自己満だ?」

「なんだ? かっこつけてんのか? 俺達は今、この子にようがあんだよ!」

「そうですか……ですが嫌がっているようですよ?」

 え? これって助けようとしてくれてる? 私から見たらあの人は背が高いけど、この高校生の人達はそのあの人よりも大きいし、怖くないはずがない。


「嫌がってるわけねーだろ?」

「嫌がってないんですか?」

 あの人が聞くと、

「ああ、そうだ!」

 何故か私の隣に居た一人が答えた。

「ああ、それは失礼しました」

 そして、彼は振り返り、帰ろうとした。


 そう。それが懸命な判断。私なんて見捨てて帰った方が身のためになる。

 だから私なんて見捨てて帰って。

「と、見せかけて」

 そして、あの人はなぜか持っていたサッカーボールを蹴り見事私の周りに居た一人の顔面に直撃した。

 何やってるのよバカァァァァァっ!


「兄貴!」

 顔面にボールが当たった人はその場に倒れてしまった。


 そして他の高校生達が倒れた人の近くに行った隙を狙って──

「逃げるぞ! めんどいからな」

 私はあの人に手を握られてドキッとした。

 そして、私はそのまま手を引かれて一緒に走って逃げた。


 暫く走り、そこで止まった。

「ここまで来れば大丈夫だ。じゃあな! お互い、受かれば良いな」

「うん!」

 そして、彼は走って行ってしまう。

 すごくドキドキした。


 そして私の胸は暫くドキドキしっぱなしだった。

 それは走ったことによるものなのかはたまた……それはどっちなのか分からなかった。


─※─※─※─回想 終─※─※─※─


side優也


 マジかよ!

「え? 俺は黒歴史を重ねる馬鹿だったのか!? と言うかなんでそれを忘れてた?」

 俺が頭を抱えて悶えてると結羽は俺の耳元に近寄って来てこう囁いた。

「でも、私はそんな優也が好きになったんだけどね」

 その言葉にドキッとさせられた。


 耳が溶けてしまいそうなほど甘い声。その声によって俺は悶えることを忘れてた驚いて顔を上げる。

 すると、もう数センチ近づけば唇が当たる場所に結羽が居たため、驚いて後ずさりする。


「ふふっ。優也も可愛い反応するんだね。いつも萌未ちゃんに迫られても素っ気ない態度を取るからそう言うのに興味が無いんじゃないかと思ってた」

 何を言ってるんだ。俺だって人並みの性欲位ある。

 だけど萌未の場合、昔からずっと妹の様に接してきたから今更そういう目で見れないってだけで。


「でもその反応を見れて安心したよ。次はもっとドキドキさせてあげるね」

 結羽はそう言った後、自分の部屋に戻って行った。

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