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2-2 第86話 発覚

side優也


 休日二日目。


 俺は凌太と共に喫茶店に来ていた。最近よく喫茶店に来るようになったよな。


 そして俺は凌太とテーブルを挟んで座り、コーヒーフロートをすする。

 何しに来たのかと言うと、まぁ凌太に相談しに来たわけなんだが──

「腹減ってたのか?」

 凌太は俺の目の前でトマトソースパスタ(大盛り)、オムライス(大盛り)。極めつけにはバタートーストをこれでもかとカッくらっていた。

 あの胃袋は異次元にでも繋がってんじゃないのか? そう思えてくるような食いっぷりだ。


 今思えば、今の「腹減ってたのか?」って問いも適切では無いような気がする。

 仮に腹減ってたとしてもこの量を食うのはおかしいからな。


「さっき飯食ってきた」

 その言葉に俺は言葉を失った。


 飯を食ってきたと言うのに更にそこから物凄い量を食っているだと!?

 余計に(たち)が悪い。

 俺が食ってるわけじゃないけど、目の前で見るだけで腹一杯になり、気持ち悪くなる。俺は大食いな方では無いからな。

 逆に結羽の方が食べるくらいだ。

 まぁ、それは前から知っていたけどな。

 たまにコンビニにお忍びで行っては夜食を買っている。本人はバレてないと思ってるらしいが、俺は隣の部屋だから結羽が出て行ったのは直ぐに分かる。


「あの馬鹿どもを制御すると腹が減るからな。エネルギー補充も重要だ」

 そういや昔から大食いなわけじゃなかったな。

 そうか……。バンドを始めてからあいつらが今までより暴れるようになったと……こいつも大変だな。

 俺は哀れみの目を向けた。


 応援してる。手伝わないけどな。


「はぐはぐ。むぐむぐ。んぐっ。っはぁ……んで、話ってなんだよ」

 うわぁー。すげー。もう食い終わった。ここに来て十分と経ってないぞ。


 とまぁとりあえず話だったよな。

「お前さぁ、LIFE1の情報屋とか言われてたよな」

「……欲しくも無い称号だ。普通に生活してたら手に入る情報だ」

 普通に生活してて裏組織の情報なんて手に入らないと思うけどな。


 こいつ、やばい組織なんかの情報を掴んで警察に垂れ込むのを趣味にしている。んなやばい事を趣味にしているやつなんて世界の何処を探しても無いだろう。

「まぁ、その情報屋のお前に頼みがある」

「なんだよ。俺は情報屋の称号を貰ってイライラしてるんだけど……。もしくだらない事だったら……っ!」

 怖い事を言ってくれる凌太さんだが、俺は怖気づかずに要件を語る。


「お前は何故結羽が俺の黒歴史を知っているか調べて欲しい」

「結羽っつったらこの前会った女の子か? んで、お前の黒歴史ってったらあれだよな。サッカーボールの」

「ああそうだ」

 そう言うと凌太はジト目を浮かべていた。


「帰る」

 急に帰ると言い出す凌太に俺は焦った。

 どう引き止めたものかと考えてる内に歩き出す凌太。

「止まってくれ! そ、そうだ! ここ奢るから!」

 しかし凌太の足は止まんない。こうなったら!

「ピ○クル奢るから!」

 そう言うとぴたっと足が止まった。

「……二本な」

 そう言うと元の場所に座る凌太。計画通り。


「俺、記憶力が良いんだ」

 座ると急にそんなことを言ってきた。

「……だな」

「似顔絵とか得意」

「そうだったな」

 そのやり取りをした後、凌太は(おもむろ)にスケッチブックを取り出して、二つ絵を描き始めた。


 そしてその描き終わった絵を俺に見せる。

「上手いっ!」

 結羽の絵が死ぬほど似ている。


 それに……こっちの絵は……。

「あの時の女の子か?」

 ん? でも……最近どこかで見たような絵だな。

「んじゃ」

 そう言うと立ち上がる凌太。


「ちょっと! 教えてください! これになんの意味が!?」

「考えろこのクソリア充」

 俺にそう言い放って店を去って行った。


 結局俺が払う事になったけど……これだけじゃわかんねーよ。

 どうしろってんだよ。


 その時、急にひとつの写真が頭の中に浮かんだ。


『そういやこの頃、結羽は髪も短くてメガネをかけてるんだな。今はコンタクトなのか?』

『あ、そうだね。今はコンタクト。まぁ、そこまで悪いって訳じゃないけどね。視界がぼやけると吐き気がするから』

 確かこんな会話をしたような。


 そして俺は凌太の置いていった似顔絵と記憶の中の会話を照らし合わせる。

 髪が短くて……メガネをかけてる。

「一緒だ……っ!!」

 全く同じ容姿だった。


 凌太の絵は肩の辺りまで書かれているが、その為、髪の長さが全て書かれているショートの髪。メガネをかけていて、結羽には悪いが暗そうに見える表情。


 間違いない。これは──結羽っ!


 そうか……そういう事だったのか……。全てが繋がった。


 俺の黒歴史を知っている理由も、昔の結羽にどこかであった気がした理由も、そして結羽にいきなり好みの容姿をぶちまけた人物も……。


 俺達はあそこで出会ってたんだ。

 あの路地裏で。


 俺の黒歴史を知っている理由は実際に体験した当事者だったから。昔の結羽にあった気がした理由もそうだ。

 そして結羽に『君は多分、メガネは無い方が可愛いと思うよ。うん! それと僕はロングの方が好きだな』とか言ったのは──

「この俺だったのか……っ!?」


 漸く気がついた。

 恐らく結羽はずっと知っていたんだろう。

 高校生になってから初めて出会い、今の今まで、結羽にとってはその男の子だと言う認識だったのか?

 だとしたら一目見て気が付かなかったのは申し訳ないよな。

 考えてみれば、顔も変わっていない。それなのに俺は……気がつかなかった。


 でも俺は今、気がついた。


 ならば俺は伝えるべきだろう。


「っしゃ! 気合い入れていくか」

 俺の友達……。いや、一目惚れした女の子の元へ

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