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2-2 第83話 同時に告白されるだけで罪らしい

side優也


 ズズズ

 俺は目の前に置かれたコップの中のコーラをストローですする。丁度その一すすりで中身が空になったようだ。


「珍しいな。お前がコーラを飲むなんて」

「うっせ。そういう気分じゃなかったんだよ」

 そう言ってからコーラをもう一杯注文する。


「んで? 珍しいじゃないか。お前から俺を呼び出すなんてよ」

「俺がお前を呼び出しちゃあかんのか」

「いーや。全然」

 首を横に振る目の前にいる男。


 会話の流れで分かると思うが、こいつは俺が呼び出した。

 んで、その呼び出した場所は近くの喫茶店だ。その一郭で俺とそいつは飲み物をちびちびと飲みながら話しをしていた。


「あつし、単刀直入に聞く。白井さんとはどうだ?」

 俺が聞くと俺の顔に口に含んだメロンソーダを全てリバースしてきた。

 それを俺は無言でハンカチを取り出して顔を拭く。

「おい、本当に単刀直入だな」


 俺が呼んだのは童明寺 あつしだ。

 ちょっと相談したいことがあったから呼び出した。


 いつもはあまり動揺しないあつしだが、今日は動揺して苦笑を浮かべている。

「良いから教えてくれ」

「どうも何も何もねーよ。元々幼馴染って関係がムズいんだ。そこからどうやって関係を変えていくかが問題だ」

 適当に答えるあつし。

 だが、本当に聞きたいことはこれじゃないんだ。


「じゃあ次だ」

「あ?」

 俺は深呼吸して、一拍置いてからこう言った。

「お前は同時に4人から告白されたら……どうする」

 俺はいつになく真面目な表情で聞いた。真剣な悩みだからだ。


 俺は数日間の間に4人に告白された事で俺は悩みに悩んでいた。夜も眠れなくなって寝不足気味でもある。

 同じ家に俺に告白してきた人が居ると考えると眠れなくなってしまう。

 まぁ、結羽だけならいい。だが、4人に告白されたなら話は別だ。

 全員を振るという選択肢も確かに存在する。だが、誰かの告白を受けてしまうと他3人はその一人を受けたから振る。と言うのもなんだか切ないよな。

 だからと言って全員受けるという選択肢は絶対にありえない。そんなことをしたら最低のクズ野郎になってしまう。


 だから俺は親友の意見を聞きたくて呼び出した。

「そうだな〜4人に告白され……」

 そこで我が親友の動きが止まった。メロンソーダを右手に持ったまま固まってしまった。


 そして数秒の硬直後、自分を落ち着かせるためにメロンソーダを飲んだあつしは俺に飛びかかってきた。

「4人ってどういう事だよてめぇっ!」

 胸ぐらを掴んでくるあつし。

「えぇっ! お前女の子に興味ないから別にいいじゃないか」

「それとそれは別だ。クズか!? クズ野郎なのか!?」

「受けてないんだけど!?」

 さすがにそれだけでクズ認定は理不尽すぎる。まさかこいつは告白されるだけで罪とか言い出すんじゃないだろうなぁ?

「一度に多数の異性から告白される時点で罪だ!」

 言ったァっ! 一語一句間違えずに言ったァっ!

「いやいやそれだけで罪はちょっと!」

「優也しねぇっ!」

「理不尽だァァァっ!」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「………………落ち着いたか?」

「…………ああ」

 あれから数分後、俺はなんとかあつしを治める事に成功した。

 そしてあつしは今、俺奢りのパンケーキを食っている。なんで奢らされないと……理不尽だ。


「んで? お前は4人の異性に同時に告白されたと……」

 ん? ちょっと待て!

「どうしてそうなる!?」

 俺はされたなんて言ってないぞ?!


「だってよ、お前。さっき『受けてない』って言ったよな? これって認めてるよな?」

 拳を作って俺の視界に入るようにしながら睨みつけてくる。

 怖い。

「まぁ、実際にされたんだけどさ」

「よし優也。ちょっと頭貸せ、殴る」

「そんな動機で貸す訳あるかっ!?」

 これが最近の俺達の関係だ。

 昔よりも少しだけ砕けた関係になっていて、今ではこんな軽口も叩けるようになった。

 ついでにあつしが俺を殴るようになった。親友を殴る人は凌太だけで充分だ。


「まぁ、そうだな。俺もちょっと前まで付き合わないって決めてたからな。ちょっと悩ましい問題ではある」

 そこで俺は気になってしまった。

「なぁ、お前が断り続けていた理由ってなんだ?」

 そう聞くと悲しそうな表情に変わった。

 そこでどういう話かは想像がついてしまった。


「いや、言いたくないなら言わなくても──」

「いや、お前なら特別に言ってやる。本当に特別だからな?」

 そこまで特別にして言わなくても……。

 そう思ったがあつしは語りだした。


「俺、昔は彼女がいたんだよ」

 その言葉に俺は思考が停止してしまった。


 そして復活するまで数秒かかった。

「え!? お前彼女居たの!? は? え? はぁっ?!」

 俺は動揺しすぎて普通の言葉すら話せなくなったと思う。

「反応遅いし動揺しすぎだろ。俺が一番最初からこうだと思ってたのか?」

 その言葉に首だけ降って肯定の意志を示す。


「俺がこうなったのは小四の頃だ。そして俺はその小四のころのことを全くと言っていいほど覚えてない。ある一つの事件を除いてな」

 事件?

「他のこと忘れんならこれも忘れて欲しかったわ〜」

 手のひらの指を絡め、そこに頭を置いて後ろにもたれ掛かるあつし。


 そしてあつしは過去の話を始めた。

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