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2-2 第81話 ハーレムとは、経験しないとわからない苦労がある

side優也


『私ね。優也の事が好き』

『あなたの事が好きです』


 あの日からまともに結羽と顔を合わせることが出来なくなった。


 まさか結羽に告白されるなんて思ってもなかったからだ。


 だが結羽は何事も無かったかのように──

「優也〜朝だよー」

「ん? ああ」


 あの日からなかなか寝れなくなって寝不足だ。その為、寝坊気味になってきている。

 そんな時はいつも結羽が起こしてくれるんだが、目を合わせる事が出来ない。


「朝食も出来てるよー」

 あれは夢だったんじゃないかと思う程の自然な接し方だ。


 だが夜、バルコニーにて結羽と露木ちゃんに告白されたのは事実な訳で……。

 と言うか、以外だったのは露木ちゃんだ。露木ちゃんは俺の事を嫌ってるって思ってたのに実際はその逆だった。


 ──告白された。


 それだけで身悶える事が出来る。


「先に行ってるね〜」

 と言うか、お玉と包丁を持ったまま部屋に入って来ないで欲しい。怖いから。天然サイコなのか?


 まぁ、布団にいつまでも入ってる訳にもいかないから仕方が無くリビングに向かう。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 そのまま俺達は飯を食った後、二人で家を出た。理由は今日から学校が始まるってのがある……のだが。


「ゆーうやっ♪」

 ギュッと俺の腕に抱きついて来る少女が一人。そして、

「せ、先輩」

 控えめに袖をつまんで上目遣いで見つめてくる後輩が一人。

 それをニコニコしながら見守る会長が一人。


 そう言えば、俺達がいつも登校している道をこの二人は知っているんだったな。


 しかし、やばい。何だこの状況。


 美少女二人に挟まれて、しかもその二人とも俺に好意を向けてきている。

 露木ちゃんも俺に思いを告げたからか、前の様な冷たい態度じゃ無くなってる。と言うか、俺としては調子が狂ってしまうので正直言うと前の様に罵って貰った方がありがたい。こんなに誰かに罵って欲しいと思った事は無いぞ……。このままじゃドMに目覚めてしまいそうだ……。


「はぁぁぁ…………」

 俺は無意識の内にため息をついてしまう。

「絆成君、女の子二人に囲まれているって言うのにため息を着くなんて失礼なんじゃないの?」

「いやぁ、二人だからこそ困っているって言うか……」

 この日本では二人と同時に付き合うなんて出来ないからいっぺんに告白されて困っているのだ。


 まぁ、俺は女心も分からなければ男なのに男心も分からないからよく分かんないが、普通ならば美少女二人に囲まれると男は嬉しいと思うんだと思う。だが、俺は完全に気が滅入りそうになってきている。


 どうしてこうなった……。


「優也はぁ〜どっちが良いんですかぁ〜?」

 と結羽が耳元でとろけるような声で囁いてくる。すると露木ちゃんも張り合うように、

「私ですよね?」

 と囁いてきた。


「モテモテね」

他人事(ひとごと)みたいに……。片方はあなたの妹でしょうが……」

「いやいや、そんな事はね、良いのよ。私は露木ちゃんがこんなに幸せそうにしてるから良いのよ。だけど露木ちゃんを泣かせるような事があったら生徒会として全力で潰すわよ……」

 最後の方は完全にドスの効いた声だった。神乃さん……怖い。

「と言うかそれは職権乱用何じゃないですか……?」

 俺が呆れた声で言うと神乃さんは「ふふふ〜〜」と笑って誤魔化した。


 俺はこれのせいで寝れなくなりそうだ……。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 昼休み。

 俺は結羽達に捕まる前に教室から出た。


 人生の数少ない楽しみである食事の時間だけはあいつらに邪魔されたくなかったのだ。絶対ややこしい事になるし……。


「あら、優也じゃない」

 俺が俯きながら歩いていると前から声が聞こえてきた。

 この声はしばらくぶりの、

「あ、星野さん」

 星野さんだった。


 本当にしばらくぶりだ。多分二年生になってから一度も会ってないんじゃないかな?


「それにしても、珍しいわね」

「ん? なにが?」

「あなたいつも女の子を連れてお昼ご飯を食べていると言うのに、今日は一人なの?」

「人聞きの悪い事言うなよ。俺だって一人になりたいこともある」

 いつもでは無い。

 と言うか、いつもあいつらが誘ってくるから一緒に食べてるだけで、自分から誘ったことはそんなに無い。


「それはそうとあなた、二股してるの?」

「ブフゥッ!」

 俺は星野さんの言葉を聞いて飲んでいたお茶を吹き出した。

「俺はそんなクズ野郎じゃない!」

「なら今朝、あなたの腕に抱きついてた二人の女の子は何かしら?」

 その言葉を聞いて俺は冷や汗が出始めた。


 あれを見られてたのか。


 素直に二人が好意を持っているからって言うのはダメだろう。ならなんて言えばいいのか?


「まぁ、あの子の表情からしてあなたに告白したけどあなたは保留にした感じかしらね?」

 か、完全に言い当てられた。

 ここまで完全に言い当てられるとは思ってなかった。


「ハーレムね。良かったじゃない?」

「そりゃ昔は本を呼んだりしてハーレムに憧れていたこともあったよ。だけど実際に経験してみて、これは精神的にクる物だと分かった」

 ハーレムなんて全然良くない。だって修羅場だからな。


 日本でハーレム婚は出来ないからハーレムは修羅場ってことになる。はぁ……本当にどうしてこうなった……。


「じゃああなたをもっと困らせましょうか?」

 そう言うと星野さんは珍しく作ってきた弁当の中からおかずを一つ箸でつまんで俺の口の中に入れてきた。


「ふふふ。どうかしら?」

「ん? 美味いけど」

 正直、急に食べさせられてびっくりした。


「これ、私が作ってきたのよ」

「へぇ〜美味いじゃん」

「ふふっ。私と付き合ったら毎日作ってあげるわよ?」

 へ? 今こいつなんつった?


 思考が停止してしまった。


「ど、どういう」

 俺がそう聞くとニヤリと笑いながら、

「私、あなたの事が好きなのよ。出来ればあなたと添い遂げたいと思っているわ」

 と言った。


「あ、あ」

 俺は声が出なくなってしまった。


 ある人は言った。『人生にモテ期は三度ある』と


「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 俺は脱兎のごとく逃げ出した。

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