表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/112

2-1,5 第75話 歓迎

side優也


 ついに食卓に料理達が並んだ。


 様々な料理があって豪勢だ。思わず俺は気圧されてしまう。

「凄いですね」

 俺が無意識に呟くと美樹さんが

「優也君が居るから結羽も張り切っちゃったのかもね〜」

 ふふふと笑いながらそう言うと結羽は

「も、もう! お母さん!」

 と顔を真っ赤にして美樹さんに抗議し始めた。


 容姿が幼いからちょっと可愛らしいって思ってしまったと言うのは胸の内に秘めておく事にする。


「そう言えば、今日は冬馬君は居ないのか?」

 と政博さんがご飯を自分の皿によそいながら聞いた。


 確かに。いつも食べに来た時は冬馬も居るのに今日は居なかった。どう言う事だ?


「あー。冬馬君ならお姉さんに連れられて外食しに行ったみたいよ」

 俺と政博さんの疑問について美樹さんが答えてくれた。


 なるほどね。だから居なかったのか。


「さあ、食べましょう?」

 美樹さんのその声で俺達は個人個人で小さく「頂きます」と言って食べ始める。


 やはり美味い。

 この料理達は美樹さんと結羽の二人で作った物だろう。前々から思ってたが、結羽と美樹さんの料理の味って似ているんだ。繊細な味だ。まぁ、多分美樹さんが結羽に教えたんだろうから似るのは当たり前か。

 俺も前、爺の料理を食べた事のある人(父さん)に料理を食べさせてみたら、癪なことに爺の料理に似ていると言われた。本当に癪だがな。


「そう言えば、さっき二人で何か話してた様だけど何話してたの?」

 結羽がそう聞いてきた。

「いや、ちょっと優也君のお父さんの話をしていただけだ」

「そうだったんですか。私もちょっと気になりますね」

 いや、意外と俺の父さんは他人には言い難いような奇行をしているからあまり言いたくないんだけど?

 完全にギャグ漫画とかに出てきそうな設定の人なんだけど?


「そう言えば、昔から瞬介さんの話を良くしてましたよね」

 いや、やめて!? この話を広めんのやめて!?

「親子揃ってボールで人を助けるって言うのは遺伝を感じるよな〜」

 俺はその言葉を聞いた瞬間、何も口に含んでいないのに吹き出した。

 そして向かいを見てみると結羽も何も口に含んでいないのに吹き出していた。いや、なんでお前まで吹き出すんだよ。


「その話で思い出したんだけど、結羽も昔ムグムグ」

 美樹さんが何かを言おうとした所で結羽が美樹さんの口を押さえて言葉を遮った。何を言おうとしたんだろうか?

 話の文脈からしてボールの件だろうが、最後に言った言葉が気になるな。

「結羽も昔」と言う言葉。"も"と言う同じと言う意味が含まれている言葉がある。と言う事はまさか。


「もしかして結羽もボール蹴って人を助けたことあんのか?」

 そう言うと美樹さんはあちゃーと言う感じに「そうなったか……」と呟いた。

「何でそういう考えになるんですか!?」

「えぇっ! 違うのか?」

「そんなこと出来ませんよ!」

 間違えてしまったようだ。一体何が正解なんだよ。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 そんなこんなで料理を美味しく頂いた後、政博さんに家を案内されていた。

「ここが優也君の部屋だ。使ってなかったから自由に使っていいぞ」

 そう言われて俺は扉を開けてみる。


 すると中にはベッドと机が置いてあった。

 おいなんで既にあるんだよ。

「実は最初から君を誘うつもりで君の家に行ったんだ。君の父さんに頼まれたからな」

 そうだったな。父さんが死ぬ前に頼んでたんだな。


「だから俺も俺が死んだら娘を頼むって言ってやった。あの時は冗談のつもりだったんだけど、本当に死んじまうなんてな」

 政博さんはケラケラと笑う。

 だが、政博さんも辛いはずだ。だって親友を失ったんだから。

 自分の感情を押し殺して、子供に弱い所を見せたくないんだ。


「そんじゃ、今日はゆっくりお休み。疲れたろ?」

 俺の体の気遣いも見せてくれる。良い父さんじゃないか。

「はい。今日はそうさせてもらいます。何だか色々あって疲れちゃいました」

 俺はいつまでも落ち込んでいるのは辞めにした。政博さんも辛いけど我慢しているんだから、俺だって我慢しなきゃいけないと思ったからだ。

 だから俺は笑った。政博さんに辛気臭い顔を見せまいと笑った。


「これからよろしくな優也君」

 握手を求めてくる政博さん。俺はその手を両手で包み込む様にして握り、

「こちらこそよろしくお願いします」

 と言った。


 これから何が起こるのかも分からない。だが、俺は父さんと七海の分まで精一杯生きることにした。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 次の日、俺は早めに起きた。なぜ早めに起きたかと言うと、今日はバイトがあるからだ。


「今日はいつもより頑張んないとな」

 如月にも迷惑かけちまったからな。

 北村さんによると、俺が落ち込んでバイトに集中出来てない間、何も聞かずに俺のフォローをずっとやってくれていたらしい。


 あいつには借りを返すつもりでいかないとな。


 そう思って俺は皆よりも少しだけ早く起きてバイト先のコンビニに向かう。


 そして制服に着替えてレジに向かうと、予想外の光景が広がっていた。

「あ、おはよう……ござ……います」

 向こうも驚いている様だった。


「なぜここに? いや、制服を来ているからバイトだってのは分かる。バイト、ここにしたのか露木ちゃん」

 そう。神乃 露木がレジに立っていたのだ。

「はい。先輩もここでバイトしていたんですね」

 先輩……。良い響きだ。今まで変態とか強〇魔とかしか呼ばれてなかったからな。


「よーし。何かわからない事があったら遠慮無く俺に聞くといい」

「まさかあっちの事も……とか言いませんよね?」

「言いませんよ! 露木ちゃん。俺は強〇魔じゃないからね!?」

「じ、女子の前で強〇とか言うのはどうなんですかね?」

 あなたが言い始めたことじゃないですか。


 そして携帯をマナーモードにしてポケットにしまおうとすると、LINEが来ているのがわかった。

 まぁ、後で確認するか……。そう思ってポケットに仕舞ってバイトモードになった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

side結羽


「うゅ〜」

 私は目を擦りながら体を起こした。


 まだ少し眠いような気がするけど、二度寝すると頭痛とかする体質だから我慢して起きる事にする。


 いつも学校がある日に起きる時間よりも少し早い位だった。休みの日はもっとゆっくり寝ていたいんだけどね。


 そして携帯を確認するとメールが届いている事に気がついた。

 そのLINEを開いて内容を確認してみると、こんな文面が書いてあった。


『お久しぶり。結羽ちゃん。元気にしてる?

 私はね、超絶元気!

 それで、本題に移るんだけど、明後日、明

 明後日って予定空いてる?

 ちょうど私も休みが取れたから久しぶりに

 皆で遊びたいなって思ったんだけど、どう

 かな?

 もし空いてるなら連絡ちょうだい。

 あ、そうだ。新しく友達になった人とか居

 たら一緒に連れてきて紹介して欲しいな〜

 なんてね。

 じゃあ返事待ってるからね〜』


 長い!!


 だけど遊びのお誘いかぁ……。


 そして名前の欄を見てみるとそこにはホワイトウェーブって書いてあった。

 と言う事は、白波さんからのお誘いかぁ。


 久しぶりだな。優也、行けるかな?


 そう言えば、優也は「有給消化の為に明日から三日間休みを取った」って言ってたような気がする。なら大丈夫だね。


 皆で遊ぶのは久しぶりだなぁ。楽しみ♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ