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2-1 第60話 尾行

side優也


 体育祭から数週間後、期末テストが行われた。


 いつも通りに点数を取っていつも通りの順位かと思ったら。


 国語57点、数学85点、社会62点、理科60点、英語50点と言う散々な結果だった。


 多分精神面が色々あって俺は気持ちが落ち込んでいたのだろう。


「ちっ」

 俺は舌打ちをしてテスト用紙をクシャッと握りしめた。


 久々だ。


 順位は真ん中くらい。屈辱的である。


「優也!」

 結羽が駆け寄ってきた。


「今回は良かったよ」

 とテストを見せてきた。


 数学以外は俺は数点とはいえ上回っていた。


「そうか。良かったな」

 俺はそう端的に言った。


 こんなんじゃ無いだろ。俺は俺の理想は


 医研に入って七海の治療法を探して……


 そして俺はテストを破りゴミ箱に捨てた。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

side結羽


 やっぱり元気がない。


 優也は何も言ってくれないし先生も勿論何も教えてくれない。


 どうしたんだろう。


「何があったか知りたい」

「そうだよね」

「うわぁっ!」

 真横から急に声がした。


 そこには神乃さんと女の子が居た。


「露木ちゃんも気になるよね」


「し、知りません。あんな強○魔なんて」

 優也。この子に何したの? 優也はそんな人ではないと信じたいんだけど!?


「露木ちゃん。なんだかんだ言って心配してたもんね」

 神乃さんがそう言うと露木ちゃんと呼ばれている女の子の肩がビクゥっと跳ねた。


「お姉ちゃん!」


「絆成君とは目を見て話せるもんね」


「ち、違うんですよ! あれは……その……そうです! 人として見てないから話せるんですよ!」

 いや本当に優也何したの!?


「それはさておき」


「置かないでください!」


「とりあえず尾行しよう!」

 はぁ……白波さん第二号現るだよぉ。


「全くもう……お姉ちゃんは全くもう……」

 と文句を言いながらも着いてくる露木ちゃんは可愛いなと思う今日この頃なのです。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 とりあえず優也に着いてきてしばらく経った。


 何故か優也は直線で帰らずに遠回りして歩いている。


 すると横道から飛び出してきた女の子に抱きつかれて押し倒された。

 押し倒された!?


「あの子とどういう関係!?」


「きっとあーんな関係よ」

 私たち二人で小声で話していると隣で「あ、あんな……」と言いながら顔を真っ赤に染めている露木ちゃんが居た。


 すると遠くでよく聞こえないが言い争っているようで、優也が女の子を引き離そうとしている。

「なんなんだこの馬鹿力は!?」

「お兄ちゃんへの愛ゆえにです!」

「なんだその謎の設定!? 聞いた事ねぇぞ!?」

 なんか遠すぎてよく聞こえないけど、優也が女の子に対してツッコミを入れているのは何となくわかる。


 そして諦めたのか女の子に抱きつかれながら歩きにくそうに優也は歩き出した。


「どういう関係なんだろう」


「これは事件の臭いがします。やっぱりああいう人だったんですね。人目見て私は気がついてました。これはやる人だと」

 なんでそう思ったの?

 優也は別に遊んでるようには見えないけど。態度は素っ気ないし、ノってくれるのはつっこむ時だけだし……


「これは探る必要があるわね」


 そして暫く歩くと急にピタリと足を止めてしまった。


 何をやってるんだろう?と思ってると急に女の子をお姫様抱っこで抱えて走り出した。

「は、走り出した!?」


「もしもし? 警察ですか? 近くに性犯罪者が……」

「そんなことやってる場合じゃないよ」

 と神乃さんも露木ちゃんの首根っこを掴んで走り出した。


「待ってー!」

 私も走り出す。


 そして至る所をジグザグに走り抜けて行って、いつの間にか優也に撒かれていた。


「撒かれちゃったな〜」


「きっと今頃お楽しみなんですよ」

 なんでこの子、こんなに優也に対して毒舌なの!?


「多分照れ隠しね」

「私の心の声に反応した!?」

「勝手に決めつけないで下さい!」


 すると後ろから急に肩を叩かれた。


 そして私が後ろを見ると誰かの人差し指が頬に当たった。

 なんかこう言うの見たことがある。


 そして顔を見ると

「お前ら、何やってんだ?」

 優也だった。


 いつの間に後に!?


「と言うかずっと着いてきてただろ……はぁ……」

 とため息をつく優也。


 未だに腕に女の子が抱きついてる。


「なんですか。お兄ちゃんは遊び人だったのですか? ボクとの関係はその程度のものだったんですか」


「こいつの言う事は気にしないでやってくれ。こいつはただの変態なんだ」

 今優也お兄ちゃんって呼ばれてなかった? 無視できないよその部分は


 お兄ちゃんって何?


「年下にお兄ちゃんって呼ばせて興奮するなんてとんだ変態さんですね。それは私も予想外でした。そして手を出してるなんて、予想内でしたがそんな人であって欲しくなかったです」

「いや、俺そこまでクズじゃないからね!?」

 そ、そうだよね? び、ビックリした〜良かったよ。そんな人じゃなくて。


「と言うか俺のバイト仲間と同じ反応すんな」

 如月さんも同じ反応をしたんだ。


「こいつは萌未。俺の従妹だ。こいつが勝手にお兄ちゃんと呼んできてその癖俺への好意をストレートに伝えてくる変態ボクっ娘だ」


「だからボクはお兄ちゃん以外に女性として、性的対象者として見られないようにですねぇ」


「おい!」


「それって絆成君にならそういう風に見られてもいいってこと?」


「そうです! さあお兄ちゃん! 早速ボクの家に帰って熱い夜をアウッ!」

 あ、萌未ちゃんにチョップした。


「なーに馬鹿な事を言ってんだ」


 優也も大変だなぁ。


「じゃあちょうどお兄ちゃんの家の前なので上がって行っていいですか?」


「良いがお前と二人きりだと色々な意味で身の危険を感じるからお前らも来るか?」


「ねぇっ! それってどういう事!?」

 優也の腕を掴んで揺らす萌未ちゃん


「お前、二人きりだと襲ってくるだろ」


「ぎくっ……そ、そんな事しないよ」


「現にあったから信用出来ねぇ……何年か前に泊まった時お前、俺の部屋に侵入してきて下着姿で俺に覆い」

「わー! わー! わー! それ以上言ったら私が変態だと勘違いされてしまいます!」

 もう手遅れというか勘違いじゃなくて確実にそうなんだよね。

 隠す気無いでしょ。


「とりあえず俺を守って欲しい」


「私達が襲うとは考えないの?」

『おそ!?』

 私と露木ちゃんの驚いた声が被った。


 そして顔が赤くなっていくのを感じる。露木ちゃんもほんのりと顔が赤くなっている。


「少なくとも俺を嫌ってる露木ちゃんはそんな事しないだろ」


「あ、当たり前です」

 慌てて声を出したせいか一瞬声が裏返ったような気がした。


「それなら頼むわ」


「まぁ、変態強○魔の言うことを聞くのは癪に触りますが、この変態に皆さんが襲われないかが心配なので私もついて行きます」


 そして私達は久しぶりに優也の家に上がり込むことになった。

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