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2-1 第55話 体育祭の時期らしいです

 消失・・・それは無くなること。持っていたもの、当たり前だったものが無くなると人は悲しむ。


 それは大事にしていたぬいぐるみであったり、物……もしくは……身近な大切な人であったり。


 当たり前だった物など直ぐに崩れ去る。


 そう。俺、絆成 優也も過去に当たり前だったものを失いかけたことがある。

 妹の七海だ。


 事故なんてのはいつ起きてもおかしくない。大切なものなどいつ崩れてもおかしくない。

 友情や愛情などはちょっとした出来事だけで無と()すのだ。


 それは誰の身にも起きうる出来事。


 そしてそれは誰もが乗り越えなくてはならない壁。


 果たして俺、絆成 優也は乗り越えれたと言えるのだろうか?







































side優也


 目が覚めるとそこには七海が居た。


「なんで七海がここに?」


「お兄ちゃん。何言ってるの? ずっと一緒に居たじゃん」


「七海……」


 そうか……今までのは全て夢だったんだ。


 そう思って俺は七海に近づく。


 すると急に猛スピードでトラックがやってきた。


 そしてドガッと音がした後、嫌な光景が広がった。


「七海……七海……七海ぃぃっ!」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「七海ぃぃっ!」

 と俺は起き上がった。


「ここは俺の部屋か……」

 そして部屋を見渡すが七海は当然どこにもいない。


「夢オチか……」

 久しぶりに見たこの夢。

 中学の頃はよく見ていた夢だ。


「はは、ひっでぇ顔」

 洗面台の鏡に映った俺の顔を見て苦笑をこぼす。


 そしてパチンと両手で頬を叩いて気を引き締める。

「よし、」

 っと俺は意気込んで支度を始める。


 父さんはいつも通り俺より早く仕事に出てしまっている。

 こんなことはざらだ。


 最近は労働基準法がなんだかんだと言って残業せずに帰ってくることも増えたらしい。父さんがさり気なくそんなことを言っていた。逆に残んないでくれと言われるのは凄いなと感心してしまう。


 そして食パンを用意してその上にハンバーガーに挟まってるようなチーズを乗せて小さくカットしたベーコンを何個か乗せ、その上からケチャップをかける。

 そしてその出来上がった物をオーブンにていい具合に焼く。

 これがなかなか美味いのだ。


 そしてその出来上がったパンを食べながらコーヒーを啜る。これがなかなか乙な物だ。


 俺はこの朝の時間が好きだ。


 一人きりのリビングにて一人きりのモーニングコーヒータイム。

 そしてテレビを付けて朝のニュースを見る。


「はぁ……いい」

 今日もこの家から出て登校すると結羽が合流して色々な人に絡まれて……

 その為の鋭気を養っているのだ。


「ふぅ……そろそろ行くか」


 そしていつもの学ランを着て玄関のドアを開ける。


 開けると眩い光が俺を襲う。


 さっきまでカーテンも開けない電気も付けない薄暗い部屋にいた直後のこの明るさは目に悪い。


 そしていつもの様に登下校路を歩いていると「優也ー!」と結羽が横道から来た。


「おはよう」

 これがいつもの日常だ。


 ちなみに待ち合わせている訳でもない。


「おはよう」

 と俺も挨拶を返しておく。


 そして色々な話をしながら学校に向かう。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

学校


「じゃあそろそろ体育祭の時期だから今日のLHR(ロングホームルーム)種目決めをしたいと思います」

 今教卓の前で話しているのは俺達の教師、今倉先生。丁寧語とタメ語がごっちゃになっていて定まっていない。

 結構生徒に対しても丁寧語を使う先生だ。


 今年こそ走り幅跳びを

 そう思って立候補する。


 枠は1つ

 立候補者は俺と本田


 そしてじゃんけんすることになったんだが、指をポキポキと鳴らしていかにも戦闘モードの本田が目の前に来た。

「この前、雪辱、晴らす」

 ぶつ切りで言わないで! 接続語をちゃんと言って?


 そしてジャンケンをした。


 結果は

俺→パー

本田→チョキ


「きょ、去年と同じ……」

 そう言って肩をガクッと落として落胆する。


 去年もパーチョキで負けたのだ。


 そしてやはり俺の運は最低クラスで結局去年と同じ障害物競争になってしまった。

 まぁ、今年は神乃さんが生徒会長だから問題は無いだろう。


 そんな感じで今日が過ぎていくと……そう思ってた。思いたかった。……だが現実は非情なり、だ。


「絆成! 絆成は居るか!?」

 と焦った様子の先生が急に入ってきた。


「あ、はい。俺が絆成です」


「そうか……ちょっと来てくれないか?」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 俺は先生の後を着いて行って別室に来た。


 そして俺を椅子に座るように指示し、先生は俺とテーブルを挟んだ向かいの椅子に座って頭を抱えながら()き出した。


 そして何やら困ったような表情をしていて暗かった。


 表情からしていい話ではないのは確かだろう。そして言うのを躊躇っているのが何よりの証拠だ。


 そして待っていると先生は顔を上げて俺の目を見てきた。


 そしてやはり言うのを躊躇っているようだ。


 ここまで言うのを躊躇う先生は見たことが無かった為不安になってしまった。


「その様子からしていい報告じゃなさそうですね」

 そう言うと覚悟が決まったのか、先生は「そうだ」と言った。


「実は君の父さんが」

 そこで嫌な予感が頭を過ぎった。

 考えたくなかった。だが考えざるを得なかった。


「仕事中に事故に会ってしまったようだ。大きな機械に挟まれて」

 その瞬間、俺の思考が停止した。


「あ、あ、」

 俺は声にならない声を出すしか出来なかった。


「でも安心してくれまだ亡くなっては無いようだ」

 と励ましのつもりだろうが俺の耳には一切届かない。


 まただ……また……大事な人を失うのか。


 そんなことを考えながら俺は机に倒れて意識を失った。

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