1-3 第42話 みんなに嫌われたいが好かれてる童明寺
side優也
今日はホワイトデー
まだ給料日前のこの時期。
正直この量を買うのは厳しかった。
お陰で給料日まで10日以上残したこの状況で、俺の貯金にまで手が延びてしまうとは……
実は中学の頃はたいしてお金を使ってなかったから、お小遣いを貰ってたけど使ってなかったからたんまり貯金されてるんだよ。
それなのに結構使ってしまった。
「ん? 優也。なんだ? その大きな袋は」
と、隣に来た童明寺が聞いてきた。
そう言う童明寺は学生鞄以外はなにも持っておらず、手ぶらだったのだ。
「今日はホワイトデーだぞ?」
そう言うと
「あー。そうだっけ? まぁ、どうでも良いけど」
こいつ、返さない気だな。
普段からこう言うやつだが、これはどうかと思うんだが……
「俺にチョコレートなど渡してきたやつなど居ないんだよ」
「……」
俺は童明寺の肩を掴む。
「じゃあお前あれはなんだ!? わざわざ宅急便で俺宛に送ってきたあの箱の中身は何だったんだぁぁっ?」
と、俺は童明寺の肩を揺らしながら言った。
「あの後、俺は結羽と悠真と共に哀れみの目を向けられながら一緒に食べたんだんだからな!」
そう言うと、童明寺がドンマイ。と、肩を叩いてきた。
「いや、お前のせいだから」
と、手を離す。
これもみんなに嫌われる作戦か……
こんなんでもモテてるから不思議でならない。
ほんと、何でだろうね。
「あ、そろそろいかなくちゃならないな」
腑に落ちないがまぁ、良いだろう。
そして童明寺を手放して教室に向かった。
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俺は昼休み放課後を利用して色々な人にスーパーで買ったクッキーを渡し廻っていた。
さすがに送り主が分からないと無理だが、
「はい。白井さん」
と、俺は他の人にやったように白井さんにもクッキーを渡す。
すると白井さんは両手で丁寧に受け取って「ありがとう」と言う。
良い子なんだけどな。
何で童明寺は突き放した態度を取るんだろうか?
後二個
あれ?
後は結羽に渡して終わりのはずなんだが……あ! 数ミスった。
どうしようか後の一個
すると童明寺が視界に入る。
まぁ、適当に余ったのは童明寺に渡しとくか。
「ホラよ童明寺」
と、クッキーを渡す。
「なんだ? これは」
「やるよ。余ったし」
そしてその場から立ち去る。
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sideつみき
私は絆成君からホワイトデーのクッキーをもらった後、直ぐに帰ろうと準備していた。
やっぱりと言うかなんと言うか童明寺君は今年もお返し無し。
なれたからもう良いけど
すると絆成君が童明寺君にクッキーを渡しているのが見えた。
そしてそのクッキーを持って立ち上がったと思ったらしばらくの間、固まってしまった。
そして硬直が溶けた後、私のもとに近づいてきた。
「つみき」
と、呼んでくる。
「これ、貰いもんなんだが要るか?」
と、クッキーを手渡してくる。
童明寺君が誰かに物をあげようとするのを始めてみたから驚いている。
でもそれは絆成君から童明寺君にあげたものであって…
「じゃあ一緒に食べない?」
「まぁ、お前がどうしてもって言うなら」
「うん! どうしても!」
そして一緒に帰った。
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side優也
「優也!」
と、声をかけてくる結羽
俺は結羽の方を見る。
「あれ、童明寺君がつみきちゃんにあげないことを予期して一個多く買ったでしょ」
と、確信を突いた質問を繰り出してきた。
よく心を読まれるから心まで嘘をついたのに…
でもなんか悔しかったため、俺はこう言った。
「さあな」
「さあなって……でも優しいんだね」
そう言って途中まで一緒に帰る。
「んじゃ、俺バイトだからこのまま行くからな」
と言って別れようとした時にあることを思い出した。
「っと、忘れるところだった。結羽。はい」
と、クッキーを渡す。
「ありがとう優也」
そうして俺と結羽は別れた。
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「あれれ~? 今日は随分お疲れモードだねぇ~どうしたの?」
「そうだ。俺は疲れてるんだ。仕事に集中させてくれ……」
俺がぐったりしていると如月が声をかけてきた。
「ねぇゆーや君。もしかして好きな人に告ったの? よしよし。だいじょーぶだからね。ゆーや君には私が」
「おい、なぜその流れで話を進めようとする。と言うか反応が俺がフラれる前提な事について話し合おうじゃないか」
これが俺の職場だ。
退屈することもないが、かなり疲れると言うのが本音だ。
如月は嬉々として俺をからかってくる。
正直やめてほしい。
すると一人の女性がコンビニに入ってきた。
そして女性はこっちを見るなり飛んできた。
「やぁやぁ、久しぶりだね。絆成君? だっけ?」
と、気さくに話しかけてくる人物は
「ああ、白波さんにいつも振り回されてる神野さんじゃないですか」
神乃 夕華。生徒会副会長。いつも会長である白波さんに振り回されており、いつも白波さんを強制連行しているのを見かける。
「あれ? そっちの子は?」
と、神乃さんの後ろに隠れてる女の子を見る。
すると慌てて死角に逃げ込んで時折チラチラとこちらを見てきている。
「ああ、あの子は私の妹。露木って言うんだけどね。極度の人見知りのせいで家族以外には口を開いたりしない子なのよ。気にしないであげて?」
露木ちゃんか……
「分かりました」
「ありがとねー」
そう言って神乃さん達は手短に買い物を済ませて帰っていった。
そして俺も上がる時間となり、夜遅いのでいつものごとく、如月を家まで送ってやった。




