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2-2 第110話 結羽の暴走

side優也


「ふんふんふーん」


 今は美樹さんが買ってきた食材を使って結羽が鼻歌を歌いながら料理をしている。

 いつもクリスマスと言えば七面鳥を買ってパーティをしているらしいのだが、今年は結羽が自分で作りたいと言い出した事によって結羽が作ることになった。

 そしてその食材を買ってきた美樹さんはと言うと、


「これが親離れってやつね……グスン」


 俺の隣でしくしくと泣いていた。

 実は美樹さんも張り切って腕を振るうつもりだったらしいが、結羽にキッチンから追い出されたのだ。なんでも、「私が作るの!」と言って聞かなかったらしい。だが、これは親離れと言うよりもわがままだと思うんだけど……?

 だが、今はそっとして置くのが優しさだろう。大丈夫ですよ、今日が終われば彼女はきっとあなたの元へ帰ってきますよ。


 しかし気になるのは結羽の張り切り様だ。張り切りすぎて変な失敗を起こさなければいいが……。

 まぁ、結羽の事なら心配無いだろう。結羽の料理の腕はよく知っている。


「姉ちゃん、すげーな。キッチンの上が料理で埋まって来てる」


 うん、あれはこの人数のパーティで食べる量じゃねぇ。

 キッチンの上じゃ足りなくて、簡易テーブルを取り出してきてその上にも並べ始めた。

 作り始めて15分だが、かなりの手際で既にもう10品以上ある。美樹さんの買ってきた食材だけであれだけのバリエーションを出せるなんて流石結羽だと言うしかない。

 俺なんかじゃあんなに量は作ることは出来ないだろう。

 しかもまだまだ食材が残っている。結羽の奴、まだまだ作るつもりだ。流石にそろそろ止めないと食べ切れない。


「ゆ、結羽。ちょっと待て」

「止めないで優也。私は今、幸せなの」


 そっか。幸せなのか、なら仕方が……って流されるところだった。


「待て結羽。それ以上作ったら食べ切れなくなる!」

「え? 優也、まさかとは思うけど、聞くよ?」

「ん? おう」

「まさか、まさかだよ? まさか、私のご飯、食べれないわけ……ナイヨネ?」

「狂気禁止!」


 俺は結羽にチョップした。

 今の台詞、かなりの狂気を感じた。


 俺のためだとはわかっている。だが、あんまりにも暴走し始めたら止めなければいけない。その役目は俺の役目だと思う。だからここで止めなくては!


「ゆ〜やぁ、酷いよぉ」

「言ったよね? 狂気禁止って」

「狂気じゃないもん! 優也が好きって気持ちが溢れてるだけだもん! お母さんの手料理と言えども私以外の女の料理を食べてる優也を見るとムカムカするだけだもん! 優也は私以外の料理を食べちゃダメなんだよ! あ、私以外を食べてもダメだよ……って恥ずかしいこと言っちゃった〜」


 ダメだこりゃ、言っても聞く気がしない。

 これを狂気と言わずしてなんなんだよ。しかも美樹さんにまで嫉妬してたのかよ、君の母親だぞ? 旦那が居るんだぞ?


「大丈夫だ、安心しろ。俺は結羽一筋だから、いい子だから料理はここまでにしようね〜」

「え、なんで?」

「なんでもだ!」


 こうして何とか結羽をキッチンから引き剥がすことに成功した。あと少しで俺の腹が裂ける所だった。


「「誕生日おめでとう!」」

「おめでとう優也!!」


 三人が俺の誕生日を祝ってくれている。なんか約一名だけテンションがまるで違うんだけど。

 と言うか美樹さんと冬馬が居るのにまた抱きついて来ている。すみません美樹さん、娘さんがこんなになってしまって。


「仲が良いわねぇ」


 仲が良いで済ませていい事なのかな? ただ仲が良いんじゃなくて恋人だから甘えてきてるんだと思う。


「はい、優也プレゼント!」


 突然プレゼントを渡してきた結羽。

 受け取って開けてみていいかの了承を得てから俺は開けてみた。すると中に入っていたのは、


「……ネックレス?」

「うん! 貯金を貯めて買ったんだ〜」


 そうか、俺にアクセサリーなんて似合うのか? 俺なんかよりもチャラ男とかがしているイメージなんだけど。

 だが、結羽が買ってくれたものだから大切にするか。

 にしてもこのプレゼントの意味が気になる。ちょっと聞いてみるか。


「ちなみにネックレスって永遠に繋がっていたいって意味があるらしいんだが、知ってたか?」

「勿論、だって優也は卒業したらこの街を出て行っちゃうんでしょ? だからその間も繋がっていたいなって」


 可愛すぎる。やっぱり俺の彼女は世界一の可愛さだ。

 少しだけここに居たいって気持ちが出てくるが、俺は必ず都会で医者になって帰ってくるって約束したからな。


「ああ、俺もだ」

「俺らも居るのになぁ」

「仲がいいわねぇ」


 冬馬に呆れられてしまった。美樹さんは平常運転のようです。


「ありがとうな。大切にする」

「うん!」


 結羽の笑顔が花開いた。それを見るだけで俺は今よりも何倍何十倍と頑張れそうだ。

 俺は改めて決意した。結羽の期待に答える為にも絶対に医者になって戻ってくる。


 こうして俺らは結羽の作った大量の料理を食べて俺の誕生日兼クリスマスは終わった。


 その日の夜、突然俺の部屋がノックされた。


「ん? どうした結羽」

「ちょっと寂しくなって……。あと一年しか一緒にいれないと思うと」


 そうだ。一年後、俺はこの街には居ないだろう。多分何年かしたら帰って来れるだろうが、そうは上手くはいかないかもしれない。そしたらもっと長くなるかもしれない。


「結羽、おいで」

「うん」


 そして俺らは一緒のベッドで寝た。

 一緒に寝ると驚く程安心して寝る事が出来た。俺らは心の奥底で繋がっている、そう思う事が出来る。

 おやすみ、結羽。

 えー、急で申し訳ありませんが、急に飛ぶことになるのですが次回で最終回とさせていただきます。

 別に三年生のネタが浮かばなかった訳では……すみません。

 という訳で次回最終回でその次にエピローグで終わりとさせていただきます。

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