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2-2 第109話 恋は盲目

side優也


 今日は二学期終業式。学校が終わり、冬休みに入る。

 そして今日は12月25日。俺の誕生日だ。今までは誕生日になると憂鬱に思っていた。あの馬鹿が変な事をするからだ。プレゼント然り行動然りだ。

 しかし今日はそんなに憂鬱に感じていない。今までは俺の家だった為、すぐに来られてしまっていたが、今俺は柴野家に住んでいる。誕生日パーティをするにしても柴野家で行う事になるだろう。

 俺が柴野家に住んでいる事はあつしと白井さんしか知らない。これは完璧だろう。俺は今年こそ静かな一日を……。


「ゆ、優也。優也〜」


 終業式中、俺は寝てしまっていた。

 男女で並んで座っているので必然的に教室と同じく結羽と隣になっているのだが、その結羽が俺を起こそうと必死になっているみたいだ。


「先生が見てるよ」


 そんな声は俺には届かない。

 俺は昨日、夜中中ずっと勉強していた為、ものすごく眠いのだ。

 しかし最近の勉強のお陰で期末テストはなかなかの出来だった。

 その疲れが出てしまったのかもしれない。


「ど、どうしよう……」


 そこで俺の元へ今倉先生がやって来た。

 俺を揺すり起こそうとしてくる。しかし起きない。


「優也。起きろ〜」


 後であつしから聞いた話によると結羽はずっと起こそうとしてくれていたらしい。それは悪い事をしたな。


《hr》


「もう……そんなになる前に休んでよぉー」


 家に帰り、結羽に眠っていた事を謝ると結羽は俺の体の事を心配してくれていたようでお説教混じりに言ってきた。


「いや、そういう訳にもいかな――」

「私にとっては優也の体が大切なの!」


 結羽が俺に抱き着いてくる。

 その抱擁がなんだか暖かくて安心する。それだけで「あぁ〜俺はやっぱり結羽の事が好きなんだな」と実感する。そして好きな人に心配して貰えるのは嬉しい。これからは少し休憩を摂りつつ頑張ろうと決意する。


「ありがとな結羽。俺は目が覚めたよ」

「ま、まぁ、私は優也の彼女なんだから心配するのは当たり前なんだから!」


 その彼女と言う言葉を恥ずかしがっている結羽が可愛すぎて思わず強く抱きしめてしまった。

 俺の腕の中に居る結羽が「ゆうやぁ〜」と蕩けきった声を出して更に俺の胸に顔を埋めてきた。


 その時、


「あ、」


 玄関から声が聞こえてきた。

 ゆっくりとそちらを見るとそこには冬馬が居た。随分と久しぶりだな。

 それにしてもタイミングが悪い。従姉のこんな蕩けきった表情を見せてしまった。


「えっと……お兄様?」

「なに? 君の家庭ってそんなに厳格なお家なの?」

「いやいや、なに久々に来てみたら姉ちゃんと兄ちゃんがイチャイチャしてるんだよ! あれか? 俺はもうおじさんになるのか!?」

「ならねぇよ」


 何言ってんだよいきなり。冬馬がおじさんになるって事は俺と結羽の間に子供が出来るってことだぞ。そんなのはまだ早いって、結婚すらしてないのに。

 と言うか今までどうしてたんだ? なんか家には居たっぽいけど……監禁されてたの?


「あれ? とうま?」


 遅い! 今気がついたのか? だから冬馬が居るってのに俺の胸に頬擦りしてきてたのか!?

 物凄く恥ずかしいんだが。だけど、冬馬に気がついた今でも俺から離れようとはせずしっかりと俺に抱きついている。なんとまぁ大胆な。


「ねぇ優也。今日って誕生日だったよね」

「ああ、そうだな」

「えへへ。いっぱいお祝いしてあげるね」

「待って待って! 俺の事を無視しないで!?」


 一回気がついた物の、すぐにデレデレモードに戻ってしまった。何が原因なんだろうか? 最近はデレモードになると長い様な気がする。しかも冬馬位じゃ正気には戻らないと……。

 それにしてもさすがに冬馬が可哀想すぎる。


「なぁ、少し冬馬の方を見てあげたら――」

「はい、優也。あーん」


 今度は近くにあったチョコの袋を持ってきてあーんしてきた。まぁ、俺も嬉しいが冬馬の事も……って言っても無駄か。


「お母さんは優也の誕生日パーティの買い出しに行ってるから二人きりだね」

「なんだか美樹さんにばかり悪いような……二人きりじゃ無いけどな」


 準備を任せっばまなしってのは少し罪悪感が湧いてくる。俺も少し料理の手伝いをしようかな。

 そんな事を考えていると結羽は急にムスッとした表情になった。


「優也。私達は優也をお祝いしたいの。だから私達だけでやらせて」


 そうか。俺も覚えがある。結羽の誕生日は俺らで準備がしたい。なるほど、そういう事か……。

 ってか口に出してないのに心を読んできたな。俺の周囲の人間はやはりエスパーらしい。

 冬馬はもうすっかり空気になっているので一人でテーブルに着いてチョコを静かに食べ始めた。

 ごめんな。俺も君から結羽を奪いたい訳じゃないんだ……。


「良いんだ……。姉ちゃんが幸せならそれで」


 ごめん。本当にごめん! なんだかすごい罪悪感が湧いてきたよ。


「結羽、そろそろ」

「ゆうやぁ。優也はこうしてるの嫌? もしそうなら離れるけど」

「そういう訳じゃ」

「なら良いよね!」


 俺の意思が弱いせいでごめんね。


 俺はこの後ずっと冬馬に謝り続けた。

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