表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/112

2-2 第107話 小さな見栄

side結羽


 結局ファッションコーナーでは何も買わず、次に来たのは喫茶店。優也は喫茶店やカフェなんかが好きだから喜んでくれるはず。

 だけど、そうなると私が誘ったと言うのに優也の方が詳しくて結局はいつもと同じように私がリードされてしまう羽目になる。それを避けるためにリサーチをするのだ。


 それにしても色々美味しそう。特にパフェ、女の子だったら結構すぐに目に止まるんじゃないかな?

 優也は大抵こういう店に来たらコーヒーを注文するんだけど、私は苦いのが苦手で飲めないんだよね。砂糖をいっぱい入れたら飲めるけども。だけど優也と同じものを飲めるようになりたい!


(確か先輩はこういう店に来たら必ずと言っていい程コーヒーを飲んだはずです。この前、私に相談してきた時もそうでした。そこまでは良いです。しかし問題なのは私が苦いコーヒーを飲めないことです。これではお揃いの飲み物を飲むことが出来ません)


 正面の席に座った露木ちゃんを見てみると何やら露木ちゃんも考え込んでいるご様子。何を考えているんだろう。たまに露木ちゃんって小難しいことを言うことがあるから私じゃ想像つかないような事とか考えてるのかな?


(どうすれば先輩を落とせるんだろう。やっぱり趣味を共有とか? となるとやっぱり)


 苦いのは嫌だ。だけど少しでも大人の女になる為にも、避けられない道だよね。

 そう考えて私は苦手なブラックコーヒーを選んだ。すると露木ちゃんも何にするか決まったようでメニューを閉じた。


 私はそれを確認するとテーブル脇にあった呼び出しベルを押す。すると店員さんがすぐにやって来てくれて、私と露木ちゃんは注文を伝えようとして声が被った。


「「コーヒー、ブラックで!」」


 え、露木ちゃんもブラックコーヒー!? もしかして露木ちゃんってコーヒー飲める人!? ま、まさか成長だけじゃなく味覚まで抜かされていたなんて思いもしなかった。って成長が抜かされていると言っても僅差、僅差だから!

 

「え、柴野先輩ってコーヒー飲めるようになったんですか?」


 その瞬間、私の時間は全て停止したかのような衝撃を受けた。そういえば私が苦いコーヒーが飲めないことは優也の周りにいる人達にとっては有名な話だった。

 それはもちろん露木ちゃんも例外ではない。だから、ここでコーヒーを飲むことは見えを張っているとバレてしまう。優也にバレるのは良いけど、他の人にバレると少し恥ずかしい。

 羞恥で顔が熱くなるのがわかった。絶対図星だってバレたよ……。


(え!? なんでこのタイミングで柴野先輩は頬を染めたんですか!? そうか! 私が見つめてるから百合な柴野先輩は恥ずかしくなってしまったと。この調子、この調子で行けば確実に落とせますね)


 何やら露木ちゃんの表情が変だ。まるで勝ち誇ったような表情をしている。何を考えているのか頭を開いて見てみたくなるような顔をしている。

 そういえば露木ちゃんの事って優也と普段良く居るって事しか知らないな。ご飯とかも一緒に食べてることが多いし、その点では妬けちゃうな。でも優也は本当に可愛い後輩としか思っていないらしく、可愛がっているようだ。

 その点、私は彼女と言うアドバンテージがある。この分があるから少し安心。しかも私は優也にすごく大事にされてるなって感じる。

 よく優也は私を抱きしめるんだけど、その時の優也がすごく優しい。そう言う瞬間に私は優也が好きになって良かったなと思うのだ。


「も、もちろん飲めるよ」


 取り敢えず返答を返しておく事にした。

 だけどごめんなさい! 嘘です。実は全く、これっぽっちも飲めません!


(え、柴野先輩がコーヒーを飲めるように!? これは事件です。このままでは私が柴野先輩に勝てる可能性が低くなってしまいます。そしてコーヒーが飲めることで更に仲が深まってしまうでは無いですか)


 急に露木ちゃんがガタガタ震え始めた。もしかして私が嘘を着いたことに気がついて怒ってるのかな? でもこれくらいの見栄、張らせてくれたっていいでしょ!? 人間は皆見栄を張って生きてる物なんだから!


 少し待っているとコーヒーがすぐに運ばれてきた。

 私はこの香りが好き。飲めないけどこの香りは好きなのだ。飲めないけど。

 そして恐る恐る一口。ここは悟られないように注意しなくてはならない。

 その瞬間だった。コーヒーが舌に触れた瞬間、ものすごく強烈な苦味が私を襲った。

 苦い苦い苦すぎる。やっぱり私にとってコーヒーはかなり危険な飲み物。だけど露木ちゃんの手前、絶対に苦しみを外に漏らせない。何とか耐えないと。


(あ、あの柴野先輩が飲んだ!? 本当に飲めるの? でも飲まないと柴野先輩に遅れを取ってしまう。私、やるよ!)


 すると露木ちゃんはマグカップの中のコーヒーを一気飲みしてしまった。

 あの苦いのをあんなに一気飲みできるなんて!? これは本物だ。

 負けた、また負けた。優也は私の方が好きとか言ってるけどいつかは露木ちゃんほ方に言ってしまうんじゃないかな? と心配になる。


 何か露木ちゃんに勝てる点を探さないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ