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2-2 第105話 悶える結羽と百合

side結羽


 あの旅行から帰って来て数日がたった。

 旅行から帰ってきた後、優也はいつもなら漫画を読んでいる時間帯だけど脇目も振らず必死になって勉強をしていた。本人曰く、今までの分を取り返さなければならないかららしい。

 少し構って貰えないのは寂しいけど、私だって優也の事は応援したい。だって……未来の旦那様なんだから。

 適当な時間になると私はコーヒーを淹れて優也の部屋に持って行く。


 扉をノックする。だけど余程集中しているのか返事が帰ってくる方が稀なので私は静かに「失礼します」と言ってコーヒーを持って優也の部屋に入る。

 部屋に入るとそこにはデスクの上で真剣な眼差しで勉強している優也の姿が。

 その姿はとっても凛々しくて、かっこよくてキュンキュンしてしまう。だけどそう言うのは表には出さずに静かに優也の近くにコーヒーを置いて退散することにする。

 そして私がコーヒーを置くと優也はこういうのだ。


「ありがとうな」


 静かな。耳を澄まさなければ聞こえない様な声かもしれない。だけど、私はいつもその声を聞いてキュンキュンしちゃう。優也は私をキュン死させるつもりなのかな?

 私は足早に部屋を出ると扉の前に座り込んでしまう。


「はぁ……やっぱりダメだなぁ」


 優也が悪いよ。あんな、あんなことを言うせいで余計に意識しちゃうし、どんどんと好きって気持ちが溢れてきちゃう。

 もう! 優也のバカバカバカ!


 こうやって私は毎日悶えることになるのだ。

 でも本当なら甘えたいし、頭撫でられたいし、デートにも行きたいし……。でも、私の感情を押し付けるのは良くないよね。


 ☆☆☆☆☆


「はぁ……優也がかっこよ過ぎるよぉ」

「なんですか? 自慢ですか? 嫌味ですか? 私の心を抉りたいんですか?」

「ち、違うんだよ。別にそんなんじゃ」

「柴野先輩は私が先輩の事が好きだって知ってるんですよね? なんですか? 幸せアピールでそんなに私を精神的に殺したいですか!?」


 私は今、とある喫茶店に来ています。それも一人でではありません。学校では休み時間中の優也と居る時間が一番長いであろうと思われる露木ちゃんと共に来ています。

 で、今は優也がかっこよすぎる問題について話し合っていました。別に心を抉るためではありません。別に露木ちゃんが優也にデレデレとあんなにお昼ご飯を食べる時近づいて、更には露木ちゃんは優也に手作り弁当を「あ〜ん♪」していた事に嫉妬(ジェラシー)を感じていたから嫌がらせをしている訳では無いです。それと別に嫉妬(ジェラシー)もしていません。


「で、なんですか? そんな惚気の為に私を呼び出したんですか?」

「いや、本題は別にあるんだよ」

「だったらそっち先に言ってください」


 ……ご最もです。すみません。


「じゃあ単刀直入に言うね。私とデートして!!」

「へ? デートですか? デート……デート!?」

「うん!」


 私が単刀直入に言うと露木ちゃんは顔を上気させて、仰け反りながら驚いた。

 少しオドオドと恥ずかしそうにしながら一旦逸らした目を意を決した用にこちらへ向けると聞き返してきた。


「デートって……あのデートのことですか?」

「どのデートかは分からないけど多分合ってるよ」


 私が露木ちゃんの問に答えた瞬間、更に顔を真っ赤に染めた。まるで百面相だ。


「で、でも女の子同士だし」

「関係ないよ!」


 そう、関係ない。

 実は優也とは遠出してのデートは良くするけどショッピングデートとかはあまりしないのだ。だからその予習をしたいと思ったし、更にあんまり優也の近くに居すぎても集中したいだろうし、迷惑になるかなと思って行動に出たのだ。


「か、関係ない……。で、でも場所を考えましょうよ。ここ、喫茶店です」

「そうだね。確かに気が回らなかったかも」


(し、柴野先輩がかなり積極的だ!? 女の子同士なのにデートに誘ってきたし、何かがおかしい! それとももしかして、男には飽きちゃって次は女の子に乗り換えたとか!? だ、だとしたら私、私!?)


「え、えっと……どうして私をデートに? それなら先輩を誘えば」

「……邪魔だったから」


 私がね。


(じ、邪魔!? つ、つまり柴野先輩は百合に目覚めてしまって先輩の事が邪魔に!? 私で性欲を満たそうとしている!?)


「か、考え直してみては?」

「考えてみたよ。でも、露木ちゃんにしか頼めなかったんだ!」

「私に……しか!?」


 こんなデートの練習なんて事情を知っている露木ちゃんにしか頼めるわけが無い。

 しかも、平日は二人一緒に居る事が多いし、何かと優也の好みを知っているかもしれない。

 ちょっと露木ちゃんには申し訳無いけど手伝ってもらうしかない。


「で、でもなんで私なんですか?」

「えっと……いつも近くにいたから」


 優也のね。


(え!? これって完全に黒だよね!? だって結羽先輩、私の事を見ながら恋する乙女のような表情を浮かべていたんだもん! でもどうしよう。こうなったからには受けるしかないのかな? うん。これは柴野先輩を先輩から引き離せばチャンス……いえ、百合からノーマルに戻してあげないと)


「分かりました! 受けます!」

「え、本当!? ありがとう!」


 こうして私と露木ちゃんはデートをすることになりました。

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