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2・豆腐戦士団、街を目指す

  ▫▫▫ )

 ❒❒❒ ィ

□□□ ス


 村を離れ、街道を滑走(スイ~)する豆腐戦士団(ヽヽヽ)

 そう……俺たちは戦士団を立ち上げた。なんとなく、気分で。

 満場一致で団長に選ばれた俺は、皆を率いて目的地に向かっているところだ。


 目的地はハリケーンウインドっつう、風がビュービューふいてそうな街。

 たくさんの人が集まるその街で、魔術師の情報をさぐるつもりだ。


 おっと――俺はうしろを振り返った。

 穴だらけ組の奴らは……よし、一丁も遅れずついてきているな。

 てか、いつのまにか穴が結構ふさがってんな。

 良かった! 治りますようにって願ったけど、元々治る体質だったんだな。


 よっしゃ、このまま街までかっ飛ばすぜ!



 * * * * * * * * * *



「むっ、誰かいる……」


 街を目指してスイ~していると、前方に大人二人組を発見。

 ゲームとかでよく見る皮鎧レザーアーマーを装備している。

 向こうもこちらに気づいたようで、武器――槍を構えだした。


 ちッ! 豆腐戦士が害獣扱いってのはマジなようだな。

 これじゃあ誰かと会うたびに戦いになっちまうぞ。


 あっ、でも……俺ならどうにかできるんじゃないか?

 暴力とは違う方法で、無意味な争いを回避できるかもしれない。


「みんな、ここは俺に任せてくれ!」

「「「(ぷるっ!)」」」


 へへ、ありがとよ。

 そして男一丁、前に進み、二人組と対面する。


 二人組はどちらも男で、不良少年がそのまま年をとったかのような顔つきをしていた……俺の策が効くかどうか、お前らで試してやんよ……



 ――コマンド――

 たたかう はなす(ピッ) にげる 



「ぷるぷる、ぼくらは悪いトントロポロンじゃないよ」

「なっ⁉」

「しゃべっ……え? 今こいつしゃべったよな?」


 そうだよ、俺はただの豆腐戦士じゃないんだ。

 君たちを襲いやしない、無害な豆腐さ。


「ぷるぷる、お兄さんたち、おそわないでね」

「…………へへ、ラッキーだぜ」

「ああ、こんな珍しいトントロポロンだ。売ったらいくらになるか……」


 あ゛? こいつ今なんつった?


「まずは弱らせるぞ!」「おう!」


 あっこいつらッ! 槍を突き出してきやがった!

 クズめ! なんて思っていられるくらい余裕があるので、かわすのは造作ない。

 造作ないが、ここはあえて……


「――護角カドガード


 キンキンッ!

 金属が弾かれるような音が――否、弾いた音があたりに響いた。


「なっ⁉」

「……へ?」


 だっせぇ間抜けヅラだな、おい。

 理解しろよ。お前らの槍は、豆腐の角にぶつかったんだ。


「てめぇら……俺が下手にでりゃ調子に乗りやがって……」


 ぷるぷると怒りに身を震わせる俺は、号令をかけた。


「みんな! やっちまうぞォーーッ‼」

「「「(ぷるッ!!!)」」」

「「ひぃっ⁉」」


 ドグォ!!! ドグォ!!! ドグォ!!!


 悪は滅びた。




 * * * * * * * * * *




「…………」「…………」


 俺たちの一斉攻撃をくらい気を失った男二人。

 ま、仕方ないさ。俺たちが強すぎた。


 俺たちは普通の豆腐戦士トントロポロンと違うらしいからな……野生の豆腐戦士は角という概念を理解しておらず、腹を使った突進しかしないらしい。

 だから、豆腐の角にあたることは滅多に無い。

 この世界では運が悪いことを「トントロポロンの角にあたる」と言うくらいだ。


 そんな凶兆として知られる角を、俺たちは自在に使いこなせる。

 俺たちと敵対するなんてアホな真似しでかすと、100%不幸になるってこった。

 いい勉強になったか? じゃあ授業料もらうぜ。



 ――コマンド――

 しらべる(ピッ) どうぐ ふるえる



 腰にくくりつけてある道具袋をあさらせてもらう。

 豆腐に手なんてないけど、どっかのネコ型ロボットみたく謎の原理で物をつかむことができるぜ。


「俺はこっちを見る。グリュッセンハイドはそっちを見てくれ」

「(ぷるぷる)」


 賊は二人いるから分担だ。

 もう一人は団員ナンバー002.グリュッセンハイドに任せよう。

 豆腐戦士って誰が誰だか分かんないけど、こいつは分かる。


 だって――[´∀`]――こいつだけ顔ちがうもん。


 ぜってー最初はみんな同じ顔だったはず。顔って変わるんだね?

 だからとりあえず名前つけた。ちなみに、こいつだけ特別扱いだと団員に不満が出るから、個性が出た奴から名前をつけることを約束している。

 みんな、頑張ってくれ。


 おっと、ふくろふくろ。

 道具袋には何いれてんだい? ひもをなんとか緩めて、中身をばらまく。

 どれどれ?


 納豆……携帯食、食べ物か。俺もいつかは……。

 それにコイン――お金だな……これはもらっとこ。

 あとは……カード。

 カード? 異世界にカードってこれまたぶっ飛んでんな。何のカードだ?


 えーと、『ギルドカード』って書いてある。

 なになに……『冒険者ランクE スネアン』……へぇ、こんなのあるんだ。

 村長が言ってた冒険者ギルドっつーところの冒険者さんか。


 ……悪の冒険者倒してギルドカード収集なんて良くないか?

 このカードももらっとこ。



「そっちの袋は開いたか?」


 グリュッセンハイドの方に移ると、ちゃんと開けて中身を出していた。

 こっちも中身一緒だな。……ん?

 納豆が……グチャッと潰れている。外に出してから潰れた感じだ。


 まさか――俺はグリュッセンハイドを見る。


 [´∀`]‿


 角に糸ひいてんぞ! 犯人はお前か!

 おま、おま……納豆に嫉妬してこんなことしたのか。


 ……まあ俺も少しは思うところあるけどさ。

 でも食べ物見るたびに嫉妬してたらキリねぇっての……ったく。

 今回だけは見逃してやるぜ。次からはせよ?


 さてと、ギルドカード見せてもらうぞ。

 ……『冒険者ランクE ジャイオ』。ランク一緒じゃん。仲良しだね。

 これももらっとこ……頭の上にひょいと乗せる。


 さて、物色は終わった。


「みんな、いくぞー」

「「「(ぷるぷる!)」」」


 目指すはハリケーンウインド!

 俺たちのスピードなら――あっという間につくはずさ!





 向かう途中、俺は気づいた。

 他人のギルドカードを持っていたら、街についたとき問題になるんじゃね?


 だから俺はそこらへんに二枚のカードを捨てた。ギルドカード……あばよ!

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