表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

エピローグ

栞原しおはら エリカ

…日々を適当に生きている風来坊

【掲示】


※特別生徒会役員選挙について


・日時:三学期修了式後

・場所:各クラス教室にて

・候補者:現5年生(新6年生)108名

・選挙権保有者:現2~4年生 345名


・選出人数:6名(うち2名は確定済)

・当選者発表日時:新学期始業式後


なお、以下の者については、既に来年度の通常生徒会の役員に内定、無条件で特別生徒会役員に選出されるため候補者から除外。


5年2組 神宮 すずな

5年3組 大槌 百合



※特別生徒会役員補佐選挙について


・日時、場所、当選発表:役員選挙に同じ

・候補者:現4年生(新5年生)112名

・選挙権保有者:現5年生 110名


・選出人数:1名


なお、以下の者については、既に来年度の通常生徒会の役員に内定、通常生徒会役員と特別生徒会役員補佐の兼任は不可のため、候補者から除外。


4年1組 磐 かんな

4年2組 ローズマリー・レイモンド




新しい生徒会長の神宮すずなという人は、今までの生徒会長に比べたら少し地味なイメージだ。

先代の光田桜は少し日本人離れした容姿もあってか、一目置かれる存在だった。どうやらクォーターらしく、あの色素の薄い瞳と髪の色に合点がいった。

神宮すずなと比べたら、副会長の大槌百合は整った顔立ちをしているし、美人だと思う。しかしこちらも派手さはない。昨年度の途中から加わるという特殊な例で生徒会メンバーになった経歴の持ち主だった。

そんな神宮すずなと大槌百合が率いる今年の特別生徒会役員選挙は、誰が選ばれるのか予想がつかなかった。

当確だと噂されているのはバスケ部の津波ひまわりのみで、他は一体どういうメンバーになるのか皆目見当もつかなかった。

去年の補佐であった美濃越紅葉は恐らく入るであろうが、断言できるほどの要素はない。しかし、下級生の間では無名だった一年前の今頃に比べると、補佐を務めたことによって彼女の知名度は格段にアップしていたし、好感度も上がっていた。


「それでは、本年度の特別生徒会役員を発表します」


神宮すずなの言葉に、体育館内が緊張感に包まれる。

私はあまりそういった人気投票に興味はない。誰が役員になろうと割とどうでもよかった。


「一人目。6年2組、津波ひまわり」

「二人目。6年4組、木更津梅子」

「三人目。6年1組、美濃越紅葉」

「四人目。6年2組、逢野あざみ」


呼ばれた名前に一喜一憂する生徒たちを横目に見ながら、私は冷静に当選した六年生のことを思い浮かべる。

津波ひまわりは予想通り。バスケ部の主力で、くりっとした目が特徴的な可愛らしい人だ。

木更津梅子は音楽科でヴァイオリンを専攻している生粋のお嬢様だ。少しきつい印象の釣り目で長いウェーブのかかった黒髪が印象的だ。

美濃越紅葉はあまり印象に残る顔立ちではないものの、昨年度の補佐で知名度をあげた。美術部に所属しているらしいが作品を見たことはない。そういえば、下の方で二つに括っていた髪がポニーテールになっている。彼女の姉がそうだったな、なんて思い出す。

逢野あざみは、正直あまりよくは知らない。ただ一つわかるのは、超絶美少女だということだ。


なぜ私がこんなに上級生に詳しいのかというと、自分で言うのもなんだがコミュニケーション能力に関しては人よりも長けていると自負しているのだ。

特定の部活動に所属はしていないが、色んな場所を渡り歩きながらのらりくらりと学校生活を送ってきた。その間に手に入れた知識みたいなものである。


「次に、特別生徒会役員補佐を発表します。5年4組、栞原エリカ」


栞原エリカというのは、音楽科でヴァイオリンを専攻している生徒だ。前述した木更津梅子が可愛がっている後輩であり、特定の部活動には所属していない。色んな場所を渡り歩きながらのらりくらりと学校生活を送っており、姉妹の契りも木更津梅子としか交わしていない。

そう、私のことだ。


「まじかよ……」


壇上に上がると、仲良くしているセセンパイである木更津梅子がにやにやと意地悪く笑っていた。

あいつ、後で絶対シメる、と心に誓いながら外向けの笑顔を作って壇上からたくさんの生徒を見下ろす。


ああ、なんて気分の悪い風景なんだ。


何かに縛られるのが大嫌いな私が、あろうことか補佐なんていう雑用係に任命されるなんて。

どうにかして辞退できないかと思考を巡らせるが、相応しい理由が思いつかない。これもまた、適当に学校生活を送ってきたことが仇となったのだ。

最悪だ。これは悪夢だ。


かくして本日、ここ十年で一番やる気のない特別生徒会役員補佐が誕生したのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ