第七話
「ギャハハハ!今日も大収穫だったなぁ?」
「まったくだな。この王国の騎士達は俺達に刃向かう事も無いし、契約料だと言えば女だろうが金だろうが手にはいるわけだからな。」
「まったくだな、ハハハハッ!」
「ガストの兄貴にミトスの旦那のコンビに俺達は中衛と後衛の二組でバランス良くいるし、例の奥の手だってあるしな!」
スペンサー王国の街の一角にある宿屋の食堂にはガストと呼ばれた剣闘士風の男にローブを着た魔術士ミトスと他にも取り巻きの様に弓使い2人に槍使い、大剣を背に背負った男、そして給仕をしている二人の少女と女性がいた。
「おい、追加の酒とツマミはまだか!」
「しょ、少々お待ち下さい!?」
槍使いの男が苛立ちを隠さずに給仕の女性をがなり立てると肩をビクリと跳ねさせて急いで注文を取りに走る。
「そう言えば、ここの所変な噂がありましたね。」
「アァ?変な噂だぁ?」
「えぇ、つい最近ですが我々二人の様に流星?二つこの付近に落ちた…と街中で噂をされてましてね。もしかしたら、こちらに引き込んで戦力増強に国へ更に要求が通る事も出来るはずです。」
「新参者か…?そう言った事はミトスに一任してんだ。俺はもっぱら肉体労働専門なんだからよ?」
「判りました。では、私が先ずは様子見を兼ねてこの国に現れたら接触してみますよ。」
「頼りにしてるぜ?ミトス。」
ガストと呼ばれた男はそのまま酒の入った大ジョッキを一気に飲み干すと傍らに立つ少女の腕を掴む。
「おい、ちょっと相手しろや。」
「は、は…い。」
少女は絶望した表情でガストに連れられて上の階へと上がっていく。
「兄貴の相手させられてあの子壊れねぇよな?」
弓使いの男の1人がそう言うと下品な笑い声が宿の食堂に響く
「さてと、僕は今の内に準備を整えて置きますか。あ、そうそう、君達は余り騒ぎを起こさないで下さいよ?対処するのが大変なんですからね?」
「分かってますよ。ミトスの旦那。前みたいな事は起こしませんよ~」
白いローブを羽織ったミトスはそう言って食堂から退室する。その後も連中の下品な笑い声は止むことは無かった。
――――――――――――――――――
「…此処がスペンサー王国か」
戒翔は一足先に身体能力を駆使して獣魔の森を抜けて街道を疾走し、大きな…そして立派な城門の前にいた。
「旅の方ですか?」
戒翔が城門を仰ぎ見ていると軽装の鎧に長槍を持った門番らしき人間が近寄る。
「あぁ、俺ともう1人が後から来るのだが町の中で落ち合う事になっているのだがいかんせんこの地に来るのは初めてなものでな、良ければ入国の仕方を教えて貰えるか?」
「構いませんよ?先ず、入国の時には自身の証明になる物を見せてもらいます。ギルドならギルドカードを…もしお持ちでは無いのでしたらステータスカードを提示して貰います。それで犯歴や問題などが無ければ問題無く入国してもらって構いません。ステータスカードは念じれば手の中に現れますので大丈夫ですよ。」
「面倒な説明をさせてすまないな。」
「いえいえ、我々の仕事の内に入りますのでお気になさらずに…。」
門番の言葉を聞きながら戒翔はステータスカードを出して門番に見せる。
「え~と、カイト・クロイツ、職業は創造士?珍しい職業ですね。初めて聞く職業ですが、どの様な?」
「まぁ、あらゆる術技に能力が使える万能な職業とみてもらってかまわない。」
「そうですか。入国審査はこれだけです。ようこそ!スペンサー王国へ!」
門番がそう高らかに宣言すると城門が左右に別れるようにして重厚な音をたてて開くと中から綺麗な街並みが見えた。
「とても活気のある所だな…。」
そう言って戒翔は街並みを歩きながら見て回る。
「武器屋に防具屋、それに道具屋と宿屋か…。道具屋と宿屋が合併している所もあるな…。」
戒翔は街を見ながら剣と槍が交差したレリーフが刻印された木の札が吊された店に盾のレリーフが同様に吊された店。試験管とフラスコのレリーフが吊された道具屋。そして、家のレリーフの上からINと刻印された木の札が吊された宿屋に酒樽のレリーフが刻印された酒屋。そして、宿屋と道具屋のレリーフが刻印された木の札が一緒にされた店等もあった。
「…先ずは情報収集だが、ここは定番の酒屋に行ってみるか?」
そう言って戒翔は手近にある酒屋の木製の扉を潜る。すると、酒場の中から聞こえていた喧騒が一瞬で止み、扉から入って来た戒翔を見る。だが、それも一瞬の事ですぐに連れの人間と話に戻る人間とさり気なく話に戻りながら戒翔の行動を観察する人間に別れる。
「(…【気配察知】の能力が無ければ判らないのが2、3人か。そこそこには腕のある奴がいるという訳か)…店主、この店のオススメを頼む。」
「畏まりました。」
戒翔は周りの動きを観察しながらカウンター席に座り店主と思しき壮年の男に注文をする。
「この国は初めてかな、冒険者君?」
「ほぅ、あんた何者だ?此処までの動きだけでは判断など出来ないはずだぞ?」
「簡単な話さ。歩き方や体捌きに目の動かし方。些細な仕草も見逃さずに観察していると判るものだよ。それも長年の間酒屋の店主などをしていれば尚更だ。」
「なる程な…。では、この国の1人として質問する。6人組みの冒険者を知らないか?」
戒翔の発した言葉に酒屋の中が再び静寂に包まれる。
「あんたは彼奴等を知らなさすぎる。奴らに深く関わらない方が身のためだ。前にもお前みたいに奴らに刃向かったヤツがいたが、あえなく返り討ちにあっちまったんだ。ある宿屋の息子でな…とても良い子だったんだ。奴らがその子の家族で姉のリサラに目を付けちまったんだ。」
「話はだいたい見えた。奴らは恐喝もしくは脅しに近い形で迫り、弟が刃向かい、返り討ちにあったと言うことか。」
「そうだ。騎士の連中も奴らの蛮行に痺れを切らしてかなりの人数を動員したんだが、噂でしかないが、竜を使役していて、騎士団を打ち負かしたんだとよ。」
「…それほどのクズが高位の魔物であり種の最強種に名高い竜を使役出来るはずがない。」
「それは俺も思う。彼奴等は実質的に取り仕切る奴はガストって言う奴と参謀役でミトスって言うんだけどよ。異世界から来たって噂だ。」
「異世界…だと?」
店主の言った言葉に戒翔は怪訝な顔をする。
「(かなりの人数が降り立った筈だが、自分達とは違った時間軸で降りたったのか?いや、他にも考えられるのは…)」
「もし?そこの方。」
考えに耽る戒翔の近くに1人のローブを着た男が近寄る。
「誰だアンタは?」
疑問に思いながら戒翔は先程の店主との会話の中に出てきた奴らの中の1人かと考えながらローブを着た男の事を観察する。
「僕の名はミトス。しがない魔術士だよ。」
「(ミトス…、つまりコイツが参謀役でサラの言っていた問題か。)…俺の名はレオン。」
「そんなに警戒しないで下さい。あなたに有益な条件を提示して僕達の仲間になって欲しくて今回、接触したのですよ。」
「(探す手間で省けたな…。よしんば奴らのアジトに入り込み殲滅するか。)分かった。だが、どこで話をつけるんだ?」
「僕達の拠点に案内しますよ。」
「良いのか?素性の知れない者を自分達の根城に案内して…。」
「君はどうしてそう思うのかな?」
「普通に考えれば解ると思うが、初対面の人間を簡単に自分達の活動拠点には招かない物だ。もし、初対面でそれをするのは腕に絶対の自信があるか単なる馬鹿のやる事だな。」
「へぇ、そこまで判るんだ。君って結構頭が切れるんだね?」
あどけなさの抜けきっていない少年はフードから見える口元を僅かに吊り上げる。
「…だけど、切れすぎるのも問題なんだよね。」
少年はポツリとそう呟き、戒翔の前を歩きながら宿への道案内をする。
――――――――――――――――――――――――――
「此処が僕達の活動拠点の宿屋【眠りの森】(スリーピングフォレスト)です。」
「此処が…。それにしても人気のない所に建っているな。」
「立地条件はあまりよろしくありませんが、僕達からしたら丁度良いんですよ。」
「(丁度良い…ね。隠れ家としてだろ)深くは追及しない。」
そう言って戒翔はミトスに先を施されて中に入る。すると
「…はぁ。貴方達はいくら人気が無いからといってこの様な所でしないで下さいよ。」
目の前に広がるのはお楽しみの最中の4人とぐったりとした女性がいた。
「ミトスの旦那、おかえりなせぇませ!いやぁ、ガストの兄貴が二階を占拠しちまってるんで仕方なく此処でしてるんです。」
「まったく、お客が来ているのにさっさとソレをしまいなさい。」
少年はそう言うと手に持った杖を軽く振るいその場の空気を簡単に入れ替える。
「…新入りですか?」
弓使いの男はそう言って戒翔に近づく
「…この様な事は頻繁にしているのか?」
「そうだぜ。旦那のお下がりだったり、町の中で良いのが居れば掻っ攫ってきて楽しんでるぜ?ガストの旦那様々だぜ♪」
「そうか…。」
戒翔は傍らに横たわる女性に近付き、羽織っていた上着を掛ける。
「優しいのですね。」
「【アンチマテリアル】」
戒翔がそう呟くと女性の周りを淡い緑色の膜が覆う。
「何をしてんだ?」
「貴様らの薄汚い血で汚れない様にだ。」
「何を…」
手近にいた男が前触れも無く膝から崩れ落ちる。
「な、何をしやがる!」
「これより依頼を完遂する。」
その言葉と同時に戒翔は腰に差していた刀を既に抜いており2人目も簡単に斬り伏せる。
「こ、この!」
ようやく事態を理解したのか槍使い(ランサー)の男2人が自分の武器を手に戒翔を刺す為に突き出す。…が
「甘い…。」
戒翔はそれを1人目は半身を逸らし、2人目は手で槍の半ばあたりに手を軽く当てて捌いた。
「追加だ。」
勢いに乗った状態で突っ込んだ状態で呆けた表情のまま戒翔を見る。まるで信じられないと言った表情のまま戒翔に斬られてこの世との今生の別れを迎える。
「この4人は雑魚だな。貴様は違うのだろ?Magic&swordのプレイヤーの1人だろ?」
「そこまで知っているのなら殺すしかありませんね。あなたほどの腕の方を殺すのは惜しいですが、僕達もこの様な所で死ぬつもりはないのですよ。」
ミトスは邪悪な笑みを浮かべて杖を構える。そして、戒翔の後ろに面した部屋の扉が弾け飛び中から大柄の男が飛び出してくる。
「おいおい!馬鹿共がやられちまってるじゃねぇか!」
「ガスト、この方は我々と同じ方の様ですが見解の違いからこの様な事になりましてね。」
「見解の違い?獣の様に自らの欲を満たすだけの屑が何を言っていやがる。」
「成程なぁ!この世界において俺達は最強なんだぜ?なんでもやりたい放題なんだぜ?女だろうが、金だろうが名誉だろうがなぁ!」
「屑は屑…地獄の業火に魂まで焼かれるがいい。【業火炎掌】(イフリート)!」
戒翔は刀を鞘に戻して拳と拳を合わせ、膝に手を当てて上に振り翳すと共に両の手と膝、そして脚に炎を纏う。
「な、なんですかそれは!?」
「んな装備、能力だとしても向こうじゃ見た事ねぇぞ!?」
「ふん、当たり前だ。これは人前で披露するのは初めてだからな。基本的にソロで俺は動いていたから当たり前といえば当たり前なのだからな…。」
「ソロ…金の髪に真紅の瞳?まさか、金色の暴君!?なぜ、この様な所に!」
「小僧、俺を知っているのか?なら、話は早い。抵抗など無意味と知り疾く消えろ!衝破!」
戒翔はそう言って瞬時にミトスの懐に潜り込むと拳を鳩尾に当てて格闘家の術技零距離からの気の衝撃で内部破壊の技を使う。
「く…やはり…貴方は…PKKの金色の暴君。いや、魔王レオン。」
「そんな二つ名もあったな。しかし、それを知っていた所で貴様の逝く場所は地獄だ。【紅焔】(クリムゾンフレイム)」
戒翔はミトスの胸倉を掴み、深紅の炎が灯ったもう片方の手を心臓の近くを穿つと一瞬にしてその身は燃え散る。
「ひ、ひぃぃっ!?」
「さて、貴様が最後の1人だな。」
ガストが恐怖の余り後ろに下がるが、床に転がる仲間だったモノに脚を取られて盛大に後ろに倒れる。
「…貴様が主犯なのは明白だ。地獄の閻魔の仕事を増やすのもいいが、貴様には生き地獄を見せてやる。【業火炎掌】解除。続いて、【空間鏡掌】(ゼクンドゥス)!」
戒翔はそう叫ぶと戒翔の手元が僅かに歪む。
「この聖霊具は対象の精神を亜空間に閉じ込めて一定時間の間、責め苦を与える事もそのまま一生封印する事も可能な武装だ。」
「や、止めてくれ!俺が悪かった!」
「…そう言った奴らに貴様は何をした?」
「う…」
「騎士団が来るまで壊れてくれるなよ?」
「う、ウワアアァァァッ!!!!」
戒翔の言葉にガストの絶叫が宿の中に木霊した。
主人公はその様々な行いで悪質なプレーヤーに了見ある普通のプレーヤーにも知れ渡っています。が、基本的にソロで活動している為に容姿以外は伝わっておらず、奇跡的に会った者は5万人近いプレーヤーがいるにも関わらずほんの一握りである。悪名も名声の二つがあるが、戒翔の場合は悪名の方がインパクトがあり過ぎて名声の方は知らぬままである。
御意見、御感想に誤字脱字などがありましたらお願いします。
主人公とその悪友の2人にはハーレムルートを用意するべきでしょうか?御意見をお聞かせください(-_-;)




