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第伍話



 祐樹がハウンドドッグと戦闘を開始して少し経った後、戒翔は隣にいる女性とその後ろにいる馬に乗った少女に目をだけを向ける。


(少女の方は屋外向きとは言い辛いな…、しかし気品がある服…何処かの令嬢か、王族なのか?そして女性の方は騎士の格好…護衛か何かか? )


 戒翔が2人を盗み見ていると女性の方は戒翔の視線に気付いた。


 「えっと…何でしょうか?」


 「いや…、この様な人気のない森に何のようで来たのかなとな。」


 戒翔は時折、祐樹の攻撃の余波で飛んでくるハウンドドッグを裏拳などを使い森の奥へと飛ばしながら女性と会話をする。


 「それは…「私が話すわ。」ひ、姫様!」


 女性の後ろにいた少女が馬から降りて此方に歩み寄りながら言う。


 「この近辺に金と赤色の二つの流星が落ちたのでそれの調査に私とサラの2人で来たのよ。」


 「…流星?」


 「えぇ、この世界…オールドランドに古くからの言い伝えで異世界の人間が流星と共に現れるってね?現にここの所各地で大量の流星が落ちてきているしね。私達の領内に落ちたので獣魔の森に調査で来たのだけど途中でハウンドドッグの群れに襲われたの。」


 「そこに俺達が来たと言うわけか。」


 「その通りよ。」


 「おーい!戒翔、お前も手伝えよ~!」


 「…全く、1人でやると言わなかったか?」


 戒翔は会話の最中に祐樹が声を掛けて来る。


 「1人だとコイツ等かなりやり辛いんだよ!手を貸してくれない?」


 「しょうがないな…。」


 戒翔はそう言うとポケットから一枚の硬貨を取り出した。


 「ちょっ…ソレって!?」


 「上手く避けろよ?」


 祐樹がその光景にギョッとし、サラと少女の2人は訳が分からない表情をする中で戒翔はその硬貨を指で上に弾く。


 「電磁投射砲レールガンの威力…音速の弾丸に呑まれるが良い!」


 弾いた腕が帯電したかと思えば硬貨が戒翔の握った拳の上に落ちて来た所に親指で更に弾くと一条の光の奔流がハウンドドッグの群れに突き刺さる。直後に音速の余波であるソニックムーヴが起きる。


 「す、凄い!これが異世界の人間の力…!」


 サラは発射された痕跡を見ながらそう呟く。地面は深く抉れ、レールガンの持つ膨大な熱量により熱されており赤くなり軽く融解していた。


 「し、死ぬかと思った…!」


 そんな中でその光が到達する直前に祐樹は身を投げ出して事なきを得ていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「戒翔、アレ使うなら使うでちゃんと言ってくれよ!危うく一緒に吹き飛ぶところだったぞ!?」


 「お前は大丈夫だろ?しっかり避けたのだから。」


 「俺じゃなかったらどうすんだ?」


 「知らんな…。美里なら判らんがな…。」


 「美里ってあの美里ちゃんか?」


 「それ以外のなにがある…。」


 「こっちに来てるのか?」


 「其処までは知らん…が、アイツもあのゲームをやっているのであれば何処かで会う事もあるだろうな…。」


 「あ、あの…」


 戒翔と祐樹が電磁投射砲の発射跡地でそう話をしていると騎士風の女性と馬から下りた少女が近寄ってくる。


 「助けて頂きありがとうございます。」


 「私からもお礼を言わせて下さい。」


 「いや~、当然の事をしたまでですよ♪」


 「あなた方が私達の探していた異世界人なのかも知れませんね。」


 「すまないが、その話はまた後だ。」


 「どうしたんだよ?」


 戒翔が2人の会話を聞きながら森の奥を睨み付ける。それに怪訝な表情をする。


 「先程の戦闘で奥の者を呼び寄せたみたいだな…。」


 「え…?」


 少女の戸惑いの声と共に地響きと木々を薙ぎ倒す轟音が奥から響いてくる。


 「な、なんだ!?」


 「大方、森の主か…はたまたハウンドドッグの群れの統率者かのどちらかだな?」


 「な、何を呑気に構えているのですか!?森の主と言えば我々騎士団全員で挑んでも歯が立たない魔物だぞ!しかもハウンドドッグの頂点に立つ者は「シャドウフォング、ハウンドドッグの上位種にして厄介な相手となるな…ハウンドドッグ以上の能力に加えて、魔術も使用する。」…そうだ。其処まで判っているならこの場から速やかに避難するべきだ!」


 「仮に逃走したとしても人と獣では脚力の違いで追い付かれる。」


 「なら、どうするんだ!」


 「…祐樹。」


 「下手打つんじゃねぇぞ~?」


 女性がくってかかるが、戒翔は素知らぬ顔で祐樹を呼ぶと祐樹は何をするか判っている様な表情でサラの腕を掴む。


 「な、何をする!」


 「此処はアイツに任せておけって。アイツの稀少レア武器の一つが拝めるぜ?」


 「稀少…武器だと?それはいったい」


 「まぁ、見てれば判るよ。」


 祐樹はサラと少女の傍らに立ち不測の事態に備えながら戒翔の動きに注目する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「森の主…巨大蜘蛛ジャイアントスパイダーか。…さて、聖霊具は何にするか…。」


 戒翔は目の前に現れた四階建てのビルに相当する巨大な魔物、巨大蜘蛛ジャイアントスパイダーと対峙しながらその余裕な態度を崩さずに構える。


 「…今回は闇の聖霊具にするか。煉獄黒鎌【シャドウ】!」


 戒翔は肩口に手を添えて聖霊の名を叫びながら引き抜くと光の中から身の丈を超える漆黒の鎌が現れる。


 「さぁ、戦おうか…森の主、巨大蜘蛛よ!」


 「ゴオォォォォッ!!!」


 戒翔の言葉に応えるかのように巨大蜘蛛は空間全体を震わせるかのように空に向かって咆哮を上げた。



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