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第四話


 「此処がオールドランド…。」


 「名前の通りって訳じゃないのな?」


 戒翔と祐樹が降り立った所は緑溢れる森の中。


 「ってか、戒翔…お前はどこぞの傲慢王な容姿に変わってるぞ?」


 「お前は勇気だけで限界突破しそうな奴だよな。」


 二人はお互いの容姿がかなり変わっている事に気付く。


 「アバターの名前から容姿が変わったのか?」


 「戒翔の場合は元々の髪の色に瞳だから雰囲気が変わっただけにしか思わないね。」


 「お前の場合は完全に別人だよな。元々は三枚目だったからな…。」


 「何気に酷いな!確かにそうだけどさ!?」


 俺の言葉に祐樹が涙目でそう叫んでくる。野郎の涙目は勘弁してほしい物だ。


 「戒翔…気付いたか?」


 「ん…?こっちに近付く気配の事か?」


 「いや、そっちじゃないよ!ってか気配察知出来るの!?」


 「俺の職業はあらゆる能力スキルを使えるからな。探知系は魔力から生命反応まで出来るな・・・。」


 「俺もそっちにすれば良かったな…」


 「此処はゲームの様に縛られていなければお前の努力次第で覚えれるかもな…。俺の職業は確かに全職業の能力(スキル)が使用できるがその反面、レベルが上がった時のボーナスポイントは通常15P渡されるがこの職業は8Pしか貰えない為に育てにくい職業でもあるな。」


 戒翔の言葉に祐樹はげんなりとする。


 「で?近付いてくる気配って、何なんだ?」


 「…魔力反応と生命反応が合わさった物が15こっちに・・・速いな。魔物かも知れんな。」


 「俺ら武器すら持ってないんだけど…」


 「俺は魔法スキルがあるし、祐樹の場合は戦士職なんだから無手で使える能力を持ってるだろ?」


 「…確かに持ってるには持ってるけど戦闘系ばかりにポイントを充ててたからな~。」


 「脳筋な育て方をしたのか…。」


 「良いだろ?戒翔とのコンビしか組んでなかったんだからよ?」


 「その話はまた後だ。魔物の群れは何かを追ってるみたいだしな…。」


 「何かって何だ?」


 「さぁな、それは判らないな…。」


 そうこうしている間に魔物との距離が縮まっていき肉眼で目視出来る距離に近付いてくる。ぞの魔物は同じ種類なのか黒い体毛に覆われた狼が先頭にいる馬に乗った女性と護衛と思われる鎧を着込んだ女性を追っていた。


 「…なぁ、アレって」


 「ハウンドドッグだな。狼でありながら単身でおらずに群れを作り獲物に対して集団で襲う。また、その姿からは想像し辛い程に狡賢く頭も良いことも合わさり厄介とされるな。」


 「俺は手痛い仕返しを喰らった覚えが多いんだけど…?」


 「お前が彼奴等よりも馬鹿と言うだけだろう。」


 「バッサリと言うな!」


 そう2人が話している所で馬に乗った女性の1人がハウンドドッグの群れの一匹が飛びかかった拍子に落馬してしまう。


 「アレはまずいな…。」


 「助けに…ってなんで俺の襟を掴むんだ?」


 「…予想はついているんだろ?」


 「何となくね~。」


 「なら、逝ってこい!人間ミサイル!」


 戒翔はそう言って祐樹を今まさにハウンドドッグ襲われそうになっている女性の前にいるハウンドドッグへと向けて振りかぶって


 「やっぱりかーーッ!?」


 投げた。祐樹の声が尾を引きながらドップラー効果で遠ざかり、次の瞬間にはハウンドドッグと女性の間に着弾し爆音と土煙を巻き起こす。


 「な、なんだ!?」


 そこで女性はへたり込んだ体をやや起こして目の前の砂塵を睨み付ける。


 ここで説明すると戒翔達のプレイしているゲームには多種多様な職業が存在し、戒翔の使ったものは至極簡単な掴む事と投擲する事だが、これはグラップラーの職業の基本能力スキルであり、最高ランクまで上げればあらゆるモノを掴み投げ飛ばすと言う何とも豪快な技であるが、その様な方法で戦うと辺りはまるで台風にでも遭ったかのような惨状になってしまうという環境問題に喧嘩を売るような所業である。



 「イッテ~!投げるなら投げるで事前に言ってくれよな!」


 祐樹は砂塵の中から若干だが土や塵を服に付着させて出てくるといの一番に投げた張本人に文句を言う。


 「お前は言った所で納得しないだろ?」


 その張本人は腰を落とした女性の傍らにいつの間にか移動して半目で呆れた口調で言う。


 「…それはそうだけどよ?戒翔の場合、俺に拒否権「在るわけ無いな…。」…だろ?」


 祐樹の言葉を戒翔は即答で答え、祐樹は肩を落としていた。


 「先ずはハウンドドッグの掃討だ。気合い入れろよ…相棒おとり?」


 「副音声に納得行かないぞ!?」


 「地の文を読むな…。来るぞ!」


 戒翔がそう言うとまだ晴れていない砂塵の中から三体のハウンドドッグが出て来るが、戒翔が素手で文字通りに叩き潰していた。


 「俺の出番が無いじゃないか!?」


 「まだまだお客はいるぞ?」


 戒翔はそう言うと腕を軽く振って風を起こし目の前の砂塵を吹き飛ばすと先ほど潰した三匹を除いた12匹のハウンドドッグが警戒態勢で此方の様子を伺っている。


 「存外に馬鹿と言う訳では無いな…。」


 戒翔はそう呟く。


 「戒翔、アレは俺にやらしてくれないか?」


 祐樹はそう言うと腰の辺りに手を伸ばし、そのまま振り抜く様に手を出すとその手に片刃の長剣が握られていた。


 「…武器は無かったんじゃなかったのか?」


 「いや…何となくだけどよ、頭に何か入ってきたからそれに従って動いたら出て来たぞ?」


 「(収納魔法の応用か?…いや、馬鹿は魔法の魔の字すら覚えていないからそれは無いな)…という事は…?」


 戒翔がある考えに至るのと祐樹がハウンドドッグに斬り掛かるのは同時であった。


 

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