第弐拾参話
「で、ここが冒険者ギルドか…。」
「わたしもここには昔から世話になっているくれぐれも騒ぎを起こさないでくれよ?」
「その約束は守りたいけど冒険者ってのは元来から血の気が多い者達の集まりだろ?」
サラの言葉に祐樹は昔からプレイしていたMMOのプレイヤー達の事を思い出していた。
「取り敢えずこんな所で話していても仕方が無い。入るぞ」
サラと祐樹を置いて戒翔はさっさとギルドの門を開き入って行く
「ま、待ってください!」
「お、おい!」
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「ようこそスペイサー運営冒険者ギルドへ。クエストの受注ですか?」
「いや、冒険者登録に来たのだが…この手紙をマスターに渡せば良いと言われたのだが?」
「拝見させていただきます…これは!?」
エルフの受付嬢に戒翔は女王からの手紙を渡すと受付嬢はその蝋で掘られた紋と女王直筆のサインを見て絶句する。
「し、失礼しました!こちらの別室にてお待ちください!」
受付嬢の狼狽える姿はともかくこの事で騒ぎとなるが直ぐに三人は別室に移動させられた。
「此処で待っているだけか?」
「は、はい!直ぐにギルド長をお呼び致しますので少々お待ちください!」
そう言って受付嬢は扉を開けて脱兎の如く駆けだした。
「…なにか不味い事でもあったのか?」
「さぁ?」
「シオン様がまた何か悪戯でもしたのではないのだろうか?」
そんな受付嬢の姿に戒翔と祐樹は不思議がりサラは深い溜め息とともにその手紙を見た受付嬢に同情するしかないのであった。
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「ぎ、ギルド長!大変です!」
「ハク、なんだね騒々しい。」
「そ、それが…」
受付嬢が三階のギルド長の部屋に飛び込む様に入ると木製の立派な机で書類仕事でもしていたのか若く感じるエルフの女性が受付嬢のハクにそう言うと歯切れの悪い言葉でギルド長に女王の刻印の入った手紙を渡す。
「これは…シオンの奴、面白い連中を見つけたようだね。」
「あ、あの…女王様はなんて?」
「なに、ここに書かれている戒翔と祐樹と言う若者二人を冒険者にしてくれと言う文面だが、戒翔と言う小僧はあの(…)ヴィンセントを斃したようだよ。」
「え?あの騎士団長補佐官のあのヴィンセントですか!?ですが、彼は噂は良くないものの実力はかなり高く更に人狼族の1人ですよ!?」
「だが、あのシオンがこんな事で冗談を言う奴じゃない事は分かっているんだ。それにあの男の屋敷は昨日の内に城の連中に没収されたみたいだしね…。時期的に見ても昨日の時にヴィンセントを斃して所有している物を接収したんだろうね。」
「…いまだに信じられません。」
「そうだね…なら、あのゴロツキ共の末路は知らないのだろうね。」
「ゴロツキ…共?」
ギルド長の言葉にハクは首を傾げる。
「あの路地裏にあった宿を根城にしていたヤツラさ。そいつらは一昨日の昼の間に全員が一網打尽にされたって城のもんが言っていたろ?」
「それがどうしたんですか?」
「此処まで言ってわからないのかい?」
ハクの言葉にギルド長は深い溜め息とともにやれやれと首を振る
「その子達なんだと…。あのゴロツキ共を捕縛したのは。もっとも鎮圧したのは戒翔と言う小僧らしいがね。」
「そうなんですか?それと、一緒にいた祐樹と言う少年のことですが…」
「此処には詳しく書いてないけど、あの小僧と同じくらいの力量はあると書いてあるね。あぁ、それとランクは戒翔がB級で祐樹と言う者はC級からのスタートにしてくれと書いてあるね。」
「び、B級!?それにC級ですか!?どちらも一足飛び所の騒ぎじゃないですよ!?」
「だから五月蠅いと言っているだろう!これは女王直々の通達なんだよ!うだうだ言ってないでギルドカードの発行準備をしてきな!私は件の少年達に会って来る。」
「ま、待ってください~」
ハクの悲痛な叫びを無視してさっさと部屋を後にするギルド長なのであった。
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「いつまで待たせるのだろうな…。かれこれ1時間くらい待っているような気がするが…。」
戒翔達は待合室の様な所で掛け時計が無いので時間の把握もしかねていた。そこへ
「いやぁ、待たせたね。ここのギルドを束ねているワウと言う者だよ。」
「ワウさん、御無沙汰しております。」
「おぉ!サラちゃんかい?いやぁ綺麗になったね~」
「そ、そんな////」
「ギルド長、お目に掛かれて光栄です。俺はカイト・クロイツでそっちの奴が俺の親友のユウキ・サイトウだ。それで俺達のギルドカードについてなのだが」
「そう慌てなさんな。既に準備しているよ。出来上がるまでの間に少しアンタ達の人柄という物を見ておきたいと思っただけだよ。」
「…で、本心は?」
「あのシオンが態々手紙を寄越すほどの相手だからね。興味半分と思ってたけど中々にキレ者の様だね…。」
「興味本位で上の者が態々来る事は無い筈だ。それにその口ぶりだと女王とは旧知の仲って事か」
「おや、そんな簡単に分かりそうに無いとは思ったけど簡単にばれちゃったねぇ?」
戒翔の告げた事にワウが目を細めて笑う
「それで、君達のギルドランクだが彼女の言う通りにしてカイト君がBでユウキの坊やがC級で間違いないね?」
「それで間違いない。お手数掛けてすまない。」
戒翔はワウに頭を下げるが直ぐにワウによって頭を上げさせられる。
「男がそう簡単に頭を下げるんじゃないよ。気にするんじゃないよ。あのお転婆姫のシオンが寄越した坊や達だからね。私としてもアンタ達の活躍を楽しみにさせてもらうよ。」
「余り期待するなよ?俺達は基本的に肩慣らしから始めるつもりだからな…どの程度の強さの魔物がいるのか、そして世界の情勢を調べる事も活動内容に入っているからな。」
「それ位は全然かまわないよ。むしろどんどん学んで君達の名前が有名になるのを楽しみにさせて貰うさ。」
そう言ってワウは自身の前に置いてあるカップを手に取り一口飲む。
「さて、それで?君達…いや、カイトとか言ったね。アンタの事を教えて貰おうかね。」
その時のワウの顔は悪戯を思いついた時の戒翔と同じ表情だと祐樹は後で語るのであった。
御感想をお待ちしております。
オマケ
「はぁ~」
「ハクちゃんどうしたの?」
「ワウさんからギルドカードの発行を急かされて準備しているのよ。」
「あぁ。あの人の命令ね~?そういえばハクちゃんの所に来た三人組って1人はサラ様よね?それに金髪ロングの人にあの冷ややかな瞳をした彼…私は彼が好みね♪」
「はぁ? (わたしも確かに良いなと思ったけどあの女王様の刻印の入った手紙を持っていたのにどう接すればいいかわからないのに~)」
同僚の言葉にそっけなく答えていたが内心では悶絶していたハクなのであった。




